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世界が見捨てた職業で、僕は抗う  作者: KAZAMI Reo(風見レオ)
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第29話 都市の職人と、黒鉄のご褒美

──リュードの朝。

空はどんよりと重く、連日の雨が石畳や広場にぬかるみを残している。

ギルド支部前は、いつにも増して慌ただしく、どこか沈んだ空気すら漂っていた。


掲示板には「森の薬草・素材急募」「黒鉄のカケラ求む」などの張り紙がずらり。

素材店の主人は「また流通が止まって、もう在庫がないんだ!」とギルド員に詰め寄り、

薬屋の女将も「このままじゃ治療薬も底をついちゃうわ。怪我人が出ても何もできないのよ」と肩を落とす。

鍛冶屋の使いは険しい顔で、「素材がこのまま入らなきゃ、うちも一旦閉めなきゃなりません」と嘆いていた。

休業中の鍛冶屋もちらほら――「いい素材が入らなきゃ商売にならん」と張り紙を貼る声が響く。


ギルド受付サリナが、レイルたちに深刻な表情で事情を伝える。

「今は森の道がぬかるみ、運搬も大変なんです。森の魔物も活発化して、流通業者が襲われることが増えて……。

冒険者も都市内警備や高報酬依頼に回って採集の人手が全然足りません。

薬草も鉱石も武具の素材も、街中が本当に困っています。

……今日の調査は、皆さんにしか頼めないんです」


リシェルは「家の薬草も本当に底をつきそうで……」

カレンも「屋台のお父さんにも“果実も蜂蜜もまた採ってこい”って言われちゃった」と焦り気味に話す。



◆森のフィールドワーク――ぬかるみと絆の現場


森は雨上がりで空気が重く、足元の泥に靴が沈む。

小道の脇には色鮮やかな苔と小さな花。鳥の声は静かだが、どこか不安定な空気。


ミルが先頭を歩き、「キュル!」と鳴いて“ここは滑る”“安全だよ”とレイルだけに伝える。

カレンは「ぬかるみ、ひどいなあ……あっ!」

足を取られバランスを崩し、泥の中に転倒。

「きゃっ……ご、ごめん、またスカートが……」

顔を赤らめつつ、レイルの手を握り、近づいた顔が一瞬、照れくさそうに笑う。

泥のはねた脚、スカートの隙間から白い太ももがちらりと覗く。


リシェルはスカートの裾をまくり、ふくらはぎを露わにして「私が先に行きます」と歩き出す。

レイルは思わず視線をそらすが、泥に足を取られて何度か転びそうになる。


リシェルは薬草の葉を丁寧に採取。

「今日は成分が薄い……乾燥させたら使えそうですけど、雨のせいで品質が下がってます」

苔や根を丁寧に瓶に詰める。


カレンも「苔や果実も集めなきゃ!」と瓶に鮮やかな苔や木の実を詰めていくが、

うっかり瓶を倒し苔が泥水に混ざる。「あーん、やっちゃった……また最初から……」と半泣き。


ミルは草陰で虫を狩り、仲間たちに安全な道を教えていく。

モモンは「ぷしゅー」と鳴き、ぬかるみの中から小さな甲虫や緑苔を吸収。

体表がほのかに緑色に変わり、レイルには“防御力がちょっと上がった”感覚が伝わる。



◆失敗とトラブル、そして発見


途中、藪の奥から泥をはねる小動物の魔物が現れる。

泥鼠でいそ……!」レイルが声を上げて素早く投石するが、手元が滑り石は逸れる。

ミルが回り込み一撃で撃退。

泥の中に埋もれていた黒鉄のカケラを発見する。


カレン「これ、街の鍛冶屋が掲示板で欲しがってたやつだよ!」

リシェル「森の素材は、魔物や泥の中に埋まってることもあるんですね……」


レイルは泥だらけになりながらも「お宝発見だな」と笑う。



◆◯◯な一幕と休憩


