第76話 無意識 拒否 夢乃
朝 教室に入ると燐とかはいなくて。
確か明美は今日サボるって言ってたような・・・
奈央は結構ギリギリに来るからまだ来るはずない。
キョロリと見渡すと新一 要 飛鳥が窓際にいた。
「ねぇ 燐は?」
飛鳥に聞くと新一と飛鳥はくすくす笑いながら
「トイレにいると思うよ。」
という。
「何かあったわけ?」
「いや!なんでもねぇ!!」
明らかに何かあった という態度で要が言う。
バレバレ・・・
鼻でため息をついて私は女子トイレへ向かった。
「・・・燐 と・・・華穂?」
燐とその横に小さな影。
覗き込むとやっぱり華穂だった。
「要とかさ」
私がそういうと華穂の肩がピクリと動く。
「・・・華穂と何かあったわけ?」
華穂は気まずそうな顔で私を見た。
それから私と燐の腕をつかんで泣きそうな顔で言う。
「どうすればいいの?何か変なの!おかしいの・・・違うの・・・」
軽くパニックになっているようで華穂は目をぐるぐる回しながら高い弱弱しい声で言った。
「何?何が?」
私が頭を撫でると華穂はふるふると頭を横にふった。
「いつもと違うの 要・・・違うの・・・」
なんとなく 何が起きてしまったのかがわかった。
過剰反応もいいところだ とかすかに思って目をそらす。
いつかこうなるとわかっていた。
なんの感情もない者達がずっとそばにいて 守りあって
そんな都合のいい話 ないだろうと
わかっていたのに
いざこうなると 自分のことじゃなくても泣きそうになる。
「華穂 落ち着いて 何かあったの?」
燐が華穂の手を握る。
「き 昨日階段でかばってくれた時から・・・なんか顔見るの恥ずかしくて・・・ッなんかもうよくわかんない・・・」
身に覚えがあるはずの燐は黙った。
「・・・保健室行ってくる」
華穂はそう言って燐の手を離した。
「え・・・どうしたの?」
「おなか痛い」
華穂はぼそぼそ喋ってトイレを出た。
バタン・・・
華穂がいなくなると急にトイレの異臭が気になった。
「燐 出よ?」
私が言うと燐はコクンと頷いた。
「華穂のこと・・・どう思う?」
ドアを開けてぼそりと言う。
「要のこと・・・好き っぽいね」
『要』と『好き』の単語はかなり小さく言う。
「・・・まったく」
どんなにつなぎとめておきたいと私1人が思っても しょうがなかった。
「ねぇ 燐・・・」
絶対に燐には顔が見えないように 背を向けて言う。
「なんで こうなっちゃったんだろ?」
燐の返事はなかった。
どうしてだろう?
なんでだろう?
わかっていたことでも やっぱり動揺してしまう。誰かに問いかけてしまいたかった。
答えを私は知っていたし どうするべきなのかもわかってた。
だけど したくなかった。
なんで?どうして?
どうして あのまんま 『みんな仲良し』でいられなかったんだろう?
燐と飛鳥
克哉は私
華穂と要
みんなこうやって離れてく
だけどやっぱり いつからか気づいていたことだった。
いつかはこうして誰かしら離れていくと
それまでは笑っていけるだろうと
どこかでわかってた。
それでも 無意識のうちにそれをわかりきってしまうことを拒否していた。




