第六十二章 地球を護る者たち
備えあれば患いなし。
月と同じ大きさの巨大マンタ型のイヴィルとエイリアンの群れが地球に接近していることは、当然のことながら一般の地球人には知らされてはいない。何も知らないまま、いつも通りの日常を過ごしている。
知らせたところで地球のどこにも逃げ場所がない、パニックが起こるのは確実。
知らされたのは各国の要人と一部の関係者のみ。
最悪の事態が起こった場合、大半の地球人と動植物は何も知らぬままに地球と運命を共にする。
エリスとダイアナとケイシーは最悪の事態にする気など微塵もない。エリスたちだけではない、地球を護る者たちは全員、最悪の事態にする気は全くも持ってはいない。
アントニオ猪木の名言『出る前に負けること考える馬鹿がいるかよ!』な思いでの巨大マンタ型のイヴィルとエイリアンの群れに立ち向かう。
到着したオーギュストと合流するため、エリスとダイアナとケイシーは赤い宇宙戦艦に搭乗した。
「活躍は聞いているぞ」
艦長であるオーギュスト自ら出迎えてくれた。
「ご無沙汰してます」
エリスが代表して挨拶。
「会う度に成長しているな」
自分の後を行く戦士が育つのは嬉しい。
「彼も成長しているよ。今やこの艦の立派な整備士だ」
エリスとダイアナとケイシーの前に現れたのはギード。軍学校で出会ったドワーフで今はオーギュストの宇宙戦艦で整備士をやっている。
「お久しぶりです、エリス、ケイシー、ダイアナ」
学生時代と変わらない接し方でいて、一目で解るほどに学生時代よりも成長している。
「もう一人前の整備士じゃないか」
「俺なんて、まだまだだよ、日々修行中です」
褒めるケイシーに、謙遜するギード。
「僕もギードは立派になったと思うよ」
「私も」
しばらく離れていても、気軽に話し合える仲は変わらない。それぞれの立っている場所が変わっても学生時代に築いた関係は変わらない。
エリスたちが一息ついたタイミングでオーギュストが通信機を手に取った。その声は艦内放送を通して戦艦全体に響き渡る。
「まだ一ヶ月あると思うな、後一ヶ月しかないと思え。我々には地球そのものと住まう者全ての命と未来がかかっている。それを心に刻んで準備を行うのだ。地球にエイリアンの一片たりとも触れさせてはならぬ、それが俺たちのやるべき義務であることを魂に叩き込んで忘れるな」
すぐ傍で聞いたエリスとダイアナとケイシーとなんだ変わらない力のある演説を艦内放送で聞いた戦士たちに響き渡らせた。
だからこそ、全員の魂に炎を灯した。やってやる、俺たちで地球を護るんだと、一ヶ月後に攻めてくるイヴィルを返り討ちにするための行動を開始。
「俺、行きます」
ギードは走り出す。裏方でも整備士は戦いを支える重要な仕事。
「俺たちだって負けていられないぜ」
「そうね」
「うん」
エリスたちも心身ともに気力を漲らせる。
イヴィルを迎え撃つ準備は大気圏外だけではなく、地上でも行われていた。
各国のMIBのエージェントたちが迫り来る脅威に対し、全力を尽くして仕事をこなす。
最悪の事態にも備え、地上からの迎撃準備を整えておく。これらの兵器が巨大マンタ型のイヴィルにどれだけのダメージを与えられるか解らないが、やらないよりもやっていた方がいい。
備えあれば患いなしの諺が示す通りに備えることは大事。
これらのことをMIBのエージェントたちは一般人に気付かれないように行っている。
激務と言って差し障りなし、それでもMIBのエージェントたちは休むことせずに動き回っていた。
宇宙ばかりが戦いの場ではない、地球でもやれることやるべくことは沢山ある。
オーギュストとギートが来ました。




