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霊能力者のレイちゃんは、ダメ、無能、役に立たない?  作者: ピラフドリア


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第48話 『魔法少女現る!!』

霊能力者のレイちゃんは、ダメ、無能、役に立たない?




著者:ピラフドリア




第48話

『魔法少女現る!!』






 私とリエが朝食を食べている中、黒猫は新聞をテーブルに広げる。




「ん、迷子の強盗犯、ヒーローに逮捕される? なんだ、迷子の強盗犯ってなんだよ、間抜けだなぁ」




 数日前に捕まった強盗犯を嘲笑う黒猫。




「レイさん、お茶淹れます?」




「うん」




 リエは自分のコップにお茶を注ぎ終えると、残り少なかった私のコップにもお茶を入れてくれる。




「ありがとう。……あ、ついでにそこの醤油も」




「はいはい」







 時間が経ち、昼を過ぎた頃。楓ちゃんが勢いよく入ってくる。




「ハローー!! みんな、元気!!」




 部活を終えた楓が、身体からプールの匂いを漂わせながらリビングにやってくる。




「楓さん、お帰りです。今日の学校はどうでした?」




「ただいま〜。そうだね、友達の一人が授業中にゲームやって取り上げられてたよ」




「何やってるんですか……。その友達は……」




「んで、リエちゃん達は何してるの?」




 楓ちゃんはバッグを適当なところに置き、私達の所へ駆け寄ってきた。

 私達はテーブルを囲み、真剣に何かを動かす。




「レイさんとタカヒロさんが紙相撲で戦ってるんです」




「紙相撲?」




「エアコンをつけるかで争ってるんですよ」




「まぁ、秋になって温度的には微妙な感じになってきたけど……」




 私と黒猫はテーブルを揺らして、神の力士を動かす。私の作った南大山が黒猫の作ったギガントマウンテンを土俵の外側まで追い詰める。




「よしよし、そのままそのままよ!!」




「負けるな!! マウンテン!!」




 後少しで押し出せるというところだったが、マウンテンは突如方向転換し、私の南大山の背後を取る。そして大逆転で負けてしまった。




「あーーーっ!!!!」




 私は頭を抱えて崩れ落ちる。




「俺の勝ちだな。冷房はもう必要ないな」




「ううう……」




 敗北した私が落ち込んでいると、楓ちゃんが近づいてきて私の肩を叩いた。負けた私を励ましてくれるのか、そう思ったが、




「最近涼しくなってきたので、冷房はいいですよ」




「え〜」




「レイさん、暑がりすぎなんですよ〜」




「暑いじゃーん」




 私が文句を言い、黒猫にもう一戦仕掛けようとしていると、インターホンが鳴った。




「いるか!! 霊能力者、依頼に来た!!」




 それは聞き覚えのある声だった。嫌な予感がしながらも私は玄関へ向かう。

 扉を開けると、赤いヒーロースーツを着た人物がそこに立っていた。




「久しぶりだな。レイ君」




「レッドさん……」




 ゴーゴーレンジャーのレッド。前に幽霊に取り憑かれ、それを祓いに来た依頼人の一人だ。




「また怪人を倒して取り憑かれたんですか?」




「いや、今回は少し違ってな。街中で幽霊を見かけたんだが、どうやら困ってる様子でな。人助けはヒーローの仕事だが、幽霊の扱いは分からないのだ」




 だから手伝って欲しいと……。




「分かりました。準備するので待っててください」




 私はリビングにいるみんなにも、レッドが来たことを説明し、出かける準備を始めた。









「ここだ。ここに幽霊がいたんだ」




 レッドに案内されて、たどり着いたのは公園にある公衆トイレ。




「見間違えじゃないんですか?」




「本当だ。幽霊君、出てきたまえ、霊能力者を連れてきたぞ」




