第七十一章 決戦開始、宇宙
宇宙から攻めてくる敵を迎え撃つ。
「……来た」
船橋の椅子に座っいたオーギュストは静かな声で言った。静かな声だったが船橋にいるクルー全員に聞こえた。
「解りました」
何が来たのかは聞くまでもない、クルーたちはすぐに行動開始。既にいつでも戦える準備は整えている。
「他の戦艦にも、奴らが来たことを伝えろ」
「もう、やっています」
皆、他の戦艦も戦いの準備済み。伝令が届くと同時に動き出す。
ラースに向かってきている大量のエリアンの画像がモニターに映し出された。
既に窓からでも見える位置に来ている、ヒューマノイドタイプ、昆虫のタイプ、爬虫類タイプ、いろんな種類のエリアン。
先日、地球に押し寄せた群れの百倍以上はいる。正に宇宙を埋め尽くす。
「何て数だよ」
思わずクルーの一人が呟く。
これ程の数が迫ってきているのに、探知されないはずがない。
だが、まじかに迫るまでエイリアン一体たりとも探知さなかったのだ。肉眼ところか衛星さえも。
その理由は一つしかない、迫った来たのではなく、空間転移してきたのだ。
宇宙の消滅神となったフィリップが大量のエイリアンを召喚。
ただ、ラースには結界が張られているため、直接召喚は出来なかったのでラースの近くに呼び寄せた。
「内部から破壊できないから、外部から破壊する心算か……」
姑息な手段だなと鼻で笑い、徐に椅子から立ち上がった。
オーギュストに焦りは見えない。艦長が焦りを見せてはクルーを動揺させてしまう。その点、オーギュストには非の打ち所なし。
「だが、そうはさせん!」
すっーと、右手を前に突き出す。
「エイリアンを殲滅せよ、一匹たりとも残すな」
オーギュストの出した号令は通信を通じて、集結した全戦士に届く。
宇宙の明暗を掛けた決戦が開始された。
驚くクルーはいても恐れ怯えるクルーは一人もいない。
数が多かろうが、全部倒してしまえば問題なし。
戦艦も戦闘機も集結していて正解。
「俺たちの出番があって良かったぜ」
「喜んでいいことなの?」
「それもそうか」
通信機で会話する戦士たち。
もしエイリアンが来なかったら戦艦も戦闘機も出番は無かった。出番かなければそれでいいし、出番があれば活躍場所が出来る。それだけの違いでしかない。
しかしエイリアンはやってきた大挙して。出番が来たならば思いっきり活躍すべし。
待ってましたとばかりに戦闘機を発進させる。
戦艦から続々と戦闘機が飛び立ち、宇宙の戦場へ。
戦闘機は一機も乱れることなく、包み込むようにエリアンを包囲。
一番槍とばかりに一機の戦闘機がレーザーを撃ったのを合図にして、戦闘機部隊が一斉に攻撃開始。
集まった戦士たちは誰も彼もが幾度となく、エイリアンと戦いを繰り広げてきた精鋭中の精鋭。エイリアンの行動パターンは身に染みている。
口から吐くレーザーだろうが溶解液だろうが、要するに躱してしまえばなんてことは無い。自爆攻撃も自爆する前に倒せばいいだけ。
エイリアンの行動パターンを熟知しているからと言って胡坐をかくようなことはしない。データのみに頼り切っていては足元をすくわれる。
熟知したエイリアンの行動パターン、時には臨機応変に行動する戦士たち。
「俺たちの戦いは露払いだが、気を抜かないぞ」
「一匹たりともラースには近づけさせるものかよ」
本作戦における宇宙でのエイリアン戦はいわば前哨戦に過ぎない、メインの戦いはラースで行われる。
戦士たちの任務は一匹たりともエイリアンをラースに入らせないこと。
エイリアンを取り逃がしてしまえば、それだけメインの戦いが不利になる。
そうならないように、戦士たちは一匹も逃す心算はない。
流れるように戦闘機は動き、無駄なく攻撃を躱し、確実にエイリアンを仕留めていく。
「左の部隊は旋回してエイリアンを包み込み撃て、中央の部隊は後退してエイリアンを牽制せよ、右の部隊は前進してエイリアンを追い込め」
ラースに大挙して押し寄せてきたエイリアンを迎え撃つ人類軍。
戦場は広い、とても一人では全てを把握できないはずなのに、オーギュストは全ての戦場と戦局を見極め、正確な指示を行う。
オーギュストの指示を受け、戦士たちはエイリアンを駆逐して行く。
戦闘機の動きに無駄がない、一機たりとも。
「すごいぞ、機体が思い通りに動くじゃないか、まるで自分の体のようだ」
「腕の良い整備士たちがいてくれて、私たちはラッキーだわね」
「同感」
軽口を叩きながらも着々とエイリアンの数を減らしていく。ギードたち整備士が一機一機、丁寧に整備した成果が今出ている。
戦艦の砲台が発射、一気に何十体ものエイリアンを倒す。
戦いは人類軍が優勢に進んでいる。一体でもイヴィルが居れば状況が覆されるかもしれないが、宇宙にはイヴィルはいない。
もっと、やばいのがラースにいるが、そちらは信じる者に任せる。
最終決戦の前哨戦。




