第49話 『僕が魔法少女ですか!!』
霊能力者のレイちゃんは、ダメ、無能、役に立たない?
著者:ピラフドリア
第49話
『僕が魔法少女ですか!!』
レッドの依頼で公園に向かった私達は、公園で魔法少女達と出会い、ベンチで談笑をしていた。
「霊力で変身ね〜。もしかして他の幽霊でもできるの?」
「どうでしょう、試したことはないですわ」
美津子ちゃんが私の質問に興味深そうな顔をする。私はリエの前に立ち、リエに命令する。
「さぁ、やりなさい」
「無理ですよ!!」
出来ないようだ。少し残念だが、しょうがない。
私達がそんな会話をしている中、楓ちゃんは私の頭にいる黒猫に手を伸ばす。
「師匠〜、僕が変身したら喜んでくれます〜?」
「…………」
「師匠〜?」
聞こえているようだが答えない黒猫。私は静かに身体を振って答えるように促すが、黒猫は頑固に答えない。
痺れを切らした私は小声で黒猫に尋ねる。
「なんで答えないのよ」
「どう答えろっていうんだよ」
「それは…………。でも、あんたが何か言わないと、楓ちゃんまた暴走するのよ! プールの時みたいに!!」
「…………」
「ねぇ、あんたちょっと期待してるんじゃないよね。ね?」
「してねぇよ!!」
黒猫へ詰問をしようとすると、楓ちゃんが私の腕を掴み引っ張る。身長では私の方が高いため私は腰を曲げる形で姿勢を低くした。
私と黒猫の目線に楓ちゃんの顔が近づくと、楓ちゃんは眉をひそめる。
「最近、二人とも仲良いですよね」
「「はぁ?」」
楓ちゃんの発言に私達は反論する。
「この変態と仲良いわけないでしょ」
「俺がこんなわがままビッチと仲良いわけあるか!!」
お互いの言葉に反応し、私は黒猫の髭を引っ張り、黒猫は私のことを引っ掻こうとしてくる。
「ほら、仲良いじゃないですか」
「「どこが!!」」
私と黒猫の声がハモる。
「楽しそうやな。霊宮寺と楓さん、あと…………ジジ?」
「ミーちゃんとタカヒロだ!!」
グレープに変身していたセナちゃんが私の前に手を出す。黒猫を抱かせろってことだろう。
黒猫は心の中で話し合った後、セナちゃんの腕に飛び移った。
「師匠〜、ずるいです! 僕のところにも〜!!」
「おぉ〜モフモフやぁ」
今度はセナちゃんと楓ちゃんの黒猫強奪戦が始まった。
私は黒猫達から解放された。それからしばらく雑談をしていたら、陽が沈んでいた。
「リエ、楓ちゃんそろそろ帰ろうか」
「はーい!」
リエと楓ちゃんを呼び、私達は帰ろうと準備を始めた。
「おい、俺は……」
魔法少女達に撫で回されていた黒猫が、私に顔を向ける。
「あんた、そっちにいたいんじゃないの?」
「…………」
「変態ね」
「やめろ!!」
黒猫は詠美ちゃんの腕を伝って登り、私の頭に戻ってきた。
「結局ここなのね……」
「レイさん、帰る前にコンビニでデザート買って行きましょう!! さっき堂島さんから美味しいデザート教えてもらったんです!」
「はいはい」
詠美ちゃんから教えてもらったデザートを想像して涎を垂らすリエの手を引き、コンビニを出る。
レッドや魔法少女達もコンビニの方が帰路のようで一緒に向かった。
コンビニについて私とリエ、楓ちゃんは黒猫を外に置いてコンビニに入った。リエはエクレアを買い、楓ちゃんも適当に欲しいものを購入して外に出ると。
「な、なかなかやるようですわね!」
車の怪人と三人の魔法少女、そしてレッドが激しい戦闘を繰り広げる。
買い物をしている数分で、コンビニの駐車場が戦場になっていた。
「戻ってきたか。レイ……」
「またなの……?」
「ああ、また襲ってきたみたいで。今度は車を怪人がさせて戦ってるらしい」
車の怪人は前輪を腕のように後輪を脚のようにして、二足歩行して戦闘をしている。
レッドやピーチの攻撃はボディには傷がつくが、怪人には大きなダメージはないようだ。
「どうしたらいいの!」
攻撃が効かず焦りが見えてきたピーチ。そのピーチを追い込むように、怪人は排気ガスを物体かさせるとピーチに投げつけた。
