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第42話 お祭り チョコバナナ編

その後しばらく2人で公園にいて喋ってた。


「・・・燐 そろそろ祭り戻るか?」


「・・・んー」


なんだか眠くなってきて目をこすり飛鳥から離れる。


「チョコバナナ食うだろ?」


「うん♪飛鳥も食べよ?」


「俺甘いの無理・・・からあげ食う」




お祭りに戻りチョコバナナを買ってもらう。


「美味しい〜♪」


「そうやってりゃ可愛いんだけどなぁ・・・」


「ん?何がぁ?」


「いや?知らない男信じるのは問題だなーと思って」


ニヤリと飛鳥がいじわるく笑う。


「だっだって いい人だって思ったんだもん!」


「・・・まぁ、ついてかなかっただけいーけどさ」


「? あ、からあげあったよ!」


「あーうん・・・」


キョロリと辺りを見ると迷子センターがあった。


「ホラ あそこに座ってるおじさん!」


さっきのおじさんを指差して飛鳥に言う。


「んー?」


飛鳥は目を細めておじさんを見た。


「ね?いい感じの人でしょ!?」


「まぁ・・・いい人気ではあるな・・・まー外見じゃわかんねぇからな」


そういいながら飛鳥は私をおいて迷子センターに行く。


慌ててついていくと飛鳥はおじさんに向かってさっきすぐにたいらげてしまったからあげの紙コップを投げつけた。


「なっなんだ君は!!」


「燐に酒飲ませてんじゃねーよジジイ」


「ちょっ 飛鳥!?」


「君は・・・」


おじさんが私を見る。


「あ・・・すっすいません!飛鳥 ホラ行こ?」


「悪ィのはコイツだろ!?未成年の・・・しかも人の女に!目ェ離したスキに酒なんて飲ませんな!」


「飛鳥・・・」


警察官だってうろついてる。


もしもこんな光景見られたらどうなるかわからない。


周りの人はじろじろ見てくるし・・・


すでに警察官のところへ行った人がいるかもしれない。


それなのに




普通 あせるべきで 不安になるべきで




それなのに 嬉しいと思ってしまい 口がゆるむ私がここにいた。






「あのジジイムカつく!!」


あの後私がなんとか飛鳥を宥め、あそこからかなり離れた場所で人気もあんまりない通りに連れてきたところで飛鳥が言った。


みんなお祭りに行ってるせいか、少し神社の道筋を離れれば人はほとんどいなかった。


「ったくさーこっちは本気で怒ってんのに何も知らねーみたいな顔して・・・ムッカつく!」


「まぁまぁ飛鳥・・・」


「お前も怒れよ!」


「だって・・・別に私は・・・」


飛鳥が怒ってくれただけでじゅうぶんだったし・・・


「ったく・・・」


ぶつぶつ言いながら飛鳥がうつむく。


「?」


「・・・悪い」


「なんで飛鳥が謝るの?」


顔を覗き込むと飛鳥は顔を真っ赤にした。


「や・・・その・・・なんていうか・・・目 離して・・・ゴメン」


「そんな子供じゃないのに 何言ってんの?」


「そうじゃなくて・・・なんでもない」


飛鳥は『はーッ』と大きくため息をついた。


「飛鳥 疲れた?」


「ん、そういうわけじゃないよ」


「あ、これ捨ててくるね」


バナナチョコをさしてた棒を見ながら言う。


1歩飛鳥から離れると飛鳥の手が目の前に来る。


「ふぇ?」


ぐいっとひっぱられる。


飛鳥の腕が首輪のような感じで、私がいくら暴れても離れることはできなかった。


「ちょっ飛鳥!恥ずかしいから!」


「・・・離れんな 人多いんだから」


飛鳥はそう言ってため息をつく。


「心配性!」


「・・・バカ」


「へ?」


「いいから・・・そばにいろよ 目の届くとこにいてくんねぇと・・・なんか不安」


「そんなの・・・」


「さっきみたいに酒飲まされると困るしな」


「・・・っ!!」


そういわれると もう反論できなかった。


「ねぇ だったら・・・一緒にごみ捨てに行こうよ」


そう言って離れようとすると飛鳥はくすりと笑った。


「人前で恥ずかしい?」


「あっ当たり前でしょ!」


「ふーん 帰り・・・俺の家来てよ」


「へ?なんで?」


「なんとなく 来なよ」


「わ・・・わかったよ・・・」


「いっちばん最近・・・来たのいつだっけ?」


私が飛鳥に背を向けて歩き出すと飛鳥も着いてきた。


「中・・・1の時かなぁ?」


さすがに中学生にもなると世間でいう『お年頃』というやつなわけで


男の子の家に女の子が行く・・・なんて やっぱり・・・おかしいというか 今までとは違う感じになってしまうのだ。


冷やかされたりはしたくなかったし 何より飛鳥がもう私達女を部屋に入れたがらなくなってしまったのだった。


「どういう風の吹き回し?自分から部屋に入れようなんてさ」


「・・・別に 彼女なんだから彼氏の部屋に入るくらい普通かなーって。」


・・・そうだった


なんだか 忘れてたものを思い出すような感覚。


忘れちゃだめだよね・・・


心の中で苦笑した。


「言っとくけど やらしいことはしないけどね」


「な・・・ッッ 当たり前でしょ!」


「ま、親いないから何してもいんだけど?」


「バッカじゃないの?」


「あははははっ」


「あははははっ」




こうやって 笑ってればいままでと変わらない。


だけど 変わったものはある。


こうやって2人でお祭りに出かけて


手なんてつないで


キスして・・・・


変わったものは確かに存在した。


それでも 『今まで通り』を望んでしまう。


私は 飛鳥とどうなりたいんだろ?




考えなければなんでもないことを どうしても考えてしまった。



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