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第120話 無能だった男
戦場は静まり返っていた。
倒れ伏す魔眼獅子。
その前に立つのは、リュカとフィオナ。
その光景を見つめるレインたちは、誰一人として言葉を発することができなかった。
「……ありえない」
最初に声を漏らしたのはレインだった。
目の前の現実を、どうしても受け入れられない。
リュカ。
かつて勇者パーティにいた青年。
荷物持ち。
料理係。
雑用係。
戦闘では役に立たない。
無能。
そう決めつけ、自分たちの手で追放した男。
そのリュカが。
勇者パーティですら倒せなかった災厄級魔物を討ち倒した。
「何かの……間違いだ」
レインは呆然と呟く。
ヴィオラも、ガルドも、セシリアも声が出ない。
目の前にいる青年は、彼らが知るリュカではなかった。
いや。
違う。
変わったのはリュカではない。
見えていなかっただけなのかもしれない。
無能だと決めつけ。
可能性に目を向けようともしなかった。
そして今。
その青年は、自分たちの遥か前を歩いていた。
勇者パーティは、初めて認めざるを得なかった。
かつて無能と呼んだ男は。
もう、自分たちの手の届かない場所にいた。