排気ガスは綿のように弾力を帯び、ピーチを包み込んで拘束した。
「今助けるで!」
動けなくなった詠美ちゃんを助けようと、グレープが駆け寄る。しかし、そのグレープの動きを予測していたように、怪人は再び排気ガスを投げてグレープも捕まえてしまった。
「大変ですわ!!」
「二人を解放するんだ!!」
怪人は捕まえた二人の魔法少女を人質に取る。
「ブロロロォォ!! 嫌ダ」
怪人は魔法少女の二人を盾のように使い、攻撃できないようにする。レッド達も人質がいると戦えないようで、攻撃が止まってしまった。
「これって実はピンチなんじゃ……」
「そうですね。でも、私達じゃ」
「何もできないよね」
私達には見守ることしかできない。せめて応援してあげようとその場に残ろうと考えていた。
しかし、黒猫は肉球で足音を殺してそっと逃げようとしていた。
「何逃げようとしてるのよ」
「危険な場所にミーちゃんをいさせないためだー!!」
「あんたが逃げたいだけでしょ」
黒猫が逃げようとするのを気づき、捕まえて抱っこする。
「よく気づきましたね」
「こういう時は大抵逃げ出すからね」
最初は暴れて逃げようとしていたが、黒猫はしばらくして諦めたのか静かになる。
しかし、このまま見守っていてもヒーロー達がやられてしまう。私は楓ちゃんに指令を出した。
「楓ちゃん、やっておしまい」
「はーい!!」
買い物袋をリエに託し、楓ちゃんは腕を回して準備運動してから、真っ直ぐ怪人に向けて走り出した。
「ウホ、危ないですわ!」
「楓君、近づいてきてはダメだ!!」
ゴリラとレッドは楓ちゃんに止まるように叫ぶが、楓ちゃんは聞くことはなく。怪人に向かって飛んだ。
「ブロロロォォ、こっちには人質がいるんだ、人質がどうなっても…………」
怪人は人質を盾にしようとする。だが、怪人が動くよりも早く楓ちゃんは怪人の懐に入った、
「早いわ!! あれが一般人の速さですの!?」
楓ちゃんは怪人を蹴り飛ばし、一撃で討伐した。やられた怪人は元の自動車に戻り、捕まっていた魔法少女達も解放された。
「助かりました、楓さん」
「凄いもんや」
ちょっとは苦戦するかもと思っていたが、簡単に怪人を倒してしまった。
楓ちゃんが強すぎるのか、それとも…………。
怪人を倒した楓ちゃんに変身を解除したヒーロー達が集まる。
「私達でも苦戦した怪人を倒すなんて、流石ですわ」
「なぁ、楓さん、あんたも魔法少女になってみないか?」
功績が認められて勧誘される楓ちゃん。
「僕がですか!! でも、僕…………」
モジモジして答えない。チラチラと私の抱いているものに視線を感じるが、黒猫は目を逸らした。
というか、魔法少女達は楓ちゃんの性別を知って勧誘しているのだろうか……。
「僕が魔法…………ですか」
「楓さんの魔法少女姿ですか、ワクワクします!!」
詠美ちゃんは楓ちゃんの変身した姿を想像して、心を躍らせる。
魔法少女達が勧誘をしていくが、レッドが間に入って止めた。
「やめとけ。ヒーローは簡単なものじゃない。一般人に勧めて良いものじゃない。すまんな楓君」
レッドはそう言いながら誤った流れで名刺を渡す。
「この人、ゴーゴーレンジャーの名刺を渡してますわ!!」
「しょうがないだろ、ブルーが倒されて一人欠員がいるんだ!!」
結局、バイトがあるという理由でヒーローの勧誘を断った。
事務所に戻った私達はヒーロー達の暑苦しさから解放され、やっとホッとできた。
「みんなお茶いるー?」
私が聞くとソファーやテーブルなどそれぞれの好きな位置に座ったみんなが返事をする。
「お願いします!」
「僕も!」
「ミーちゃんの水もな!」
黒猫の水まで変えさせられて、みんなに冷蔵庫になった麦茶を配った。
お茶を飲んでホッと一息ついていると、楓ちゃんが小さく唸っている。
「どうしたの?」
「いえ、僕もヒーローになった方が良かったのかなぁって思いまして」
「断ったでしょ。それに楓ちゃんがヒーローになったら、悪の組織を秘密基地ごと潰しちゃいそうよ」
「流石にそこまでは〜」




