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勇者パーティを追放された僕は、エルフの君と来世まで恋をする  作者: Atelier Lotus


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第71話 初めてのキス

 夜。


 夕食を終えた二人は、温かいお茶を片手に縁側へ腰を下ろしていた。


 夜風が心地よい。


 満天の星が、静かな夜空を彩っている。


「こうしてると、落ち着くね」


 フィオナが湯気の立つカップを両手で包みながら微笑む。


「うん」


 リュカも頷いた。


 しばらく他愛もない話をしていると、リュカがふと思い出したように笑った。


「そういえばさ」


「何?」


「あの祭り、覚えてる?」


 フィオナは少し首を傾げる。


「どの祭り?」


「旅の途中で偶然立ち寄った町の」


「ああ!」


 思い出したように笑う。


「すっごく不味いお酒!」


「それ!」


 二人は同時に吹き出した。


「あれ、本当に不味かったよね」


「千年いろんなお酒飲んできたけど、一番不味かった!」


「それは流石に失礼だよ」


 リュカが苦笑する。


「作った人が聞いたら泣くよ?」


「でも本当に不味かったじゃん」


「それは否定できないけど」


 二人は顔を見合わせて笑った。


 笑いが落ち着くと、リュカは静かに口を開く。


「そのあとさ」


「うん?」


「僕たち、はぐれないように手を繋いだよね」


「そうだっけ?」


 フィオナが、とぼけたように笑う。


「覚えてないの?」


「……」


 少し間が空く。


 そして。


 くすっと笑った。


「覚えてるって」


「びっくりした」


「リュカ、あの時すごく緊張してたよね」


「ば、ばれてた?」


「手、汗かいてたもん」


「うわぁ……」


 リュカは恥ずかしそうに顔を覆う。


 フィオナは楽しそうに笑った。


 その笑顔を見つめながら、リュカは静かに言った。


「あの時から」


「僕、フィオナのこと好きだったんだ」


 フィオナの笑顔が止まる。


「……リュカ」


「手を繋いだ時」


「もう離したくないって思った」


「でも、あの頃はまだ言えなかった」


 静かな夜。


 虫の声だけが聞こえている。


 フィオナは何も言わず、そっとリュカの隣へ寄った。


 自然と。


 二人の手が重なる。


 温かい。


 あの日、祭りで繋いだ時と同じ温もり。


「私も」


 フィオナが小さく笑う。


「あの日からかな」


「リュカと一緒にいる時間が、特別になったの」


 二人は見つめ合う。


 どちらからともなく。


 少しずつ距離が縮まっていく。


 フィオナは静かに目を閉じた。


 その仕草だけで十分だった。


 リュカはそっとフィオナを引き寄せる。


 優しい口づけ。


 ほんの一瞬。


 短くて、不器用な初めてのキス。


 唇が離れる。


 二人とも顔を真っ赤にしていた。


「……恥ずかしい」


 フィオナは照れ隠しにリュカの肩へ額を預ける。


 リュカも照れ笑いを浮かべた。


 それでも。


 繋いだ手だけは離さなかった。


 その夜。


 二人は初めて、愛し合った。

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