第113話 帰郷
アルカ=ヴェル竜皇国を後にしたリュカとフィオナは、長い旅路の末、故郷であるアウローラ魔導国へと帰還した。
久方ぶりに目にする街並み。
行き交う人々の姿。
懐かしい光景に、二人の頬には自然と笑みが浮かぶ。
「やっぱり落ち着くね」
「うん」
しかし、故郷へ帰ってきた安堵も束の間だった。
街全体がどこか慌ただしく、張り詰めた空気に包まれている。
武器を手に駆ける冒険者たち。
忙しなく行き交う兵士たち。
広場には、多くの人々が不安げな表情で集まっていた。
異様な雰囲気に気づいたリュカは、近くにいた冒険者へ声をかける。
「何かあったんですか?」
問いかけられた冒険者は、険しい表情で振り返った。
「知らないのか?」
「巨大ダンジョンから、災厄級の魔物が現れたんだ」
その言葉に、リュカとフィオナは思わず息を呑む。
「災厄級……?」
「ああ」
「魔眼獅子だ」
その名が告げられた瞬間、広場の空気がさらに張り詰めた。
「勇者パーティも討伐に向かった」
「だが、まだ戻ってきていない」
人々の不安げな視線は、巨大ダンジョンのある方角へと向けられている。
リュカとフィオナは顔を見合わせた。
ようやく帰ってきた故郷。
だが、その安らぎに浸る暇もない。
新たな戦いが、すでに二人を待ち受けていた。




