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こちら神の子ですが異世界が喧嘩を売ってきますが、生き残った人類が強すぎです。  作者: ネコ雲


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ツクヨ達の戦い方


ゴォォォォン――。


町中に鐘の音が響き渡った。


その瞬間、イザナが立ち上がる。


「またかよ。一日に二回なんて、今日は多いな」


さっきまで焼き肉を楽しんでいたツクヨも立ち上がった。


「そうね。何かの前兆かしら」


イザナは竹刀を手に取ると、そのまま家の外へ飛び出していく。


「待ってください!」


ツクヨも花子、くいな、タマを連れて後を追った。


「私たちも行くよ!」


テンが慌てて立ち上がる。


フレイとタケミも続いた。


弟子入りを決めたばかりの三人にとって、これが初めての本格的な戦闘になる。


町の人々も武器を手に取り、次々と門へ集まっていった。


「今日は二回目かよ」


「珍しいな」


「何か嫌な感じがするぜ」


門の前では、住民たちが口々に話している。


やがて門の上にいる兵士たちが弓を構えた。


「構えろ!」


声が響く。


次の瞬間――。


ヒュンッ!


ヒュンッ!


無数の矢が門の外へ飛んでいく。


荒野の向こうから迫ってくる魔物の群れへ、次々と矢が突き刺さった。


「今だ!」


門が開かれる。


待機していた剣士たちが一斉に飛び出した。


「行くぞ!」


「おう!」


地面を蹴り、魔物の群れへ突っ込んでいく。


その様子を見ながら、テンが息を呑んだ。


「……すごい」


「俺たちも行くぞ」


イザナが三人へ声をかける。


「はい!」


テンが返事をする。


だが――。


「……見えない」


テンが背伸びをした。


フレイも爪先立ちになり、タケミも人の隙間から前を覗こうとする。


何しろ三人は、周りの大人たちよりかなり小さい。


「師匠、敵は何ですか?」


フレイが尋ねる。


イザナは前方を見ながら答えた。


「ミノタウロスとスライムだな」


「ミノタウロス……」


テンが呟く。


「ミノタウロスって食べられるんですか?」


「食えるぞ。牛の肉みたいで結構うまい」


「スライムは?」


「食える。プルプルしてて、おやつにいいぞ」


テンは目を丸くした。


「……人間って凄いですね」


魔物を倒すだけではない。


倒した魔物を食料として利用する。


その発想に、テンは思わず感心してしまった。


「そんなことより戦い方を説明するぞ」


イザナが三人へ向き直る。


「テンとフレイはスライムを相手にしろ」


「はい」


「タケミは俺と一緒にミノタウロスだ」


「分かった」


タケミが剣を握り直す。


「なんで俺だけミノタウロスなんだ?」


「スライムは普通の斬撃が効きにくい。剣士のお前じゃ相性が悪いんだ」


「なるほど」


タケミは素直に頷いた。


イザナはテンとフレイを見る。


「フレイ。まずスライムを凍らせろ」


「はいです」


「動きを止めたら、テンが炎を纏わせた剣で斬る」


「分かりました!」


「凍った状態なら再生もしにくいはずだ」


フレイが杖を構える。


テンも剣を抜いた。


「準備はいいな?」


「はい!」


「行くです!」


その直後――。


「突っ込むぞ!」


イザナが走り出した。


テンたちも後を追う。


目の前には巨大な魔物がいた。


牛の頭を持ち、人間より一回り以上大きな身体。


両手には巨大な棍棒。


「ミノタウロス……!」


タケミが息を呑む。


「オークより強いから気をつけろ」


「分かってる!」


タケミが剣を構える。


その横をイザナが駆け抜けた。


ミノタウロスがイザナに気づき、棍棒を振り上げる。


「グオオオッ!」


ドォン!


巨大な棍棒が地面を叩き、大きな土煙が舞う。


しかし――。


イザナはすでに横へ移動していた。


土煙の向こうから、一瞬でミノタウロスの懐へ入り込む。


「遅い」


竹刀が横一文字に走った。


ザンッ!


