第112話 また会おう
白竜皇オルドとの謁見を終えた二人は、王城をあとにした。
アルカ=ヴェル竜皇国の空は、どこまでも澄み渡っている。
しばらく無言で歩いていたフィオナが、ふと足を止めた。
「リュカ」
「ん?」
フィオナは優しく微笑む。
「私ね」
「ずっと怖かった」
「リュカが先に死んじゃうこと」
「そのことばかり考えてた」
リュカは何も言わず、静かに耳を傾ける。
「でも」
「もう、そのことだけを考えて生きるのはやめる」
フィオナはリュカの手をそっと握った。
「今、この瞬間を大切に生きよう」
「リュカと過ごせる毎日を、大切にしたい」
リュカは穏やかに笑う。
「うん」
「僕も同じ気持ちだよ」
二人は手を繋いだまま歩き出す。
別れは、いつか必ず訪れる。
それでも。
その日を恐れて今日を失うより。
今日という一日を、大切に積み重ねていきたい。
それが、二人の選んだ答えだった。
アルカ=ヴェル竜皇国をあとにし、ゆっくりと歩き出す。
リュカは空を見上げ、小さく笑った。
「また会おう」
フィオナも笑顔で頷く。
「うん」
「来世でも」
二人は互いの手を少しだけ強く握り返す。
その約束は。
今世だけではなく。
来世へと続く、小さな誓いとなった。
二人は微笑み合い、新たな旅路へ歩き出すのだった。