 レッドがトイレに向かって叫ぶ。すると、トイレの入り口から生温い風が吹いてきた。




「霊力を感じます。出てきますよ」




 リエが風から霊力を感じた後、その幽霊は姿を現した。それはおかっぱ頭の女の子。彼女はレッドの手を掴んで握手をする。




「本当に来てくれたのね」




「ヒーローは約束を守るからな」




 彼女の身体は透けており、本当に幽霊のようだ。私は彼女にどんな未練があるのかを尋ねる。

 すると、彼女は、




「こっちです……」




 そう言って女子トイレの中へ消えていく。レッド達が追いかけようとしたが、




「待って、あなた達はここで待ってて。私とリエで行ってくるから」




 そう言い、トイレの前で待たせて私とリエで中に入った。

 女子トイレの手前から四つ目の個室。扉の内側を幽霊の少女が注目する。




 私とリエがそこを見ると、そこには傘のイラストの下に、二つの名前が刻まれていた。





「これって…………」




 幽霊の少女は顔を赤くして隠す。




「……はい。これが恥ずかしくって恥ずかしくって……。それでこれを消して欲しいんです」







 数分後、私とリエは公衆トイレから出てきた。




「幽霊君は成仏できたのか?」




「はい。それでレッドさんにお礼を頼まれまして、ありがとうございます。ですって」




「そうか。ヒーローとして当然のことをやっただけなんだけどな」




 照れている様子のレッド。依頼も終えたし、私達は公園を出て帰ろうとしていたが、公園の中央が騒がしいのに気づいた。




「師匠〜、さっきからあっちで何かやってますよ」




「ん、なんか見えるな」




 公園の中央で向かい合う集団。

 二足歩行して革ジャンを着ている狼と三人の女子中学生が睨み合っていた。




「あの狼男……」




「レッドさん、知ってるんですか?」




「ああ、あれは悪の組織ケーゼトルテのメンバーだ」




「なにその名前……」




 私のツッコミを気にせず、レッドはその悪の組織達の動きに目をやる。




「っとなると、あの少女達は……」




 三人の少女達は手を上にかざすと、空から手のひらサイズの人形みたいなものが飛んでくる。




「なんでしょうあれ、霊力があるから幽霊でしょうか?」




 人形は動物の見た目をしており、それぞれの少女の手のひらに乗る。そして、その人形と共に少女の身体が光出した。




「え!? なに!!」




 私達が驚く中、レッドが腕を組んで解説する。




「変身だ」




 少女達の身体が光に包まれると、レッドの宣言通り変身演出に入った。

 少女達の服が変化して、魔法少女風の衣装に変わる。すると、少女達はお約束のポーズを決める。




「プリンセスピーチ!!」




「プリンセスグレープ!!」




「プリンセスゴリラ!!」




「「「三人揃って、プリンセスエンジェル!!!!」」」




 三人の魔法少女はカッコよくポーズを決めた。しかし、私は見逃さなかった。いや、現在進行形で…………。




「ゴリラになったァァァァァ!!!!」




 一人の女子高生がモノホンのゴリラに変身した。




 魔法少女がいることに驚きたい。驚きたいのだが。それよりもゴリラの方が驚きだ。

 着ぐるみとかそんなレベルじゃない。もう本当にゴリラだ。なんなら戦闘中にバナナ食べてるし!!




「プリンセスエンジェルか。いつもいつも邪魔をしやがって!!」




 利口に待っていた狼男は指を鳴らすと、狼男の指から黒いハートが現れた。その黒いハートは近くにあったブランコにぶつかると吸収されて、ブランコに変化をもたらす。




「やってしまえ、ブランコン!!」




 狼男が叫ぶと、ブランコに顔が浮かび出て、変形する。手足が生えてブランコの怪人が出来上がった。




「ブランコォォォォォ!!」




 ブランコの怪人は三人の魔法少女達に襲いかかる。腕をグルグル回して、回転パンチだ!!