ミノタウロスの首が飛ぶ。


「……」


タケミが固まった。


まただ。


あの竹刀。


どう見てもただの竹刀なのに、鋭い刃物のように魔物を斬り裂いている。


「タケミ、ぼーっとするな!」


「分かってる!」


目の前のミノタウロスが棍棒を振り下ろしてきた。


タケミは横へ飛び退こうとしたが――。


ドゴォッ!


棍棒が肩をかすめ、そのまま吹き飛ばされた。


「タケミ!」


テンが振り向く。


「大丈夫!」


地面を転がったタケミは、すぐに立ち上がった。


肩に痛みが走る。


だが、まだ動ける。


「行ける……!」


タケミは再びミノタウロスへ向かって走った。


剣を振り抜く。


ザンッ!


しかし、刃は腹部に浅く食い込んだだけだった。


「くそっ!」


ミノタウロスが腕を振り回す。


タケミは後ろへ飛んで距離を取った。


「胴体は固い!」


イザナが声を飛ばす。


「首か足を狙え!」


タケミはミノタウロスの足を見る。


自分の身長では首まで届きにくい。


なら――。


「足だ!」


タケミが低い姿勢で突っ込む。


ミノタウロスが棍棒を横薙ぎに振る。


タケミは腰を落として、その下を潜り抜けた。


「そこだ!」


足へ斬りつける。


ザンッ!


ミノタウロスが唸る。


「まだ!」


二撃、三撃。


タケミは攻撃しては離れ、また踏み込む。


ミノタウロスが棍棒を振るたびに、地面へ大きな穴が開く。


タケミは必死にかわしながら、何度も足を狙った。


十回を超えた頃――。


ミノタウロスの膝がガクッと落ちた。


「今だ!」


イザナが叫ぶ。


タケミが一気に踏み込む。


「うおおおっ!」


剣を首へ振り抜いた。


ザンッ!


首の半分まで刃が食い込む。


ミノタウロスは大量の血を噴き出し、そのまま地面へ倒れた。


「……倒した」


タケミが荒い息を吐く。


イザナが近づき、タケミの頭へ手を置いた。


「よくやったな」


「……!」


タケミは少し驚いたあと、照れくさそうに顔を逸らした。


「別に……これくらい」


「そうかそうか」


イザナは笑う。


そして、近くにいた別のミノタウロスへ視線を向けた。


「胴体を斬りたいなら、手本を見せてやる」


「え?」


イザナが竹刀を構える。


ミノタウロスが棍棒を振り上げた。


その瞬間――。


イザナの身体が消えたように見えた。


次の瞬間には、ミノタウロスの横を通り抜けている。


ザンッ!


ミノタウロスの上半身がずるりと滑り落ちた。


「こうやるんだよ」


イザナが振り返り、ニカッと笑う。


「……」


タケミの拳が震える。


悔しい。


自分が何度も斬りつけて、ようやく倒した相手を――。


イザナは一撃で斬った。


「俺も……」


タケミは剣を握り直す。


「いつか絶対やってやる」


その頃――。


「フレイ、お願い!」


「任せるです!」


フレイが杖を前へ突き出す。


「凍ってください!」


冷気が一気に広がった。


巨大なスライムの身体が白く染まり、動きが止まる。


「今!」


テンが剣を構える。


刀身に炎がまとわりついた。


「はあっ!」


ザンッ!


凍ったスライムを斬り裂く。


炎の熱が凍った身体を焼き、再生しようとする肉体を崩していく。


「やった!」


テンが拳を握る。


「これで二匹目です!」


フレイも嬉しそうに笑った。


その時――。


「テン、後ろ!」


イザナの声が飛ぶ。


テンが振り返る。


巨大なスライムが、すぐ背後まで迫っていた。


「えっ――」


声が漏れる。


だが、その瞬間。


ヒュンッ!


イザナが一瞬で間合いを詰めた。


竹刀が横薙ぎに走る。


ザンッ!


スライムの身体が二つに割れる。


さらに一閃。


ザンッ!


また一閃。


ザンッ!


