第17.5話(幕間):窓辺に灯る、微かな恋と村の夜
──朝、宿屋「風車亭」。
エマは厨房で湯気の立つおかゆをかき混ぜながら、何気なく客席を眺める。
窓の外、子供たちがモモンの物真似をして「ぷしゅー!」と跳ねて遊ぶ声が響いている。
(……こんなに村が和やかになるなんて、少し前は思いもしなかった)
ギルド掲示板にはレイルが討伐した魔物の絵が新しく貼られ、
パン屋のおじさんが「今日の朝食もうまかったぞ」と手を振る。
八百屋の女将さんは「今度レイルさんに野菜スープ持っていきなさい」と優しく笑いかけてくれる。
(前はテイマーなんて、誰もまともに相手にしなかったのに……
今はみんな少しずつ、あの人を“必要”だって思い始めてる)
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──昼下がり。村の一角。
子供たちは「レイルお兄ちゃん帰ってくるかな?」とわくわくしている。
商人たちは「ミルちゃんの爪、また強そうになってたな」なんて話題に。
酒場では、ドロックやパン屋のおじさんたちが
「前は“役立たず”だって陰口を叩いてたが……最近じゃすっかり頼りにしてる」
「これでいいのさ、村は変わるもんだ」
と、気恥ずかしそうにジョッキを鳴らしていた。
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──ギルド支部・夜。
カティアは一人、カウンターで帳簿をめくっていた。
(……前は苦情や愚痴しか来なかったのに)
今では「またレイルさんに頼めないか」と相談に来る村人が増えてきた。
(……私も最初は正直、あの人をバカにしていた)
ふっと息をついて窓の外を眺める。
夜風がそよぎ、遠くで灯る家々の明かりが、なんだかやさしく見える。
更衣室で髪をほどき、制服のブラウスのボタンをひとつ外しながら、
「もっと自分に自信を持ちたいな……」
と、ほのかに赤くなった頬を指で押さえるカティア。
その横顔は、いつもより少しだけ女の子らしかった。
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──夕方、エマの部屋。
湯上がりの浴衣姿で、エマは鏡の前に座る。
普段はきっちりまとめている髪を、今日は珍しく下ろしてみた。
(もし、今ここにレイルさんがいたら……
この姿、どう思うんだろう)
浴衣の胸元がふわりとはだけてしまい、思わず「……あ」と小さく声を漏らして赤面する。
肩を少しだけ出してみて、夜風に当たりながら、そっと窓辺でレイルのことを考える。
(私も、変わりたい。勇気を出したい。もっと大人の女の子になれたら……)
布団に横になり、胸元に手を当てて心臓の音を感じる。
「……レイルさん、無事で帰ってきてね」
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──夜、宿屋。
窓辺に灯るランプの下、エマはひとり、浴衣のまま眠れずにいる。
枕を抱きしめ、ほのかに火照った頬で、
「……バカ」
と誰にも聞こえない声で囁いた。
村の変わってきた表情を