 しかし、魔法少女の三人は素早く飛び上がり、あっさりとブランコ怪人の攻撃を躱した。

 攻撃を避けた魔法少女の三人はそれぞれの必殺技を放つ。




「ピーチスプラッシュ!!」




「クロスパープルハリケーン!!」




 ピーチは手のひらから桃模様の光線を発射。グレープも同様に指を十字にしてそこからブドウ模様の光線を、ブランコ怪人に向けて放った。




 二人の光線がブランコ怪人に直撃する。しかし、




「ブランコォォォォォ!!」




「効いてない!」




 魔法少女の攻撃を無傷で耐えた。狼男は大きく口を開けて高らかに笑う。




「さぁ、そのままやっつけてしまえ!!」




「ブランコォン!!」




 ブランコ怪人は技を放ち、無防備になった二人を狙う。だが、




「ゴリラパーンチ!!」




 ゴリラが二人を守るように間に入り、ブランコ怪人を殴り飛ばした。




「「プリンセスゴリラ!!」」




「ここは任せるウホ!!」




 ゴリラはブランコ怪人を追いかけると、両手の拳を使い、連続で怪人を殴りまくる。




「ウホウホウホウホウホウホウホっ!!!!」




 殴られ続けたブランコ怪人はダメージを受けすぎて、地面に手をついた。




「今ウホ!!」




 ゴリラが合図を出すと、後ろで控えていたピーチとグレープは手を繋ぎ合うと、二人の正面にピンクと紫の合わさった気持ち悪いウネウネのエネルギーが生まれる。




「エンジェルボンバー!!!!」




 そのエネルギーが発射されて、ブランコ怪人を包み込む。ブランコ怪人は浄化され、黒いハートが飛び出すと、元のブランコの姿に戻った。




「な、なに!? また負けただと!!」




 狼男はブランコ怪人がやられて焦り出す。魔法少女達に囲まれ、このままではやられると思った狼男は、スタコラサッサと逃げていった。




「やった勝ったわよ!!」




「ええ、やったな。ピーチ」




「ウホウホ」




 キャッキャっと喜び合う魔法少女達、戦いの様子を見ていたレッドは三人に賛美の拍手を送った。




 拍手の音を聞いて、魔法少女達はこちらに気づくと変身を解除してこちらに向かってきた。




「レッドさん、見てたんですか!!」




「ああ、良い戦いだったぞ」




 ピーチに変身していた女子中学生はレッドと握手をする。変身していた時は桃色の髪だったが、返信を解除すると黒髪の普通の子だ。

 他の子も同様でその辺にいる子と変わらない。




「レッドさん、そちらの方々は?」




「ああ、前に幽霊に取り憑かれた時にお世話になった霊能力者のレイさん達だ」




 紹介された私は頭を下げて挨拶する。




「霊宮寺よ。魔法少女が本当にいるなんて驚きよ」




「坂本 楓です。とってもカッコよかったよ!」




「ハハハ〜、私もまだこの生活が信じられませんよ……。っと、幽霊を連れてるんですね」




「え、見えるの!?」




「はい!」




 どうやら魔法少女の全員が見えている様子だ。レッドは見えていないのだが、こういうヒーローもいるんだ〜。




「あ、私達も自己紹介しますね。私はプリンセスピーチの堂島(どうじま) 詠美(えいみ)です」




「俺はプリンセスグレープの吉田 セナ(よしだ せな)やで」




「プリンセスゴリラの冨岡(とみおか) 美津子(みつこ)と申しますわ。よろしくですわ」




 全員良い子なのだが、ゴリラに変身していた子だけお嬢様感がすごい。なにこのギャップ。




 リエと黒猫、それぞれの紹介も済ませて私達は公園のベンチで少しお話をすることにした。




「レッドさんと同じヒーロー事務所に、所属してるんですか」




「そうなんですよ。リエちゃん。まぁ、戦う悪の組織は違うから、同じ地域で戦ってるだけって感じなんですけどね」




「そういえば、詠美さん達が変身する時に一緒にいた、ぬいぐるみって幽霊ですよね」




「よく気づきましたね!」




 詠美ちゃんが手を上に翳すと、空から変身する時にやってきた人形がまだやってきた。

 詠美ちゃんの真似をするようにセナちゃんと美津子ちゃんも人形を呼び、頭を撫でて可愛がる。




「流石幽霊やな。この子らに気づくなんてな」




「リエちゃんの仰る通りですわ。この子は幽霊ですの」




 三人の手には手のひらサイズの動物が、撫でられて嬉しそうにしている。私が見ていると視線から察してか、詠美ちゃんが私に撫でさせてくれた。




 確かにひんやりとしていて半透明だ。触り心地はハムスターを撫でている感覚。

 私の頭に乗っている黒猫も興味津々で、身を乗り出して動物を見ている。




「食べちゃダメよ」




「食うか!! ……く、食わないよな、ミーちゃん…………」




 ミーちゃんを抑えるのをタカヒロさんに任せて、私は気になっていたことを詠美ちゃんに尋ねた。




「ねぇ、あなた達が変身した時、この子達が何かしたの? 私にはそう見えたけど」




「お、気になっちゃいます、気になっちゃいますよねー!!」




 質問され、詠美ちゃんは目を輝かせると、嬉しそうに説明をしてくれる。




「私達魔法少女は幽霊と契約し、その霊力を借りて戦っているんです。魔法少女の衣装は霊力の集合体、鎧みたいなものです!!」




 説明している時の詠美ちゃんの熱意に私は少し引くが、それは私達だけでなく、他の魔法少女の面々も同じようだ。




「また始まりましたわ」




「やな。またや」




 それから詠美ちゃんは自分で考えた、魔法少女の性質や特徴についての考察を聞かせてくれる。しかし、このままでは永遠に話し続けそうだったため、私は、




「も、もう十分よ……」




「え、そうですか? 私はまだ……」




「もう良い! もう十分だから!!」




 私が断ると、詠美ちゃんは下を向いて落ち込む。流石に落ち込んでいる姿を見て気が引けてくる。




「いや、今度聞いてあげるから……」




「本当ですか! やったー!!」




 こうして約束をしてしまうのであった。





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