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保健室の中で入れ替わり  作者: 孑孑(ぼうふら)
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第2話〜木村現る

前回のラストで、まさかの「心と体が入れ替わってしまった」平野とアイツ。

第2話は、そんな大混乱の中で幕を開けます。お互いの体に慣れる余裕すらないまま、クラス一の噂好き・木村の襲来という、開幕早々の大ピンチ!

「生肉を欲する野獣(※ただし中身はJK)」という超絶アドリブでなんとか急場をしのいだ二人ですが、木村が保健室の先生を呼びに行ってしまったことで、残された時間はあとわずか。

体はチグハグ、時間は数分、バレたら即・学校中に拡散される絶体絶命の状況で、二人が選んだ「悪あがき」の結末とは——!?

ハラハラと笑いが止まらない、嵐の第2話が始まります!

「ちょ、何そのポーズ!? 内股すぎるし、両手を顎の下に添えるのは昭和のアイドルよ!」

「うるさい、これしか思いつかなかったんだ! 早く寝ろ、平野!」

ガラリと保健室の引き戸が開くと同時に、平野(中身:男子)はベッドに飛び込んで布団を頭から被り、男子(中身:平野)は不自然に内股のまま、彫像のように固まった。

入ってきたのは、クラス一のスピーカーと名高い女子、木村だった。

「あれー? 誰もいないの……って、平野さん? なんでそんな、カマキリが威嚇したみたいなポーズで固まってるの?」

「あ、あら、木村さん。ご、ごきげんよう? これは……そう、ヨガよ! 体幹を鍛える最新のポーズなの!」

木村は怪訝そうな顔で、限界まで内股を絞り込んでいる「平野」を見つめた。

「ふーん……。あ、ベッドで寝てるのって、もしかして隣のクラスのアイツ? なんで平野さんが一緒にいるのよ。まさか、ねえ?」

ニヤニヤしながらベッドに近づこうとする木村。布団の中の平野(中身:男子)は、心臓が口から飛び出そうなほどバクバクしていた。ここでバレたら、明日には学校中に「保健室の密会」として尾ひれがついて広まってしまう。それだけは絶対に阻止しなければならない。

「あ、待って! 近づいちゃダメ!」

「え? なんで?」

「彼、その……ものすごく凶暴な感染症の疑いがあるの! ほら、さっきも『ウオオオ!』って、まるで野獣みたいにうわ言を言ってて……!」

布団の中で、男子(中身)は「誰が野獣だ!」と叫びたい衝動を必死にこらえ、それらしい「うめき声」をあげることにした。

「……うう、肉……生肉をくれ……」

「ヒッ!?」

木村が短い悲鳴を上げて一歩下がった。男子(中身)の拙すぎる演技だったが、低く響くイケメンボイスのせいで、妙なリアルさが増してしまったらしい。

「ほ、本当にヤバそうね……。じゃあ、私は先生呼んでくるから! 平野さんも早く離れなさいよ!」

嵐のような勢いで木村が保健室を飛び出していき、パタパタと廊下を走る足音が遠ざかっていく。

「……行ったか?」

「死ぬかと思ったわよ……!」

二人は同時に深くため息をつき、その場にへたり込んだ。しかし、安心している暇は一秒すらない。

木村の足音はすでに職員室へと向かっている。先生を連れて戻ってくるまで、おそらくあと3分。

「先生を呼びに行ったってことは、ここに隔離用のストレッチャーか何かが運ばれてくるぞ……!」

「冗談じゃないわ! 戻ってきたら一発でバレるじゃない! どうするのよ!?」

仮病(しかも奇病)がバレれば即座に親に連絡が行く。このチグハグな体のまま病院へ担ぎ込まれるわけにはいかない。しかし、外の廊下はもうすぐ授業が終わる休み時間の喧騒で溢れかえろうとしていた。

逃げるか、ここでさらに強烈な嘘を突き通すか。

体はチグハグ、時間制限はあと数分。絶体絶命の二人の、長い一日が本格的に始まろうとしていた。

お読みいただきありがとうございました!

中身が入れ替わった上に、木村さんの乱入で一気に修羅場と化した保健室。男子(中身:平野)の限界内股ヨガポーズと、平野(中身:男子)の必死すぎる「生肉野獣演技」のコンボ、楽しんでいただけましたでしょうか?

「先生が来るまであと数分」という最悪のタイムリミットの中、チグハグな2人がどんな力技でこのピンチを切り抜けるのか(あるいは自爆するのか)。

次回、緊迫の脱出劇が始まります。どうぞお楽しみに!

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