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世界が見捨てた職業で、僕は抗う  作者: KAZAMI Reo(風見レオ)
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第18話 獣痕、森に消えた影

──朝。ガラン村ギルド支部。


カティアは依頼書を片手に、少し緊張した面持ちでレイルに話しかける。

「最近、森のほうで妙な気配を感じるんです。実は村の家畜が何頭も行方不明になってて……」


ふと、依頼書を探してカウンター越しに身を乗り出したカティアのブラウスの胸元が、わずかに開き、レイルは一瞬だけ目をそらした。


「痕跡がない? ……それ、逆に危ないかもしれない」


カティアは気づいていないふりをしながらも、耳がほんのり赤いまま微笑んだ。


「みんな不安そうで……レイルさん、お願いできますか?」


「……ああ、任せてくれ」


そのやり取りの最中、村人が駆け込んできた。


「カティアさん、またです! 今度は西の牧場で羊が一頭、いなくなりました!」


レイルはすぐに腰の装備を確認し、出発を決意する。



◆エマからのお守り


支度を整えてギルド前へ向かうと、エマがそっと近づいてきた。

小さな袋を両手で差し出し、顔を赤くして言う。


「これ、私が縫ったお守り。……レイルさん、無事で帰ってきてね」


レイルは素直に受け取ると、まっすぐエマを見て微笑む。


「ありがとう、エマ。本当に助かる。大事に持っていくよ」


「……うん」


彼女の瞳には、ほんの少し涙が光っていた。



◆森へ向かう道中


出発前、レイルは地図と村の記録、鍛冶屋ドロックの昔話を思い出す。


(痕跡をほとんど残さずに獲物をさらう……昔、行商人の手伝いで地方を回ったとき、森の奥で狩人から“巨大な爪跡”の話を聞いた。

“グリズリー・ファング”――現場でしか分からない特徴だったな)


冒険者学校に通えなかった自分だが、旅と現場の知恵だけは確かだ。



◆道すがらの出会い


森の入口で、若いDランク冒険者のライナと出会う。


「やあ、レイルさん? 俺も家畜捜索の依頼で森に入るところだ」


ライナは都市から越してきた新人。田舎育ちのくせに、武器はピカピカ。

人懐っこくてやや緊張気味。

「単独は危険だし、一緒に行かない?」


「いいさ。ミル、モモン、自己紹介頼む」


ミルがぴょこんと一礼し、モモンも「ぷるっ」と小さく跳ねる。

《はじめまして、ミルです!》《ぷしゅ~♪》


だが、ライナの耳にはただの「可愛い声」や鳴き声にしか聞こえない。


「へえ、すごいな。仲魔たち、なんだか息がぴったりだね」


ライナはミルのキビキビした仕草や、モモンのコミカルな動きに素直に感心していた。


レイルは微笑みながら、


「こいつら、言葉は通じないけど、動きで十分伝わるからな」


とだけ言って、森の奥へと進んだ。



◆森の探索


ミルが「ここ、血のにおい残ってる」と耳をぴんと立てる。

モモンも「ぷるるっ、深い足あと」と伝える。


レイルは地面の獣痕を観察した。


(狩人が言っていた“深く抉れて消えるような足跡”、これだ。村の森に本当に……)


「これは“グリズリー・ファング”だ。現場でしか見られない爪跡。間違いない」


ライナが驚いて息をのむ。



◆森の奥、救出と判断


地面の獣穴から生き残った羊を発見。

捕食の痕跡はあるが、魔獣の気配を避けて無事に救出成功。

ライナも慎重に補助し、初仕事で役立てたことに素直に喜ぶ。


「俺たちの実力じゃ正面衝突は無理。でも、命を守る方法はいくらでもある」


「はい、レイルさん!」



◆帰還と報告


村に戻ると、カティアが羊と依頼控えを確認し、深く頭を下げる。


エマも「……よかった、本当に……」と涙ぐんでレイルの手を握る。



◆レイルの財布事情(第18話終了時点)

・前回所持金:1967ルム

・支出:探索用保存食と傷薬(−15ルム)

・報酬:捜索&救出依頼(+300ルム)

・現在所持金:2252ルム


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