森の小川で休憩。

カレンは「少し着替えてくるね」と泥のついた上着を脱いで細身の肩と白い二の腕を見せる。

レイルは目をそらすが、ふとカレンの無邪気な笑顔にどきりとする。


リシェルが「レイルさん、顔に泥ついてますよ」とハンカチで拭ってくれる。

その距離の近さに、レイルは内心鼓動を速めた。



◆都市の鍛冶屋ザム――職人の流儀


森から帰ったレイルは、黒鉄のカケラを携え、街の鍛冶屋ザムの工房へ向かう。

ザムは黙ってカケラを手に取り、しげしげと眺めた。


「……あんた、この黒鉄、どうするつもりだ?」


レイル「できれば装備を強くしたいんです。もしできるなら、この篭手を」


ザムは篭手をじっと見つめ、手首や指先の“使い癖”をすぐに見抜く。

「お前の腕は、武器も荷物もよく持つ。手の使い方で分かる。

この篭手も、皮も金具も限界だ。黒鉄を足せば、耐久も握りやすさも段違いになる。

篭手は“お前の生命線”だ。雑用も戦闘も仲魔との絆も、手から始まる。

素材がない今だからこそ、良い素材には全力で応える――それが職人の流儀だ」


ザムはそう語り、黙々と篭手の補強と調整にかかる。



◆ギルド・生活チェックコーナー――成長の実感


帰還後、ギルドの《生活チェックコーナー》へ。

診断石板にみんなで手をかざし、“成長”をひとつずつ確認する。



■レイル(Dランク・テイマー)

•レベル:Dランク・Lv9(依頼・実績は着実に積み上げ中)

•体力(HP):21(強化前19)

•防御力:14(強化前12)

•握力:11.5(強化前10)

•武器落とし耐性:あり(黒鉄補強篭手の効果)

•疲労回復速度:やや上昇

•特記事項:黒鉄補強篭手ボーナス反映中



■ミル(仲魔・小型獣型)

•レベル:Lv6

•体力:12

•鉤爪切れ味:7(強化前6)

•毒耐性:2.5(強化前2)

•素早さ:9(強化前8)

•草むら感知スキル:Lv1(新規習得)



■モモン(仲魔・スライム型)

•レベル:Lv5

•体力:9.5(強化前9)

•防御力:5(強化前4)

•回復力:2.5(強化前2)

•虫よけ膜スキル:Lv0.5(新規獲得)



診断石板は、UPした数字を金色に光らせ、スキルの新規習得は音とともに強調される。


サリナ「今日は防御や握力、そして新スキルも増えてますね」

カレン「これなら次の森も安心かも!」

リシェル「ミルの爪もほんの少しだけ、鋭くなってる……感覚が違うんですね」

ミル(レイルにだけ)「動きやすい!」

モモンは“ぷるぷる”と嬉しそうに揺れている。


他の冒険者も「Dランクでこの伸びはすごいな」「鍛冶屋ザムの仕事か、羨ましい」とざわめく。



ギルドを出たレイルたちのもとに、

「森の奥で“見慣れない巨大な影”が目撃された」という新たな噂が舞い込む。


さらに、ザムがそっと渡した「謎の銀色の欠片」――

「これはただの黒鉄じゃない。もし森でこれの“本体”を見つけたら、必ず持ち帰れ」と意味深な言葉を残す。


都市を揺るがす“次の脅威”と、新素材の謎。

物語は、静かに、しかし確実に、新たな冒険の幕開けへと動き出す――。



◆財布事情(第29話終了時点)

•前回所持金:2824ルム

•依頼報酬:+85ルム

•森での消耗品・現地支出:−8ルム

•カレン新作試食材料:−5ルム

•鍛冶屋ザムへの“ご祝儀”:−10ルム(任意・感謝の気持ち)

•宿代(1泊・朝食込):−20ルム

•食費(昼食・軽食等):−6ルム


▶ 現在所持金:2860ルム


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