第71話 華穂と要と階段
朝 私は軽やかな気分で教室のドアを開けた。
「おはよー!!」
が しかし
「あ・・・あれ?」
克哉はまた教室の隅でいじけてる。
それを夢乃達はあきれたように眺めてる。
「ゅ 夢乃?あれは・・・」
「いや 燐 ほっといたほうがいいぞ」
飛鳥が言う。
「え?どういうこと?」
「夢乃のバカ!期待させやがってぇぇぇ!!!」
克哉が叫ぶ。
「うるさいわねぇ 勝手に期待しないでよ気持ち悪い・・・」
「だって!夢乃が人前で泣いて謝ったんだぞ!?普通期待するだろ!!」
克哉が新一に同意を求めると新一はシカト。
まぁ、確かにあれはなんか・・・期待させる雰囲気ではあったし・・・
「・・・1ヶ月 頑張りなさいよ」
夢乃がボソリとつぶやくと克哉は嬉しげに笑った。
夢乃が 克哉への接し方を変えたのは みんな気づいた。
夢乃は夢乃なりに 何かに納得したのかもしれないし
もしかしたら
克哉を信じ始めたのかもしれない。
「燐!要と華穂が怪我して保健室にいるんだってさ!!」
休み時間 私に大きな声で知らせに来たのは 奈央だった。
「・・・へ?怪我?」
「なんか要が華穂をかばったとかで・・・」
私と奈央は保健室へ向かった。
「失礼します・・・要と華穂・・・いますか?」
保健室の先生はいなくて そこには2人で長いすに座ってる華穂と要だった。
「おーどうしたよ2人して」
要が平然と言う。
「へ?怪我・・・したって聞いて来た・・・んだけど・・・?」
「あぁ、たいしたことねぇよ!」
要が笑いながら立ち上がろうとすると華穂が腕をつかむ。
「ってぇぇ!!!?」
要が急に大きな声を出すから私と奈央はビクリとして後ずさり。
「歩いちゃだめ!!」
華穂は涙目で要に言う。
要はため息をついてまた椅子に座った。
「何があったわけ?」
私が聞くと華穂は急に泣き出した。
「ごめんなさぃ・・・」
「か・・・華穂が謝ることじゃねぇよ!」
要が華穂の頭を撫でる。
「え?何?どうしたわけ?」
奈央が聞くと要がこちらを向く。
「いや・・・一緒に教室に戻ってたんだけど・・・途中で華穂が上級生にぶつかってバランス崩してさ。俺が支えようとしたんだけど・・・それで俺までぶつかってバランス崩しちゃってさ」
要があははっと大きな声で笑う。
「はあ・・・それで?」
「結局2人して階段から落ちちゃったってわけ☆」
「しかも要バカだから私かばって落ちたんだよね・・・」
「や、あれはたまたまだって;;」
つまり話をまとめて箇条書きにすると・・・
●華穂が上級生とぶつかる(バランスとくずす)
●華穂を支えようとして要が手を伸ばす
●その直後要も上級生にぶつかりバランスを崩す
●要は女の子の華穂をかばおうと自分が下になり2人でごろごろ転がりながら落下
2人共打撲・ねんざなどの怪我(要のがひどい)
「要・・・大丈夫なの?」
私が聞くと要はごまかすように笑った。
「あー、まぁ・・・右手がちょい怪しいかも・・・後全身打ってさ 結構痛い・・・」
「だから!なんでかばったりするのかっつってんの!バカ!?」
「あのなぁ 俺だって咄嗟のことだったからさぁ・・・もう過ぎたこと言うなよ」
「・・・・・・」
華穂がごしごしと目をこする。
「・・・いったそー」
私が要の頬に触れる。
頬はすでに赤くはれ上がっていた。
「あ、ちょっとうったみたいだな あんまし痛くねぇんだけど・・・」
ガラッ
保健室の先生が入ってくる。
「要君と・・・一応華穂さんも。病院行きましょう。」
先生が私達なんて見てない みたいな表情で要と華穂をまっすぐ見る。
「え?先生 大丈夫だって・・・病院なんて・・・」
「貴方のほうが重病なの。保護者には後で電話するから・・・」
「電話なんてしないで!!」
声を急に荒げたのは 華穂だった。
「華穂・・・?」
要が心配げに華穂を見下ろす。
「あ・・・ち 違・・・そうじゃなくて!そこまでおおげさじゃないっていうか・・・」
あ
違う
うそついてる顔。
何か ある顔。
「・・・とにかく 病院に来なさい」
華穂と要は病院へ連れて行かれた。




