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世界が見捨てた職業で、僕は抗う  作者: KAZAMI Reo(風見レオ)
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第17話:依頼の重みと沈黙の矢

村の朝は静かに明けていた。


宿の食堂で、レイルはパンをちぎりながらスープを口に運んでいた。ミルは隣の席で器用にスプーンを使い、モモンは足元で丸くなって「ぷしゅ~」と鳴いている。


「……おはよう、レイル」


カウンターの奥から現れたのはカティアだった。ギルド職員の制服姿のまま、少し緊張した面持ちで近づいてくる。


「今朝、正式に依頼が届いたの。ガラン村の西側、あの崖地帯で空を飛ぶ魔物の目撃が相次いでるって」


「……空中型か。報酬は?」


「700ルム。でも、本来ならCランク以上の依頼。今回はどうしても人手が足りなくて、あんたに……」


「やるよ。場所は知ってる。あそこ、上からの狙撃しか効かない地形だったな」


カティアは驚いたように目を見開いた。


「……やっぱり、あなた普通じゃない」


「俺はDランク。そういうことにしてある」


ミルが、にこっと笑った。


「お兄、最近ちょっとカッコいいこと言うよね」


モモンも「ぷしゅしゅっ!」と同意している(ように聞こえる)。


「気をつけて。あの崖、地盤が脆いから足元も注意して」


「了解。報告は夕刻には戻る」



◆ 森の奥、崖の魔物


森の奥、岩場に沿って進むレイルたちは慎重に足を運んでいた。


崖の上から、風に乗って「ギャアアッ!」という不快な鳴き声が聞こえてくる。


「……あれが“沈黙の矢”と呼ばれる奴らか」


現れたのは、黒く尖った羽を持つ中型魔物──


沈黙鳥ちんもくどり


空を裂くように飛び、超音波で相手の平衡感覚を奪う特性を持つ。致命傷を負わせる前に落とさなければ、戦線が混乱する危険な相手だ。


「お兄、どうする?」


「モモン、上空に散布酸。ミル、木陰から狙撃。俺は下で囮をやる」


「ぷしゅっ!」


「了解!」


レイルが石を投げ、音で魔物を引き寄せた瞬間──


上空に躍り出たモモンが「ぷるるっ!」と高周波を放ち、粘液を炸裂させる。


同時に、木陰からミルの鉤爪が放たれ、羽ばたきを封じた沈黙鳥が地に落ちた。


「っ……一体目、確保。次」


魔物は三体いたが、レイルたちは連携で全て討伐に成功した。



◆ ギルドにて


日が傾き始めた頃、ギルドに戻ったレイルは素材袋を手渡した。


「三体分、沈黙鳥の羽と嘴。報酬を」


カティアは頷き、700ルムの袋を手渡す。


「……ありがとう。あの依頼、正直、戻ってこれないかもって……」


「心配性だな」


「……ええ。でも、それくらい大変な依頼だったから」


その夜、宿に戻ったレイルは一言だけ呟いた。


「……静かに、少しずつ、積み上げるだけだ」


足元のモモンが「ぷしゅ」と甘えるように鳴いた。



◆ レイルの財布事情(第17話終了時点)

•前回所持金:1,270ルム

•支出:朝食代(3ルム)

•依頼報酬:+700ルム

•現在所持金:1,967ルム

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