第109話 来世でも
謁見の間を、再び静寂が包んでいた。
オルドの語った生命の理。
輪廻。
魂。
徳。
そして、再び巡り会える可能性。
そのすべてを胸の中で受け止めながら、リュカは静かに目を閉じる。
同じ世界とは限らない。
同じ時代とも限らない。
同じ種族とも限らない。
再び巡り会える保証など、どこにもない。
ほとんど不可能。
そう、白竜皇は語った。
それでも。
リュカはゆっくりと顔を上げる。
「それでも」
その声は、穏やかだった。
「僕は信じます」
オルドは何も言わず、静かに耳を傾ける。
リュカは隣に立つフィオナを見つめ、優しく微笑んだ。
「来世でも」
「僕は」
「フィオナに会います」
その言葉に、フィオナの瞳が揺れる。
「もし」
「同じ世界じゃなくても」
「同じ時代じゃなくても」
「同じ種族じゃなくても」
「僕は、君を探す」
「何度生まれ変わっても」
「必ず君に会いに行く」
フィオナの目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
それは悲しみではない。
未来への約束を受け取った涙だった。
オルドはしばらく二人を見つめていた。
やがて。
その口元に、穏やかな笑みが浮かぶ。
「……そうか」
神話の時代より数え切れぬ命と別れを見届けてきた白竜皇は。
目の前の青年が選んだ答えに、静かに微笑んだ。




