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勇者パーティを追放された僕は、エルフの君と来世まで恋をする  作者: Atelier Lotus


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第77話 もう逃げない

 数日後。


 依頼を終え、二人は家へ帰ってきた。


 夕食を終えたあと。


「私、お風呂入ってくるね」


「うん」


 フィオナが浴室へ向かう。


 その背中を見送りながら、リュカは静かに立ち上がった。


 寝室へ入り。


 机の引き出しを開ける。


 そこには、小さな箱が大切にしまわれていた。


 ゆっくりと蓋を開く。


 陽の光ではなく、暖炉の灯りを受けて、一対の指輪が静かに輝いた。


「……」


 前にプロポーズした時。


 フィオナは笑ってはぐらかした。


『今のままでいいじゃん』


 理由は教えてくれなかった。


 だから。


 自分に自信がないからだと思っていた。


 もっと強くなれば。


 もっと頼れる男になれば。


 そうすれば、いつか受け入れてもらえるのだと。


 でも。


 違った。


 あの日。


 傷ついた自分を抱きしめ、泣きじゃくったフィオナ。


『お願いだから……』


『私を一人にしないで』


 あの涙は、本物だった。


 フィオナも、自分を愛してくれている。


 それだけは分かった。


 だからこそ。


 何か別の理由がある。


 一人で抱え込んでいるものがある。


「もう……」


 リュカは指輪の箱をそっと握り締める。


「もう逃げない」


 答えが怖かった。


 断られるのも怖かった。


 でも。


 それ以上に。


 フィオナが一人で苦しみ続けることの方が、ずっと怖かった。


「今度こそ」


「ちゃんと聞こう」


「フィオナの本当の気持ちを」


 リュカは静かに箱を閉じる。


 その瞳には、もう迷いはなかった。

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