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少女装鎧ジノグラフ  作者: 八波草三郎
妖精拠点と幻惑作戦

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メタルハンター(3)

 メタルハンターを探すのは難しくない。狩人ギルドを張っていればいい。他のハンターが商品は問屋などに直接引き渡すのに対し、流体金属(メタル)の流通は狩人ギルドが窓口になっているからだ。


「なぜなのかしら?」

 ティナレルザも理由は知らないようだ。

「たぶんの話だが」

「わかるの?」

「流通量が少ないだけに、普通に取引しようとすると価格はすごく不安定になる。穫れるときと穫れないときがあるからな」

 採取でなく獲物という扱いだから。

「当然だわ」

「すると、やりようによっては、特に商人ギルドなんて通そうもんなら価格は青天井さ。流通を操作して引き上げようとするからな」

「ああ、そういうこと」


 商魂たくましすぎるのは困る。流体金属(メタル)が生活用品に近いだけ余計に誰もが困ることになる。


「統治側の不利益になりかねない。庶民の不満が溜まりすぎるのは危険じゃん?」

 反乱の芽になる。

「だから、流通を管理して価格抑制をしてる。それの起点を狩人ギルドが任されてるんだろう」

「なるほどね」

「もちろん闇で流通してる分はあるけど取締対象さ。これまで俺が売った相手も狩人ギルド以外は口止めしてきたろ?」

 念を入れてのこと。

「俺もその仕組みに気づいてからは狩人ギルドに流すようにしてきた。目をつけられるのはマズいし」

「闇なら高く売りつけられても、捕まるのは最悪だものね」

「まだ、警備隊相手に大暴れしていいほどの土台ができてない」


 雲隠れできるような安定した活動拠点を築けない。妖精種(エルフィン)の保護を含めた、さまざまな機能を有した拠点がこれからの活動に不可欠なのだが、今のところは寝蔵を確保するのがせいぜいなのである。


「将来的に大暴れする?」

 ランゼッタがわくわくしている。

「するしかないよな。なんせ、王国相手に喧嘩売ろうとしてるんだから」

「楽しみ!」

「楽しみー」

「あんたたち気楽なもんね!」

 協調するロナタルテとランゼッタにティナレルザは気が気でない。

「まあまあ、ルーザ。遊びではありませんが、深刻に考えすぎても上手くはいきません。協力してまいりましょう?」

「ルキがそう言うんなら仕方ないけど」

「気負うなって。それより、新しい朱色の腰紐似合ってるぜ」


 宵市で新調したティナレルザとロナタルテの腰紐。本来はリボンとして使うそれは、彼女のは朱色でロナタルテのは青にした。貫頭衣の服も以前は黄ばんだような白だったのに、大陸の漂白技術を用いた鮮やかな白になっている。そこにワンポイントの腰紐の色が映えていた。


「いっそう可愛くなった」

 褒めると身体をくねらせる。

「でしょ?」

「ロナのも可愛いー?」

「おう、可愛い可愛い」


 街角で雑談しているフリをしながら狩人ギルドを監視していると、地味な風体のハンターが一人扉をくぐっていく。正輝はその男がメタルハンターだと目星をつけた。


「ベルトが歪んでた。フックに掛かってた革袋の中身はきっと流体金属(メタル)だ」

 水よりはるかに重いので注意しているとわかる。

「ルーザ、頼むぜ?」

「ええ、任せて」

「目立たないようにしてくださいね」


 監視と尾行はティナレルザが担当。慎重さでは彼女が上。小妖精(リトルエルフィン)二人だと、スピードのロナタルテ、テクニックのティナレルザという棲み分けになっている。


「まずはアジトをつきとめる。あとは狩り場まで尾行すればいい」

「アジトじゃなくて、ただの家じゃない?」

「そのほうが雰囲気出るだろ?」


 住処が判明して探偵ノリで張り込みすること三日、とうとう標的が動きだす。小妖精二人が空から尾行を開始すると、正輝たちは距離を置いてバイクで追跡した。

 走りトカゲで軽快に移動するメタルハンターを追尾すること半日、キオーヌ北西の大森林近くに到達する。ハンターが休息しているうちに近づいてひそみ、森の中へと入っていくのを確認する。


「順調に追っ掛けてるー」

「先導頼むぞ、ロナ」


 往復するロナタルテに導いてもらいながら尾行し、怪しげなポイントまで着いたところでティナレルザも戻した。単独でメタルの生息域に入らせるのは危険だ。


「見失っちゃったけど?」

 ティナレルザは不服そうだ。

「ここまで案内してもらえれば十分さ。あとは別行動で、俺たちはより奥地へと進むだけ」

「確かに、むしろ尾行を察知されないほうがいいわね」

「ここからが本番。締めていこう」


 警戒を強めて移動を開始した直後、不測の事態が起こる。メタルハンターの男らしき悲鳴が聞こえてきたのだ。彼らは致し方なく、その方向へと急いだ。


「どうでもよくない?」

「いや、ここであの男が行方不明になるようなことになったら俺たちが疑われかねない。そいつは遠慮したい」


 張り込みで同じ場所に居座ってるのはバレているし、追跡するのを誰かに見咎められていないとも限らない。ここは安全策が順当だ。危機を救って、ハンターに恩を売っておくのも悪くないという判断。しかし、それも杞憂に終わった。


「うげ」


 彼の前に転がっているのは倒れた男の姿である。それも、全身を穴だらけにして大量の血溜まりの中に沈んでいる。もう、手の施しようがないのは明白だった。


「おいおい、勘弁しろよ」

「来ます」


 エメルキアの警告に続いて正輝の視界に入ってきたのは走りトカゲのメタル進化種だった。

次回『メタルハンター(4)』 「完璧に恐竜じゃんか」

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