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少女装鎧ジノグラフ  作者: 八波草三郎
妖精拠点と幻惑作戦

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メタルハンター(2)

 公衆浴場でさっぱりして帰ったあと、ロナタルテとティナレルザを桶にもらったお湯できれいにしてやっているとエメルキアがむくれる。二人があまりに楽しそうだと文句たらたらだ。


「わたしはお願いされたとおり、勝手のわからないランゼの面倒を見て、自分がくつろげない湯浴みだったというのに」

 口がへの字のままだ。

「悪かったって。ランゼもルールがわかっただろ?」

「わかった。気持ちよかった」

「次からは二人でゆっくり浸かるんだぜ?」

 こくこくと頷いている。

「ロナたちが済んだら、ルキの髪も梳いてやるから機嫌を直せ」

「絶対ですよ?」

「約束破らないから」


 駄目亭主の次は子どもたちの世話をする主夫業である。正輝は異世界(ジノグラフ)に来てから暇というのを忘れてしまった。以前はなにも考えずにボケっとストレッチしたり、ゲームしたりする時間もあったというのに。


「身ぎれいにしてメシを食ったら宵市でも賑やかせてみるか? どうせ、狩人ギルドの位置も調べとかなきゃならないし」

 遊びに誘う。

「食べ歩き禁止です」

「そうじゃなくて、なにか面白いもんあるかもしれないだろ? ちょっとした装飾品だとか」

「買ってくださるのです?」

 瞳を輝かせている。

「もちろん。そこまで甲斐性なしじゃないさ。それに、怪しげな裏路地の闇露店とかならメタルライトを流してもいい」

「安物で誤魔化されなくてすむのですね?」

「流す数は限るけどな」


 多少は収入も得られると匂わせると俄然乗り気になる。ランゼッタも面白いものと聞いて身を乗りだしてきた。


「どんなの?」

「女の子っぽい髪飾りとかだな。ルキが着けてるリボンみたいな」

「んー……」

「興味ないか。変わった腕輪とかどうだ?」


 提案するとニパッと笑う。こちらの少女は可愛いよりは変なものに興味を持つ。好奇心が強いタイプだ。


「じゃあ、安物でしっかり腹ごしらえしたら出発」

「言い方に悪意があります」


 都市でしか味わえないような手間の掛かる料理を堪能してから宵市へとくり出した。昼間の市に多い親子連れと違って、宵市となると雑多な人種が流れを作っている。怪しげな露店も多数見かけられた。


「よお、おっちゃん」

「なんだい、あんちゃん? なんか買ってくれよ」

 曰くありげな風体の壮年に声掛けする。

「面白いもんあるけど買わね?」

「妙なこと言うじゃんかよ。見せてみな。厄介な薬とかじゃねえだろうな?」

「警備隊にたれ込まれたら困るようなもんじゃない。もっと実用的なもんさ」


 メタルライトを見せる。最初はなにをする道具かわからなかったようだが、光らせてみせると目を丸くした。


「なんだこれ。どこからこんなもんを」

 得体が知れずうなっている。

「俺は細工職人なんだよ」

「本当か?」

「あいにくと仕掛けは企業秘密で教えてやれないが、細工物をいろいろと扱ってる」

 二つ並べて5000ディムと提示する。

「ずっと光るんだろうな?」

「使い方さえ憶えればね。精気を切らすほどお楽しみのあとなら話は別だぜ?」

「確かに面白いな。買った」


 こういう手合は下卑た例えを持ちだしたほうが話が早い。とりあえずの軍資金を手に入れる。


「妙なもん持ち込むから、てっきりブクラハ遺跡にでも潜ったのかと思ったぞ」

 金を出しながらおっちゃんが言う。

「なんだそりゃ」

「知らねえのか? 西の森にある遺跡だよ。戦士ギルドの連中とかがさんざん荒らしたあとだが、まだ隠し部屋とか残ってたかと思ったんだが」

「正確な場所を教えてくれないか?」

 足元を見るように窺ってくる。

「ったく。ここにもう一個メタルライトがある」

「売った」

「商売成立だ」


 胡散臭い取引を終える。店主はオマケとばかりにいろいろと教えてくれた。


「確か、製紙機とか紡績機もあそこで出たんだよな。はるか昔、あのあたりに技術屋の国があったなんて噂されてる。製鋼技術なんかも出元は遺跡らしい。今じゃ深い森だけどな」

「ほほう。面白い話だ。なんか妙なもん出たらまた売りに来てやらなくもない」

「おう、高く買ってやるぞ」


 社交辞令的挨拶をしたら店を離れる。こういう店は一期一会だから成立する。あまり深く関わるとろくなことはない。


「おかしいと思ってた。魔法偏重の世界のわりに、当たり前に安く紙が出まわってるからさ」

「そういうものなのですか?」

「ああ、さらさらのきれいな紙ってのは作るのが案外難しい」


 疑問が解決した。さすがに島にはなかったが、大陸に渡ってからは普通に紙が安価に流通していて驚いたのだ。


「さっきの怪しげな情報を信じるのですか?」

 エメルキアは及び腰である。

「そのうち考えてもいいレベル。とりあえずはメタルハンターな」

「大盤振る舞いするから、おかしな企みをしてるのかと思いました」

「おかしな企みならしてる。さっきのあれは、情報そのものに価値があったのさ」


 匂わせると少女は首をかしげている。ランゼッタのほうは興味を惹かれてわくわくした面持ちになっているが。


「赤いリボンなんてどうだ? 島の染料じゃ大陸みたいな鮮やかな色が出なかったもんな」

「嬉しいです」

「ランゼはなにがいい?」

「あのね」


 その後は皆で宵市を賑やかせてまわった。

次回『メタルハンター(3)』 「将来的に大暴れする?」

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