第64話 お泊り最終回
結局私はずっと椅子に座って待ってた。
「ねぇ そういえば9月に秋祭りあるね」
「んー?あぁ、そうだなぁ・・・祭り多すぎ」
「・・・一緒に行く?」
「えー?秋祭り・・・なんか祭りってみんな一緒だし 行かなくてもよくないか?」
そういえば飛鳥は毎年祭りに関して積極的じゃないし 決定しても乗り気じゃない。
「・・・んー」
「祭り行かなくてもさー どっか行けばいいじゃん。」
「うん それでも別にいーけど・・・」
「祭りじゃなくても一緒にいりゃいいだろ?」
なんか そういう言い方は腹立つ・・・
事実だけど そんな『そうすりゃいいだろ』みたいな言い方 いい加減っぽいし・・・
心の中でぐちぐち言ってると机にゆげを放つご飯と納豆の白いパック わかめの味噌汁と玉子焼きと油でつやつやしたウィンナーが置かれる。
「ハイ ウィンナーあるから納豆無理に食べなくていいよ」
私は納豆が嫌い・・・
「ん・・・ありがと・・・」
ぼーっとした頭の中もごもごと食べだす。
「味噌汁 熱いからさま・・・って」
「あつっ!」
飛鳥がいい終わらないうちに私は味噌汁に口をつけていて、舌に熱い味噌汁が触れる。
「熱いぃ・・・」
「だから言おうとしたのに・・・」
「うぅ・・・舌ひりひりするよぅ・・・」
「大丈夫大丈夫 ホラお茶!」
飛鳥が慌てて冷蔵庫からお茶を出す。
「うん・・・アリガト」
しみる〜!
なんかひりひりするし〜!
そしてその後 私は飛鳥と手をつないで家へ戻った。
結局秋祭りは行かないことになってしまって。
そして 休みも明け 学校・・・
「・・・ねぇ こんなこと言うのはなんなんだけどさぁ」
教室に入っての私の第一声。
「なぁに?」
夢乃がにこやかに言う。
「そこにいるうっざったーい! 生き物は何?」
そこには克哉が夢乃のそばにいるくせに背を向けて体操座りしてる。
何がしたいのか・・・
「さぁ?私には見えないんだけどねー♪」
夢乃は明らかな作り笑顔で言う。
「燐!俺の話聞いてくれるか!?」
克哉が急に立ち上がって私に言う。
「はー?聞きたくないんですけどー」
「聞いてくれぇぇぇ!!」
「ハイハイ・・・で?何があったわけ?」
克哉の話によると
克哉は朝っぱらから夢乃に告白
「夢乃!好きだ!本気で好きだ!俺とつきあえ!」
夢乃はキッパリと
「無理 いやだ 絶対いやだ」
しかし克哉は?
「つきあってくれなきゃ死んでやる!」
さすがの夢乃もこれには少しくるかな?とか思ってた克哉に夢乃は・・・
「あっそ 死ねば?」
冷たい・・・
「ひでぇ!本当に死んでやる!死んで化けて出てやる!!」
克哉は筆箱からはさみをだして手首に当てようとすると・・・
「バカね それぐらいじゃ死なないわよ。そのはさみ 昔から使ってるやつでしょう?さびてるじゃない。それで死ねるとでも思ってるの?」
「へ・・・?」
「本気で死ぬ気なら そこから飛び降りなさいよ」
そう言って夢乃は窓を指差したそうです☆
「ひどくない!?本当に死ぬよ!」
「そりゃ・・・アンタが死んでやるっつったんがいけなかったんじゃないの?」
「夢乃ぉぉぉぉ!!!!」
「・・・うるさいわねぇ」
ため息をついて夢乃が立ち上がる。
そしてくるりと回れ右をして克哉を見下ろした。
「あのね 私はアンタのことなんてぜぇんっぜん!好きじゃないし、つきあう気なんてさらっさらない!つきまとわれてもウザイだけなの。消えろ」
夢乃はあくまでにっこりと微笑みながら言う。
「そっそんな だって俺・・・」
「まだ言う?」
夢乃が無表情でそういうと克哉は黙る。
「アンタなんてね ウザイし諦め悪いからね 私、大ッッ嫌いなの。」
夢乃は無表情のまま 克哉を見下ろしてハッキリと言った。
大嫌い
それは 私でさえも夢乃から聞いた 初めての言葉だった。
夢乃が嫌いというものは人ごみだったり教科だったり 食べ物だったりするわけで。
こんな風に人に それも面と向かって冗談も一切なしで言うことなんて 初めてだった。




