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第99話 北へ
翌朝。
二人は静かに旅支度を始めていた。
食料。
飲み水。
着替え。
寝袋。
旅に必要な道具を、一つずつ確認しながら鞄へ詰めていく。
準備を終えたリュカは、荷物を背負った。
「忘れ物はない?」
フィオナが尋ねる。
リュカは鞄の中をもう一度確認し、笑顔で頷いた。
「大丈夫」
「フィオナは?」
「私も大丈夫」
二人は顔を見合わせ、小さく笑う。
目的地は決まっていた。
北方の大国。
アルカ=ヴェル竜皇国。
そこには。
神話の時代より生き続ける最古の竜。
五大竜王の頂点。
白竜皇オルドがいる。
世界の始まりから。
数え切れないほどの歴史を見届けてきた存在。
その方なら。
魔王ニコラスのことも。
魔核融合体のことも。
人間の寿命についても。
何かを知っているかもしれない。
それは、わずかな希望だった。
けれど。
二人にとっては十分だった。
リュカは家の扉へ手を掛ける。
「行こう」
「うん」
フィオナが微笑み、そっとその手を握る。
二人は並んで家を出た。
吹き抜ける風が心地よい。
目指すは北。
アルカ=ヴェル竜皇国。
白竜皇オルドへ会うため。
二人は再び、希望を胸に旅立つのだった。




