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とりあえず、更新。亀以下ですみません。
と、まあ勢い込んで始めたのは良いが・・・・。
「ほう、中々早いな」
「・・・・くっ」
アルバートの最初の一撃は、易々と止められていた。
やっぱり騎士。中身ごろつきっぽくても腕は確かだ。
が、これは予想の範囲内。
「・・・・はっ」
「なるほど、こいつは囮か」
男の左側から私が勢いよく突っ込む。一本にした棍を振り下ろす。
「よっと」
「うわぁ!!」
手を振ってアルバートを振り払い、余裕で棍を受けとめる。わざわざ利き手じゃない左側から、しかもアルバートの剣を受け止めさせ、動きを封じておいたのに、なんていう反応。なんていう力。
が、これで終わりじゃ無い!!
受け止められた棍を引き、体の回転を加えて今度は下から突き上げる。狙いは――――。
「うぉ!!やべぇ!!」
「ちっ!!」
下から顎を狙った棍、のけぞられたため空を切った。
「うぉぉぉぉぉ!!」
そこへ、体勢を立て直したアルバートが突っ込んでくる。
「えっ、正面から?」
いや、もうちょっと考えようよ。正面からとか馬鹿正直過ぎるでしょ!!あ、少年まっすぐだもんね。心とか。
当然、受け止められる。が、そこを見逃す私では無い。
再び左側からの強襲。
「へっ、同じ手が2度も・・・」
「同じかな?」
「なっ!!」
今度は下からの打ち上げ。しかし、それは相手を狙ったものだはなく・・・・。
「「「地面!!」」」
観衆の声ににやりと口の端を持ち上げる。
龍の顎は地を喰らい、土を打ちあげる。
一瞬でも視界が奪えればこっちのものだ。
「アルバート!!」
「たあぁぁあぁぁ!!」
撥ねのけられた瞬間、地面を再び蹴り、もう一度襲いかかる。
あ、やっぱり正面からなのね。
「ふん、ちったぁやるじゃねぇか」
「何!!」
アルバートの声。
確実に目は潰した。現に男の目は閉じられているというのに――――――。
「ぐぁ!」
剣を受けとめるどころか、さらに早く動いてアルバートの胴を薙ぐ。
「ははははっ、子どものわりによくやっ・・・・!!」
「誰が、良くやったって?」
龍の顎が、今度こそ男ののどに食らいつく。
「へっ、あいつは最後まで囮ってわけか・・・」
男の背後から、棍を突きつける。双つに分かたれた龍は、のどだけでなく、その背にも食らいつこうとしている。
囮?囮にもならない。アルバートはまだ成長途中。これから囮以上の強さを身につけるだろう。てか、正面からしか攻撃できないとかまずいだろ、いくら騎士でも。
「ちっ、油断しすぎたなぁ」
嘘ばっかり。こういう余裕な態度、嫌いじゃ無いけどね。
飄々とほざく男の後ろで、お返しとばかりに肩をすくめてやる。
「ご冗談を。負けたのはこちらでしょう?」
「セシル!!」
アルバートの驚いたような声に、少し体をずらして見せてやる。
無造作に下げられているように見えるアデルの右腕。
しかし、逆手に持たれた剣が、その切っ先が、確実に私の体をとらえている。
まあ、勢い込んでみても、修羅場をくぐり抜けた猛者にかなうはずがない。こちとら、まだ10代の小娘だ。勝てる要素は微塵もない。
すっとお互いに身を引く。お互いがお互いの武器を鞘に納めた瞬間、空気がガラリと変わる。
「がっはははははは!!いいねぇ、坊主。その態度、くそむかつくぜ!!」
「お褒めにあずかり光栄です」
にっこり笑って一礼。アルバートも同じように礼をとる。
「余裕でしたね。う~ん、もう少し必死な試合が見たかったのですが・・・」
顎に手をあて軽く首を傾げる団長。おい、こちとら結構必死だったってんだよ!!
そんな私の心中を知ってか知らずか、いや絶対知ってる、団長は淡々と我が道を貫いてくださる。
「ジルベルト、どうでしょう?新人の実力は?イワンとも手合わせさせますか?」
「・・・・・・・」
いやいや、必要ないでしょう。どうみても、アデルとかいう大男よりも、イワンとか言う細い男のほうが実力が・・・・。
「・・・・お前、人を切ったことがあるだろう」
突然口を開いたのは、話題の中心。細い体の騎士様。
――――――――――というか、それ、疑問文じゃないですよね?
まだ続く、予定・・・。