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少女装鎧ジノグラフ  作者: 八波草三郎
妖精拠点と幻惑作戦

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メタルハンター(1)

 解放した子たちを無事パムール島へと送りだした正輝たち。ホジダラの街での物資調達が不可能になってしまったので、湖畔の寝蔵も放棄して東に移動している。どこかの街の近くにまた寝蔵を探さなくてはならない。


「俺の当初の予定と変わらないと思わない?」

 エメルキアがふくれてしまっている。

「この生活は懐に優しくないです。流体金属(メタル)が減っていく一方ではないですか。メタルライトも村レベルのところでしか売らないし」

「だって、街で売ると噂が立ちやすくて移動ルートをトレースされちゃうだろ? 教団は間違いなく目のかたきみたいに追ってくるじゃん」

「そうですけど。マサキは経済観念が残念です」


 確かに自慢できるような経済観念をしていない。なにせ、エンタメ業界出身である。今でこそ昔ほどではないが、宵越しの金は待たないみたいな業界人の中で暮らしていれば散財に後ろめたさは感じない。


「駄目亭主みたいな言い方やめて」

 悲しくなってくる。

「わたし、愛してくれれば駄目亭主でもいいみたいな女じゃないです」

「おおう、どこでそんな台詞憶えてきた?」

「いろいろです」


 そのいろいろを追求したい気分になったが、ヤブヘビ以外のなにものでもないので断念する。なんとか稼ぐすべを考えなくてはならない。この場合、金ではなく流体金属(メタル)を。


「村で聞いた話じゃ、この先にあるのはキオーヌの都だろ? そこならどうにかなると思うんだよ」

 なんとかご機嫌をとらねばならない。

「都に着いたって流体金属(メタル)を買うお金なんてありません」

「違う違う。前に聞いたろ? 狩人ギルドにはメタルハンターってのもいるらしいじゃん」

「そういう話でしたね」

 ティナレルザ情報である。

「都市ならメタルハンターの情報くらい手に入ると思うけど、彼らって絶対に自分の縄張りを明かしたりしないわよ?」

「当然だろな。大事な食い扶持だ」

「襲って盗っちゃうのー」


 ロナタルテが物騒なことを言う。相手が人間ならという考えが一瞬頭をよぎるが、さすがにあこぎが過ぎる。ランゼッタやロナタルテの教育上よくない。


「しないって。でも、掠め取る」

 方法を考えてあった。

「かすめとるー?」

「そいつらって、メタルスライムを倒しては流体金属(メタル)を集めてんだろ? それを売って生計を立ててる」

「そのとおりよ」


 メタルハンターは総じて魔法能力が高い狩人だという。そうでないと、メタルスライムのコア攻撃ができないからだ。装鎧少女(エルフィン)に準じるくらいの力が必要だろう。


「それでも限度がある。おそらく、メタル生息域に深入りはしてない。危ないから」

 奥地に行くほど密度は濃いので危険度は増す。

「そこまでしなくても生活はできる。なにしろ、流体金属(メタル)の相場は高い」

「ですよ。だからままならないのです」

「俺が考えてるのは、メタルハンターを尾けていって狩り場を知る方法。それから、ハンターが立ち入らない奥地まで侵入して、発生源となる洞窟鉱床とか露天鉱床を探す。そこでがっぽがっぽ入手するって作戦だ」

 エメルキアの表情がパアッと明るくなった。

「いいですね」

「だろ? 誰も傷つけず、俺たちだけ豊かになる。これ以上はない。しかも、上手くいけば、そのあたりに寝蔵を作れる。あまり人が近づかない場所だろうからな」

「名案だわ」

「そこ、お魚いるかな?」


 ランゼッタは釣りができる拠点希望だが、残念ながら今回は望めそうもない。予想だと、森の奥地だろうと思われる。


「いないの」

 黄色髪の少女はしょげる。

「今度はトカゲとか獣を狩ろう。弓矢とか作ってみないか?」

「それって面白い?」

「きっと面白いぞ」

 ランゼッタは狩猟本能が強いタイプだってことにした。

「魔法で狩ったほうが早くないー?」

「いや、道具に頼るからこその醍醐味がある」

「そうなんだー」


 ロナタルテが余計なことを言うので咄嗟のフォローをした。ランゼッタが納得してくれることを祈る。


「では、キオーヌの都で態勢を整えることにしましょう。懐の中身も流体金属(メタル)も残り乏しいですけど」

 正輝は「おっしゃるとおりで」としか言えない。

「食べ歩きは加減してくださいね」

「え、都市でしか楽しめない娯楽を封印?」

「甲斐性なしのマサキはお腹が膨れればいいんです」

 ぐさぐさと胸に刺さってくる。

「わかった。誓うよ。これから稼ぎのいい亭主になってみせるから」

「駄目亭主卒業ぉー?」

「ロナに言われるようじゃ、俺、もうアウトかもな」


 軽口が弾んできた頃にキオーヌの都の姿が見えてきた。少なくとも今夜はベッドで眠れるらしい。風呂があると最高なのだが。


「せめて公衆浴場でもあれば。ルキとランゼは普通の女の子のフリして入れるけど、問題はロナとルーザがなあ。仲間はずれっぽくて嫌だけど、部屋で桶で我慢してくれる?」

 提案する。

「ええ、マサキが洗ってくれるなら我慢してあげるわ」

「ロナもそれでいいー」

「じゃあ、わたしもタライで我慢します」

「ぼくもそうしようかな」

「いや、二人は普通に風呂入れよ!」

 妖精陣はボケが多くて困る。


(なんだこりゃ。俺はこんな珍道中をする予定じゃなかったはずなのに)


 正輝は深刻さを忘れさせてくれる彼女たちに感謝していた。

次回『メタルハンター(2)』 「言い方に悪意があります」

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