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第十三話 「騒動直後」

 ウィル達はソウルポリス一般居住区の使われなくなった地下道を歩いていた。


「いや さすがに驚いたなさっきの戦闘は! だがさすが俺のフォスだ! ちっともビビってねえ」


「まさか 怪盗ジャッジが都合よく俺たちを助けてくれるとはな。いつもあんな感じだったらいいんだがな。」


「確かにそうだが、ウィル お前今日片手が無くなったんだぞ! もう少し緊張感をだな」


「その件については本当に感謝してる。だがもう終わったこと。後戻りもできないから気を引き締めないとだな」


「ホントにお前は多重人格者か何かか?」


「ねえ 怪盗ジャッジって 怪盗だから 盗み をするんだよね?」


「そうだな ジーン、怪盗ジャッジは普段貴族の館に忍び込んで貴重な宝飾品や芸術品の数々を盗んでいるそうだ。今のところ、この国で最も政府に楯突いている連中だな」


「もしかして..... ウィル 怪盗ジャッジって 移民居住区にも来るのかな?」


 ジーンが言いたいことがウィルにはすぐに理解できた。移民居住区でジーンとマジックアイテムを使用して記憶の結合を行なった際に垣間見えたジーンの記憶の中で、廃棄物処理場に度々置かれていた芸術品が出てきたが、それらを運んできた者の姿は確認できなかった。しかし、その謎の配達人の正体に思うところがあるのだろう。それはウィルも同じだった。


「ジーンが言いたいことはわかる。俺も配達人の正体は怪盗ジャッジだと思う。証拠がないから決めつけるのはよくないがな」


「.....だとしたら 助けられて ばかりだ.... 移民居住区にいた時は情報なんか全く回ってこないから 存在自体知らなかったけど今回初めて 会って そんな気がした」


「今回の件で少なくとも敵でないと分かって良かったじゃないか。それに俺らと同じく政府に対抗しようとしてたしな」


 ウィルはジーンの政府に反抗する気持ちが変わることは今のところないと信じながらも念のため、怪盗の話の流れを利用して釘を打つことにした。


「この角を曲がったらもうすぐ着くぞ」


「突然なんだが、先にホンブルに行っていてくれないか?俺は後から合流するとする。」


「おい!? 何行ってんだ? 折角街の治安維持兵の部隊も今混乱しているんだから逃げるのは今しかないって言ったのはウィル、お前じゃないか!」


「すまんな まだ俺の仲間が街に残っているんだ。一応マジックアイテム職人ではあるから俺たちの活動に勧誘したいんだ。もし本人が断れば全力で逃げて来るけど。」


「断った場合 おそらくチクられるぞ。 リスクが高すぎる。やめた方がいいぞ!」


「唯一俺の退屈な人生の内で獲得した大事な人なんだ。分かってくれ」


「!? お前ってオジサンが好きなのか!? ....引いたぞ」


「ロルト! お前は偏見を捨てた方がいいぞ。 職人だが俺と歳はさほど変わらない女性だぞ」


「....... おい!! お前彼女いるなんて親友の俺に一言も言ってないよな!!」


「まあ 聞かれてないし」


「はあ 仮にもこれからレジスタンス活動する者がそんな調子だと 不安になるぞ」


「それは前の俺だ。これからは変えていくように努力する!」


「『人間』はそんな簡単に変わる者じゃないと言うのが通例なんだが、.....今日のお前を見ていると通例など意味が成さないな.....」


「ああ そうだ! これからは皆固定概念を捨てるように! そんなものに縛られているようでは政府の連中と大差ないぞ?」


「わかった! 時間もないしな 俺に異論はない!! 他のみんなはどうだ?」


「私は 別に いいけど 裏切らなければ 私...達を」


「俺もいいぜ。俺とフォスは残りの人生をスリルあるお前らにかけると決めたんだ。異論はねえ! 色恋も若い者の特権ってやつだからな フッハハ! だけどよ ホンブル集合でもいいがどこで集まるんだ?」


「たしかホンブルは主要都市の一つだが、豊かな自然があっただろ?」


「ああ 確かにあるな だがあそこは危険なモンスター達もいるぞ」


「俺たちはおそらく顔バレしている。だから準備期間は人のいない場所が最適だ。故に当分自然でサバイバル生活をしようと思っている」


「何!? そんなの政府の連中より先にモンスターに殺されて終わるのがオチだ!!」


「どこかで聞いたセリフだな。 モンスターの件は心配するな なんとかなる。 それに己の力で生活することのできない人間が政府に反逆できるわけないだろう。政府が用意した環境でしか生きられないんじゃ意味がない。」


「....フォスも生活できるかが心配だ」


「信頼していないのか? 俺もフォスも信用しろ! 他に良い案があるなら聞くが」


「....仕方ない。 まあ最後には相応しい生活かもな 話が逸れたが、それで集合場所は?」


「ホンブルで一番、自然区域に近くて、かつ馬が止められる喫茶店らしき所はあるか?」


「多分 『ストリア』っていう名の店があったな」


「そこに三日後集合だ」


 ウィルはこれからの予定を決めると一人ソウルポリス一般居住区にある自身の家へと向かった。





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