巨大なスライムは、あっという間に八つに分断された。


ボトッ、ボトッ、ボトッ。


切り分けられた身体が地面へ落ちていく。


「……」


テンの顔が引きつった。


「す、凄い……」


フレイは目を輝かせる。


「お師匠様、凄いです!」


「これくらい普通だ」


イザナは何でもないように竹刀を肩へ担いだ。


テンは改めて思う。


――やっぱり、この人は凄すぎる。


その時だった。


テンが戦場の一角へ目を向ける。


「……あれ?」


そこでは、ツクヨたちが一つの陣形を組んで戦っていた。


「イザナさん」


テンが指差す。


「ツクヨさんたちは、どんな戦い方をするんですか?」


「気になるか?」


「はい!」


「なら、見てみろ」


テン、フレイ、タケミの三人が揃ってそちらを見る。


「くいなさんがミノタウロスを捕まえてるです!」


フレイが驚く。


くいなの長い首がミノタウロスの身体へ巻きついていた。


「グオオオッ!」


ミノタウロスが必死に暴れる。


しかし、くいなの首はびくともしない。


むしろ締め付けられ、ミノタウロスの身体があり得ない方向へ曲がっていく。


「うわぁ……」


テンの顔が引きつる。


「次は花子さん……って!」


花子がどこからともなく便器を取り出していた。


「何で便器!?」


スライムが花子へ飛び掛かる。


花子は便器を構える。


「入って」


ズボッ。


巨大なスライムが便器の中へ吸い込まれた。


「流す」


ジャーッ!


スライムがそのまま消えていく。


「流しちゃった!」


テンが思わず叫ぶ。


「凄いです……」


フレイも目を丸くしている。


さらにその隣では――。


「タマさんは……?」


タマは戦っていなかった。


戦場の少し後ろで、ちょこんと座っている。


「お座りしてるです」


フレイが首を傾げる。


するとツクヨがタマの頭へ手を伸ばし、優しく撫でた。


「タマは今日はお休み?」


「うん」


タマは気持ちよさそうに目を細めている。


「……戦わないんですか?」


テンが不思議そうに尋ねる。


イザナはタマを見ながら笑った。


「タマは強いぞ。ただ、今日は戦う気分じゃないんだろ」


「そうなんですか?」


「ああ。あいつが本気で戦ったら、そこらの魔物じゃ相手にならない」


テンが改めてタマを見る。


タマはそんな視線など気にする様子もなく、ツクヨに頭を撫でられていた。


「……なんだかペットみたいです」


テンが思わず呟く。


「誰がペットだ」


タマがジロリとテンを見る。


ツクヨはクスクスと笑いながら、もう一度タマの頭を撫でた。


「可愛いでしょう?」


「……まあ、可愛いですけど」


テンは困ったように笑う。


そして最後に――。


ツクヨが懐から札を取り出した。


ミノタウロスへ向けて放つ。


「そこね」


札が空中を舞う。


ミノタウロスの頭へ張り付いた瞬間――。


ドンッ!


頭部が吹き飛んだ。


「……」


テン、フレイ、タケミの三人が揃って言葉を失う。


「なんなんですか、あの人たち……」


テンが呆然と呟いた。


イザナはそんな三人を見て、楽しそうに笑う。


「ツクヨたちは強いからな」


「いや、強いっていう次元じゃない気がするです……」


フレイが小さく呟く。


「私も同感」


テンも頷いた。


戦いはその後も続いた。


だが、町の人々は次々と魔物を倒していき、やがて戦場に残る敵の数は少なくなっていった。


最後の一体が倒れる。


「終わったぞ!」


誰かが叫ぶ。


町の人々から歓声が上がった。


今回も勝利だ。


「よし、肉を持って帰るぞ」


イザナがミノタウロスの肉を担ぐ。


ツクヨたちも、それぞれ戦利品を持っている。


テン、フレイ、タケミも手伝いながら町へ戻っていく。


「また焼き肉ですね!」


テンが嬉しそうに笑う。


「今度はミノタウロスだな」


イザナが笑う。


「楽しみです!」


フレイも嬉しそうに跳ねる。


タケミは剣を腰へ戻しながら、今日の戦いを思い返していた。


自分はまだ弱い。


だが――。


イザナの弟子になった。


なら、強くなれる。


いつか必ず、イザナのように一撃で魔物を倒せるようになってやる。


タケミは剣の柄を握り直した。


その決意を胸に、仲間たちと共に町へ戻っていった。


そして――。


再び、賑やかな焼き肉が始まった。

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