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宇宙(そら)の女神~転生先は異世界ではなく 異星でした~  作者: 三毛猫乃観魂


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第七十六章 神々しい光・禍々しい闇

 食うか食われるかの最終決戦。

 “アレ”で勝てる見込みは50%ぐらいしかない。だが、このまま戦い続けてれば勝率はさらに下がり、いずれは0%になる。

 危険な賭けでも宇宙の消滅神・フィリップに勝つ可能性があるのはもう“アレ”しかない。

 エリスは覚悟を決めた。

「行くぞ、フィリップ!」

 これでもかと言わんばかりに神々しい光を放ち、宇宙の消滅神・フィリップの懐に突っ込む。

 あまりにもの神々しさとスピードに宇宙の消滅神・フィリップは反応が遅れ、直撃を食らう。見た目通りの光速。

 エリスが放つ神々しい光が宇宙の消滅神・フィリップを包み込む。負けじと宇宙の消滅神・フィリップも禍々しい闇で包み返す。

 神々しい光と禍々しい闇が絡み合い、お互いを飲み込もうとする。

 神々しい光と禍々しい闇だけではない、エリスと宇宙の消滅神・フィリップの体もお互いを飲み込み合う。

 御子から教えられた最後の手段、それは宇宙の女神が宇宙の消滅神を吸収すること。宇宙の女神が宇宙の消滅神が一つになることで二度と復活できなくする。

 しかし、これは逆に宇宙の女神が宇宙の消滅神に吸収される恐れがある。そうなれば宇宙は終わり。

 だからこそ、復活の可能性があると解っていても宇宙の女神は宇宙の消滅神を倒すだけにとどめて置いた。

 実際に宇宙の消滅神はフィリップに受肉することで復活を果たした。

 だが、もうこの手段しか残されいない。食うか食われるかの最終決戦。

 禍々しい闇が触れるたびに、エリスは全宇宙に存在するありとあらゆる苦痛を味わった。常人ならば数秒も持たない程の。

 心身ともに鍛え上げられた(つわもの)でも常人よりは耐えられも、長くは耐えることが出来ない。

 必死に耐え、エリスは神々しい光を放ち続けるが、いつまで持ちこたえることが出来るかは解らず。

 幾ら神々しい光を受けても宇宙の消滅神・フィリップは苦しむ素振りさえ、見せやしない。平然としている。

 心が無い感情が無い意思が無い、だから苦痛を感じることは無い、何も感じない。

 禍々しい闇が神々しい光を侵食しだす。やがて、エリスの体を覆い始めた。

 エリスには心も感情も意思もが無いはずの宇宙の消滅神が勝利を確信して笑っているように見える、その笑顔はフィリップのようにも感じた。

 この戦い、お前に勝ち目はないと言っているように思えた。

「確かに心や感情や意思は弱点になりえる」

 人は心や感情や意思があるからこそ、悩み苦しみ悲しむ。だが――。

「心や感情や意思は強さでもあるんだよ。心や感情や意思が人を強くする!」

 頭に浮かんだのはアラン、シャーロット、ダイアナ、ケイシー、エックハルト、ボドワン、ローズモンド、オーギュスト、ギード、ジェイニー、荒くれ者みたいな部下たち、ジョナサン、前世の両親に友……。

 護りたいものは数えきれない。護りたいもの数だけ、エリスの力になる。

「だから、僕はお前には負けない!」

 神々しい光が禍々しい闇を押し返し取り込み吸収していった。

 一片たりとも残すことなく禍々しい闇を吸収した神々しい光が宇宙の消滅神・フィリップを包み込む。

 宇宙の消滅神・フィリップには心が無く感情も無く意思が無い。それでも、生きとし生きる者が持ち合わせていた生存本能が働き、逃げようとした。

 しかし逃がさない、神々しい光が宇宙の消滅神・フィリップを包み込み飲み込む。

 完全に神々しい光に飲み込まれた光の塊となった宇宙の消滅神・フィリップが縮んでいく。

 ソフトボール大まで縮めたところで、自分の体の中に取り込む。

 エリスの中で宇宙の消滅神・フィリップの存在がどんどん消えて行くのを感じる。

 存在が消えて行くと言うのに宇宙の消滅神・フィリップは恐怖や焦燥感を感じていなかった。心も無く感情も無く意思も無い無いから。

 生存本能が働いても逃げられない状況で、ただぼんやりと消えるのかとしか理解していない。

 消えて行く宇宙の消滅神・フィリップの中に、僅かに感じ取れた感情の痕跡。

「成仏しろよ、フィリップ」

 宇宙の消滅神・フィリップの存在がエリスの中で完全に消えた。

 次元の彼方、どの星にも影響が出ない果てない場所に、エリス一人だけが佇む。

 宇宙の女神と宇宙の消滅神の力の差は殆どない。以前、戦った時に宇宙の女神が勝利できたのは運と言っても過言ではない。

 今回、エリスが勝てたのは心と意思と感情、思いの強さ。心と意思と感情は人が当たり前に持ち合わせているもの、思いの強さは人の強さ。

 勝てたのは宇宙の女神の力だけではない、護りたいと思う力があったから。

「そうか、そうだったんだ。だから、宇宙の女神は僕と融合したんだ」

 心と意思と感情、思いの強さを得るために波長の合ったエリスを転生させ、融合した。今度こそ、宇宙の消滅神を完全に消し去るために宇宙の女神の力を託した。

《ありがとう》

 そんな声が聞こえた気がする。

「さぁ、帰ろう、みんなのところへ」







 宇宙の未来を掛けた戦い決着。

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