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宇宙(そら)の女神~転生先は異世界ではなく 異星でした~  作者: 三毛猫乃観魂


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第七十章 みんな、明るい未来を見ている

 指揮官はあの人。

「今回、私、エックハルト・デーニッツが指揮をとらせてもらいます」

 軍施設にて、全宇宙から集まってくれた(つわもの)たちを前にエックハルトか挨拶。ボドワンがサポートをする。

「大丈夫なのか? 校長なんだろ」

 校長先生に指揮を任せて大丈夫なのかと不安を口にする若いヒューマンの戦士。これから起こる戦いは宇宙の未来がかかっているのだ。不安を覚えるのも仕方がない。

「校長と言っても軍学校だろ」

 別のヒューマンの戦士に言われても、不安は完全に払拭できない。

「ヒューマンはエルフやドワーフに比べて寿命は長くないので、若い方々は知らないのも仕方が無いが、エックハルト・デーニッツは歴戦の英雄なんだ。どんな過酷な戦場でも冷静沈着に行動して幾つもの戦果を挙げられた。引退後に軍学校の校長になった」

 若いヒューマンの戦士に話しかけたのはトム・ターナー。エリスたちが初陣の砂漠の惑星でお世話になった艦長。イヴィルとの戦闘経験あり。

 トムも宇宙の消滅神のことを知り、参戦を決意した。

「ボドワンとは軍人時代の上官と部下の関係だったんだ」

 軍学校の教師になった時、ボドワンも一緒に来てくれた。

 トムの話を聞いて若いヒューマンの戦士の不安な気持ちがたちまち期待感へと変わる。

「私はこの戦いにおいて死者を一人も出したくありません。これから、戦う相手は宇宙の消滅神、人類が出会った中でも最強最悪の敵と言っても過言では無いでしょう。最強最悪の敵と戦いに死者を一人も出したくないというのは理想論に過ぎません。それでも私の正直な気持ちなのです」

 落ち着いていながらもしっかりとした口調には、人を引き付ける力がある。

 一線を退いたエックハルトが戦場に戻り、戦いの指揮を執る決意をさせたのはフィリップの存在。

 宇宙の消滅神になったからと言っても、生徒の一人だったことには変わらないのだ。校長としてやるべきことはやらなくてはならないと、思ったため。

 かっての生徒が人を殺し続ける、心が痛まないわけがない。

 ボドワンとローズモンドも同じ思いで参戦した。

 エリスとダイアナとケイシーは生徒だっただけあり、その気持ちはよく解る。

 ならば、自分たちも全力を尽くす、三人は心の中で誓った。


「エリス様」

 会議後、御子に呼ばれた。

「あなたに話しておかなくてはならないことがあります」

 雰囲気からして、とても重要な話であることを察したエリス。

「解りました、聞かせてください」



 ラースに張られた結界で宇宙の消滅神は星の外に逃げることは出来ないが、直接宇宙からエイリアンを呼び寄せる危険性がある。

 宇宙からやって来るエイリアン対策に、宇宙戦艦部隊が待機。かなりの数の戦闘機も用意。

 宇宙戦に集まってくれた戦士たちも強制ではなく、志願兵。家族だったり、恋人だったり、親友だったりと、誰も彼もが護りたいもののために来たのだ。

 護りたいもののために集った戦士たち。それはラースでも宇宙でも同じ。

 宇宙戦艦部隊を指揮しているのは、勿論オーギュスト・バルバストルである。

 今回本命の敵はラースに閉じ込められている。もしかしたら、宇宙では戦闘は起こらないのかもしれない。

 それが解っていてオーギュストは指揮を執ることにした。もしかしたら、宇宙では戦闘は起こらないのかもしれないのではなく、もしかしたら、宇宙では戦闘は起こるかもしれないことに備えなくてはならない。

 戦闘が起こらなければ、起こらないで良かったですむ。


 ギートは他の整備士共に一生懸命戦闘機の整備をしていた。

 ずらりと並んだ戦闘機。整備士たちは一機一機丁寧に整備していく。

「いいか、たった一つの部品だからと言っても手を抜くんじゃないぞ。たった一つの部品の不備で戦闘機は壊れる。戦闘機は壊れれば戦士の命を失うんだぞ。しかも、今回は宇宙の未来がかかっているんだ。気を引き締めて整備しろ」

「へい、解ってます。チーフ」

 気合を飛ばすチーフにギートは答える。ギートだけではない、整備士全員が答えた。

 決して気を抜くことなく、整備を続ける。

 何台ものロボットが動き回って作業を手伝う。

 整備をロボットに丸投げすることは出来ることは出来る。ロボットに任せれば作業が楽にはなるだろう。

 しかし、戦闘機やロボットは壊れても修理できるが、人間は死んだら治すことは出来ない。

 命の重さを知っているからこそ、命のある者にしか出来ないことがある。

 ロボットはサポートが丁度いい。

 皆、オーギュストと同じく、宇宙戦は起こらないかもと気を緩めたりしない。やるべきことやらなければならないことはやっておいて損はしない。



 リーン家に何台ものドローンが荷物を届け、使用人やロボットが家の中に運び込む。

 運び込まれた荷物はキッチンへ。荷物の中身は全部食材。

 山積みの食料が運び込まれたキッチンは戦場と化す。

「みんながお腹を空かして帰ってくるから、沢山の美味しい料理でおもてなしするわよ」

 シャーロットの指揮の元、料理人たちがパーティのために料理を作る。アランやエリスだけではない、戦いに向かった戦士の全員の分の料理を作るのだ。

 運び込まれた沢山の食材で調理開始。一生懸命、調理する料理人たち、シャーロット自身も腕を振るい、手の足りないところは使用人が手伝う。

 肉や魚や野菜を切る音、食材を焼く音揚げる音、コトコトと鍋の煮える音の中、全員が一丸となって料理を作る。

 キッチンにいる者は皆、作った料理が無駄になるなんて全く思っていない。パーティに来る全員が料理を無駄にするような人ではないと信じているから。







 決戦に備えて。

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