第2話
「あなたは明日から吊り橋効果課へ異動です」
「え?」
アリアは目をぱちぱちと瞬かせた。
「わ、私……異動ですか?」
「はい」
「で、でも……まだ運命演出課のお仕事一日目ですよ?」
「一日目で異動になる人は、天界でもあなたくらいです」
「そ、そんな……」
アリアの頭上に小さな羽がしょんぼりと垂れる。
「だ、大丈夫です!」
しかし、アリアはすぐに顔を上げた。
「次のお仕事では絶対に成功してみせます!」
「……」
「今度こそ!」
その言葉を聞いた運命演出課の天使たちは、優しい笑顔を浮かべた。
「頑張ってね」
「応援してるわ」
「……まあ、うちではもう無理だけど」
「最後の一言いらないです!」
◇◇◇
「では、説明します」
翌日。
アリアは新しい部署へやって来ていた。
そこには巨大なモニター。
映し出されているのは、人間界の遊園地だった。
「今回の任務は簡単です」
「男女二人を観覧車に乗せる」
「そして少しだけドキドキする状況を作る」
「その結果、相手への意識を高める」
「なるほど……!」
アリアは真剣な顔で頷いた。
「つまり!」
「怖がらせすぎなければいいんですね!」
「そうです」
「任せてください!」
担当天使は少し不安そうな顔をした。
「……本当に大丈夫ですか?」
「はい!」
「昨日、風を吹かせすぎて人を飛ばした人ですよね?」
「……」
「大丈夫です!」
(本当に大丈夫かしら・・・??)
「対象、観覧車へ乗りました」
「アリアさん、お願いします」
「はい!」
アリアは杖を構える。
「少しだけ揺らす……」
「少しだけ……」
「少し……」
そして。
「えいっ!」
ゴゴゴゴゴゴッ!!
「え?」
観覧車が大きく揺れた。
「きゃああああ!」
「うわあああ!」
乗客全員が悲鳴を上げる。
「アリアさん!」
「これは吊り橋効果ではありません!」
「ただの恐怖です!」
「え……?」
アリアは首を傾げる。
「でもドキドキしてますよ?」
「意味が違います!!」
◇◇◇
「もう一度チャンスをください!」
アリアはラブハプニング課へ送られた。
「ここでは自然な偶然を作ります」
「例えば?」
「落とした消しゴムを拾う」
「雨の日に傘を貸す」
「同じ係になる」
「なるほど……」
アリアは頷く。
「簡単ですね!」
「嫌な予感しかしない」
◇◇◇
「では、消しゴムイベント」
女子生徒が消しゴムを落とす。
男子生徒が拾う。
手が触れる。
完璧な流れ。
「今です!」
アリアが魔法を使う。
すると――。
机。
椅子。
教科書。
全部が一斉に落ちた。
「え?」
「なんで!?」
「教室崩壊してるじゃないですか!」
「……」
アリアは小さく呟いた。
「でも……拾うものは増えました」
「そういう問題じゃありません」
(はぁー、、、、、どうしようこの子)




