第72話 華穂とレントゲン室(要)
病院のにおい
初めて見る人間の顔
じっと俺の目ばかり見る医者
病院っていうのは 大嫌いだった。
「・・・だから たいしたことねぇってば」
「いいから レントゲン撮ろう?な?」
医者が俺を宥めるように言う。
一緒にいた先生と華穂が笑い出す。
ったく 笑い事じゃねぇし・・・
「じゃあ・・・江田さんからにしましょうか」
医者がにっこりと愛想笑いで華穂に言う。
「はーい♪」
華穂はにっこりと微笑んでレントゲン室へ向かっていった。
「だから!たいしたことねぇから!レントゲンとか金かかんじゃん!」
「お金の問題じゃないだろう?」
「金かけてレントゲン撮って?なんともなくて?んなの医者の好都合だろ!」
俺は医者というものが嫌いだった
小さい頃から
病院のにおいも 初めて見る人間の顔も 注射で泣き叫ぶやかましいガキも 話しかけてくるじいさんばあさんも
みんな嫌いだった。
でも 医者が1番嫌いだ。
だって・・・
「とにかく!華穂のが終わったら俺は一緒に帰る!」
「コラコラ 悪あがきはやめなさい」
子供でも宥めるような医者の顔に余計イラだつ。
「ったく わかったよ!レントゲンとりゃいいんだろうが!」
どうせなんともねぇんだ!!
俺はずかずかとレントゲン室へ向かった。
レントゲン室がどこかなんて聞かなくてもわかる。
最近の病院ってのは金かかってるとこもあればかかってないところもあって。
この病院は・・・かかってんな そこそこ。
で、なんでわかるのかっつったら
頭上には小さな看板。
ここは病院だっつーのにデパートのトイレの場所案内みたいな看板がある。
ここはどこだ!!
俺は買い物しに来たわけでもトイレに行くんでもねぇ!!
「めんどくせ・・・」
ぼそぼそ言いながらレントゲン室としっかり書かれた部屋を開ける。
ガチャッ
「あ゛」
・・・ん?
華穂のにごった声が耳についた。
顔をあげるとそこには
「か・・・なめ?」
顔のひきつった
下着姿の 華穂。
「・・・な・・・ふぇんうぃfぺwじょpうぇじょp!!?」
バタン!!!!!!!!!!
声にならない悲鳴をあげて俺はレントゲン室のドアを閉めた。
・・・はぁ!?
な なんで!?なんで下着!?華穂!?え!?!!?
頭がこんがらがってそのうち俺は冷えた秋の床に座り込んでた。
それでも心臓だけはやかましく暴れてて
や、心臓だけ じゃなくて
体全体が沸騰したように熱くて 心臓のようにバクバクしてた。
ため息をついてそのまま下を向いた。
しばらくすると 顔を赤くした華穂がレントゲン室から出てきた。
「か 要の番・・・だ だよ・・・」
華穂は俺の顔なんて見ないで床ばかり見つめてた。
「あ・・・あぁ・・・」
なんだか俺まで顔が赤くなってきた。
「そ・・・その・・・・ゴメン 華穂がまだき・・・着替え中とは思わなくて・・・」
そうだ レントゲン・・・だし
着替えるのは当たり前なんだった・・・
バカなことした・・・!!
「え、あ・・・いや・・・だ 大丈夫だよ!べ・・・別に・・・」
「あ・・・あぁ ゴメン・・・んじゃ・・・」
思い切り動揺したまま俺はレントゲン室へ入る。
制服のボタンを外しはじめる。
華穂も・・・平気とか言ってたけど一応傷ついたよなぁ・・・
奴も一応女だし・・・
ん?
一応?
一応ってなんだ 一応って。
ずっと一緒だったし・・・小学生の低学年の頃なんて素っ裸だって見たことあるわけだし・・・
いまさらって気もするけどさぁ・・・
その なんていうか・・・やっぱ昔とは違うわけなんだよなぁ・・・
バカか俺は
何目に焼き付けてんだ 華穂の下着姿なんて!!
かあぁっとまた体が熱くなってきて俺はすぐに制服を脱いだ。




