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第124話 ありがとう
レインは呆然と、その背中を見つめていた。
呼び止める言葉が見つからない。
戦場は静まり返っていた。
リュカは足を止めることなく歩き続ける。
怒りはなかった。
恨みもなかった。
復讐しようという気持ちもなかった。
荷物持ちだった日々。
料理を作り続けた日々。
雑用を押し付けられた日々。
無能と呼ばれ、追放された日。
そのすべてがあったからこそ。
フィオナと出会えた。
妖精と出会えた。
本当の魔法と出会えた。
そして。
本当に大切なものを知ることができた。
だから。
もう過去を責める理由はない。
リュカは静かに立ち止まり、振り返る。
穏やかな笑みを浮かべたまま、静かに口を開いた。
「今まで」
「ありがとうございました」
「皆さんも、お元気で」
それだけだった。
責める言葉はない。
恨みの言葉もない。
ただ、別れの挨拶だけを残して。
リュカは再び歩き出す。
その隣には、フィオナがいる。
二人はもう振り返らなかった。
それぞれが選んだ人生を歩むために。




