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少女装鎧ジノグラフ  作者: 八波草三郎
謎の破壊者

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ホジダラ迎撃戦(4)

「マサキ、車くるー」

 ロナタルテが報告に飛んでくる。

「街からか。さすがにあれだけ派手にやると王国警備隊は無視できないよな」

(戻れませんね。残念です)


 教会に置いてあった麦粉などの食料はあきらめなくてはならない。それ以外は、こういうパターンも考えてバイクに積んだままだった。


「はー、なにが惜しいって、教会にはバスタブがあったのがなぁ」

「うん、気持ちよかったー」

(ゆったりとできましたものね)


 なぜか一緒したがる少女たちには手を焼いたり恥ずかしかったりしたものの、手足を伸ばして浸かれる風呂はなにものにも代えがたい。見つけたときは両手を上げて喜んだのだ。


「ん、あれは支庁からやってきた子たちか?」

 バイクの上空あたりには小妖精(リトルエルフィン)の集団がいる。

「マサキ、最後の一団が到着したわよ」

「間に合ってよかった、ルーザ。このまま湖畔の拠点のほうに戻る」

「やっぱり警備隊だった? 仕方ないわねえ」


 装鎧戦士(エルフィンアーマー)から剥がした子に加え、コタカッタ支庁から脱走した子まで入れて大所帯で移動する。皆が皆疲れているので、交代で変身中の彼の身体に留まらせながらの移動になった。


「ああ、嘘みたい。こんなに満腹を味わうのなんて初めて」

 剥がしたばかりの子が感動している。

「ごめんな。俺、このやり方しか、君たちを解放する方法が知らなくて」

「謝らないで。一度契りを結んだら、本当に別の方法はないの」

「悔いはない? 繁殖形態のほうが人間社会に馴染みやすかったと思うけど、サイズ的に」

 いろいろと便利ではあったはずだ。

「全然。もう、あんな生活になんて戻りたくない。人間にいいように使われるだけなんて」

「みんな、そうかい?」


 感謝を捧げられるばかりである。なに一つ悔いがないほどひどい扱いを受けていたようだった。


「教団の子たちって、王国管理に比べて待遇はマシなのかと思ってた」

(詳しくは知りませんが、そうでもないようです)

「そうよ。ただの信者とか、一夜の宿を借りに来た旅人のベッドに行かされることだってあるんだもの」

 そこまで聞くと正輝も絶句する。

「なんのために生まれてきたのかわからなくなって、分解しちゃう子だっていたの。でも、それは全てを失うことだから怖くって」

「死の恐怖か。君たちには還ることも苦しみだって教え込まれてるんだな」

(なんとも説明のしようがありません)


 さまざまな歪んだ知識で縛りつけられてきた装鎧少女(エルフィン)たちは、小妖精(リトルエルフィン)に戻って開放感を得ている様子だ。彼女たちのせいせいした表情が事実だと物語っている。


「でも、これからどうやって暮らしていけばいいのか。わたしたちに味方してくれる装鎧戦士(エルフィンアーマー)の存在は教えてもらったけど、異端者として追われる立場でしょ?」

 不安を抱えている。

「それに関しては心配しなくていい」

「そうよ。マサキ様が導いてくださるのだから」

「マサキ様?」

「この方は妖精種(エルフィン)の神様なの」


 また誤情報が拡散されそうになっている。正輝は慌てて訂正する羽目になった。


「違うってこと?」

 なにが起こっているのか疑問だらけの様子。

「俺は普通の人間。でも、君たち全員解放したいって思ってるのは本当。信じてくれていい」

「神様……、そうかも。こんな精気の塊みたいな方、見たことないものね。失礼だったかしら?」

「気にすんなって。俺は君たちをみんな家族みたいなもんだって思ってる」

 危うい方向にいく考えを引きもどす。

「そう考えてくださる方だからこそ神様なのかも」

「ひぃ」

「ええ、この方のおっしゃることを守っていれば間違いないんだから」


 元装鎧少女(エルフィン)組と脱走組で議論になる一幕もあったものの、どうにか湖畔の寝蔵に到着する。彼は精神的に疲れてバイクを降りることになった。


解除(リムーブ)

 変身を解く。

「うわ、青の方!」

「もちろんです! マサキ様ほどの方であれば青が従うのも当然でしょ?」

「本当に神様かも」

「もう、それやめない?」


 正直しんどい。気分がいいどころではない。度を越している。崇められるより慕われるほうがよほど精神衛生にいい。


「とりあえず、栄養補給」

 エメルキアに泣きついた。

「そうですね」

「蔵の中も無事みたい。動物に荒らされるかと思ったけど」

「燻製いっぱい残ってるー」


 ティナレルザは蔵と言ったが要は(むろ)である。地面に穴を掘って貯蔵庫にしてある。そこに、燻製魚や干物、買ってきた麦粉を貯め込んであった。

 ストックで豪勢な食事をし、改めて小妖精たちにも補給をするとようやく落ち着いた。陽のあるうちに湖水で行水をしてもらってさっぱり。ただし、洗濯もした所為で全裸の彼女たちが身体にたかっている状態。


「これはなにかの修行なのかな?」

「マサキ様へのご奉仕!」

「きゃははは」

 非常に姦しい。


 ティナレルザがメインで彼女たちを集めてパムール島のことを教える。そこでの暮らし方、身の振りようなど、懇切丁寧な説明会が催された。


「いい? これまでみたいに一遍に精気は吸えないけど、ちょっとずつなら全然問題ないから。みんなで一致協力して自分たちの楽園を維持なさい」

「はーい」

「あそこはいいところよ」

「トカゲの楽園でもあるけどな」


 正輝はつい余計なことを言ってしまった。

次はエピソード『妖精拠点と幻惑作戦』『メタルハンター(1)』 「マサキは経済観念が残念です」

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