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勇者パーティを追放された僕は、エルフの君と来世まで恋をする  作者: Atelier Lotus


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第94話 答えのない旅

 翌朝。


 リュカとフィオナは、エルシオン王国を発つことになった。


 王城の門の前。


 精霊王アルディオンと、精霊王妃エルミニアが、二人を見送るため静かに立っていた。


「もう行くのかい」


「はい」


 リュカは深く頭を下げる。


「この度は、本当にありがとうございました」


 アルディオンは穏やかに頷いた。


「リュカ君」


「はい」


「いつでもエルシオンへ来るといい」


 リュカは顔を上げる。


 アルディオンは優しく微笑んだ。


「君はもう、お客様ではない」


「私の大切な息子だ」


「それを、夢々忘れないでおくれ」


 その言葉に、リュカは目を見開く。


 すると、隣に立つエルミニアも柔らかく微笑んだ。


「もちろん、私も同じ気持ちです」


「あなたは、私たちの大切な息子」


「いつ帰ってきても構いません」


「ここは、あなたの家でもあるのですから」


 リュカの胸が熱くなる。


「……ありがとうございます」


 その声は少し震えていた。


 嬉しかった。


 けれど同時に。


 アルディオンとエルミニア、二人の瞳の奥に宿る、どこか寂しげな色にも気付いてしまう。


 父として。


 母として。


 娘が歩む未来を知っているからこその眼差しだった。


 リュカは力強く頷く。


「はい」


「必ず、また帰ってきます」


 アルディオンは満足そうに微笑み、今度はフィオナへ目を向けた。


「フィオナ」


「うん」


「帰りたくなったら、いつでも帰っておいで」


「ここは、お前の家なんだから」


 エルミニアも優しく微笑む。


「帰ってきたら、またあなたの好きなお料理をたくさん作るわ」


 フィオナは嬉しそうに笑った。


「うん!」


「また遊びに来るね」


 アルディオンは苦笑する。


「遊びではなく、帰省と言いなさい」


「あはは、ごめん」


「まったく、この子は」


 エルミニアもくすりと笑う。


 父と母、そして娘。


 三人は顔を見合わせて笑った。


 やがて。


 二人はエルシオン王国をあとにする。


 世界樹が少しずつ遠ざかっていく。


 結局。


 人間の寿命を延ばす方法は見つからなかった。


 答えは得られないまま。


 二人は故郷への道を歩き始める。


 しばらく無言で歩いたあと。


 リュカがぽつりと呟いた。


「……ごめん」


 フィオナは立ち止まり、首を傾げる。


「何が?」


「約束したのに」


「君と同じ時を生きる方法を見つけるって」


「何も見つけられなかった」


 悔しそうに俯くリュカ。


 フィオナは静かに首を横へ振った。


「ううん」


「一緒に来てくれてありがとう」


「それだけで十分」


 そう言って、そっとリュカの手を握る。


 リュカも、その温かな手を握り返した。


 二人は顔を見合わせる。


 そして、小さく微笑んだ。


 答えは得られなかった。


 希望も見つからなかった。


 それでも。


 諦めることだけはしない。


 どれだけ遠回りになっても。


 どれだけ時間がかかっても。


 二人なら、きっと歩いていける。


 繋いだ手を離さない限り。


 二人の旅は、まだ終わらないのだから。

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