第82話 祝福
翌朝。
リュカとフィオナは、村のみんなへ結婚することを報告した。
最初に驚いたのは妖精たちだった。
「えっ!?」
「本当!?」
「結婚するの!?」
一瞬の静寂。
そして。
「やったー!」
「おめでとう!」
「やっとだー!」
妖精たちは大喜びで空を飛び回る。
花びらを舞わせ。
手を叩き。
まるで自分たちのことのように祝福した。
その騒ぎを聞きつけ、村人たちも次々と集まってくる。
「どうしたどうした?」
「何かあったのか?」
リュカは少し照れながら頭をかいた。
「実は……」
「僕たち、結婚することになりました」
一瞬。
村人たちは顔を見合わせる。
そして。
「……え?」
「え?」
今度は別の意味で静まり返った。
やがて、一人のおばあさんが首を傾げる。
「えっと……」
「あんたたち、まだ結婚してなかったの?」
その一言で、村中が大笑いになった。
「あっはっはっは!」
「俺も、とっくに夫婦だと思ってた!」
「一緒に住んでるしなぁ!」
「毎日畑耕して、ご飯食べて、おかえりって言ってるし!」
「恋人っていうより、新婚夫婦そのものだったぞ!」
リュカとフィオナは顔を見合わせる。
「……そう見えてたの?」
「みたいだね……」
二人とも顔を真っ赤にした。
そこへ村長が大きく頷く。
「まあ、細かいことはいい!」
「人間とエルフの結婚式か!」
「こりゃ、めでたい!」
「村始まって以来の祝い事だ!」
その一言で、村人たちは一斉に動き始めた。
「教会を飾ろう!」
「花なら任せて!」
「料理は私たちが作る!」
「酒も必要だな!」
「最高の結婚式にしよう!」
妖精たちも負けてはいない。
「飾り付けするー!」
「花集めてくる!」
「お祝いの歌、練習しよう!」
あっという間に村中がお祭り騒ぎになっていく。
フィオナはその光景を見つめながら、小さく笑った。
「……なんか照れるね」
リュカも笑う。
「うん」
「でも、嬉しい」
村人たちも。
妖精たちも。
二人の幸せを、自分のことのように喜んでくれていた。
気付けば。
この小さな村は、二人にとって帰る場所になっていた。
そして。
村総出で、結婚式の準備が始まるのだった。




