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勇者パーティを追放された僕は、エルフの君と来世まで恋をする  作者: Atelier Lotus


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第80話 君と同じ時を生きよう

 長い沈黙が続いた。


 フィオナは俯いたまま涙を流し続ける。


 部屋には、暖炉の薪が弾ける音だけが響いていた。


 やがて。


 リュカは静かに口を開く。


「なら」


 フィオナはゆっくり顔を上げる。


 涙で滲む視界の向こう。


 リュカは真っ直ぐ自分を見つめていた。


「僕は、君と同じ時を生きよう」


「……え?」


 思わず息を呑む。


「できるかどうかは分からない」


「保証もない」


「そんな方法が、本当にあるのかも分からない」


「でも」


 リュカの瞳に迷いはなかった。


「絶対に探す」


「世界中を旅して」


「本を読んで」


「魔法を学んで」


「賢者にも会って」


「君と同じ時を生きる方法を」


「絶対に諦めない」


 フィオナは呆然と立ち尽くす。


 そんなこと。


 考えたこともなかった。


 寿命は変えられないものだと。


 受け入れるしかないものだと。


 ずっと思っていた。


「未来が怖いなら」


 リュカは優しく微笑む。


「一緒に未来を変えよう」


 その一言で。


 張り詰めていた心が、音を立てて崩れた。


「……ずるい」


 涙が止まらない。


「ずるいよ」


 フィオナは泣き笑いのような顔でリュカを見つめる。


「本当に、あなたって無神経」


 リュカは困ったように笑う。


「そうかな」


「そうだよ」


「ひどい」


「ひどいよ……」


 ぽろぽろと涙を零しながら、フィオナは首を横に振る。


「そんなこと言われたら……」


 震える声。


「そんなこと言われたら……」


 涙で声が詰まる。


「断れないよ……」


 その言葉と同時に。


 フィオナはリュカの胸へ飛び込んだ。


 何千年も生きてきたエルフは。


 その日初めて。


 未来を恐れるのではなく。


 未来を信じてみようと、心から思えた。

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