第24話 都市の朝、冒険者たちと新たな依頼
──リュード2日目、朝。
安宿の薄い布団で目を覚まし、レイルはミルとモモンとともに食堂へ向かった。
ほこりっぽい小部屋。テーブルには数人の冒険者が座っているが、誰も会話せず、
ただ静かにパンを噛み、薄いスープをすすっていた。
(皆どこか、余裕がない……)
レイルは周囲を見回しながら思う。
村にいた頃、朝ごはんの時にはエマや他の村人たちが笑顔で話していた。
食事は一日の始まりの「温もり」であり、誰もがその日を無事に過ごせるようにと願っていた。
だが、都市の朝は違う。
ここにいる冒険者たちは、
「食べることも仕事の準備」
「稼げなければ今夜の宿も危うい」
そんな焦燥感がテーブルごとに漂っている。
レイルは配膳された白パンを一口噛む。
(……白パンか。柔らかいけど、味はほとんどしないな)
エマが焼いてくれた黒パンは、麦の香ばしさとほんのりした甘み、
焼きたての温もりがあった。
都市の白パンは確かに見た目もきれいで柔らかいが、
心に残る味は薄い――腹は膨れても、どこか物足りなさが残る。
(村じゃ黒パンが主流だったけど、都市は白パンが多いんだな)
ミルもパンの端をくわえて首をかしげ、
モモンはスープにパンを浸して静かに吸い込む。
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◆ギルド支部での新しい一日
宿を出て、ギルド支部へ。
石畳の通りはすでに人と荷車であふれ、屋台では朝から白パンを焼くいい匂いが漂っている。
ギルドのカウンターに立つサリナは、
いつもの明るい笑顔で手を振ってくれた。
「おはよう、レイルさん。都市での最初の依頼、見ていく?」
実はサリナは都市ギルドの中では珍しく、新人や“田舎出身者”にも気さくに接してくれる。
以前、兄が新米冒険者として都市で苦労していた経験があり、
「誰だって最初は不安だし、慣れるまで心細いものだよ」と、
新人や慣れない者への気配りを大切にしているのだ。
掲示板には「街外れの廃屋調査」「小さな商店の簡易護衛」「食材倉庫の掃除」など、
地味な依頼ばかりが並んでいる。
サリナは小声で囁く。
「都市の依頼は、まず“面倒ごと”や“誰もやりたがらない地味な仕事”からなんだ。
だけど、そこから信用を積み重ねていけば、いずれ大きなチャンスも回ってくるから。焦らないでね」
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◆都市冒険者たちの視線
レイルが依頼掲示板を眺めていると、
近くのテーブルで数人の冒険者がヒソヒソ話している。
「テイマーか。都市じゃやってけないだろ」「仲魔連れてるだけで食える時代じゃない」
「けど、あの受付のサリナが新入りに優しいって話だぞ」「……裏があるんじゃね?」
レイルはその冷たい視線に少し肩をすくめるが、
ミルは静かに周囲を警戒し、モモンはレイルの袖口に隠れている。
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◆最初の依頼「廃屋調査」
悩んだ末、レイルは**「街外れの廃屋調査」**を選ぶ。
報酬は60ルムと低いが、単独で受けられそうだった。
「これは、もともと倉庫だった建物でね。最近、夜になると“何か”がうごめくって通報が相次いでる。
危険なら無理しないで戻ってきて――初日は無茶しないことが一番だから」
サリナが書類と地図を手渡してくれる。
レイルはミルとモモンを連れて、
朝の冷たい空気の中、街外れの路地へと向かった。
◆財布事情(24話開始時点)
•前回所持金:2668ルム
•今回の依頼報酬:成功時+60ルム予定




