第六十章 常連
休日の邪魔物。
ショッピングモールを出た後、エリスとダイアナとケイシーは町の中をぶらぶら歩く。
「オイ、エリス、ダイアナ、気が付いているか」
エリスもダイアナも頷いた。
ここで行動すれば周囲に迷惑が掛かってしまい、さらに目撃者も数多く出る。そうなれば富永と炭田たち、MIBに隠蔽工作の労働を強いることになってしまう。
エリスとダイアナとケイシーは気付いていないふりをしてさり気なく移動、人気のない工場跡にきた。ここなら、適度に広くて丁度いい。
「出て来いよ。こそこそ、見張りやがって」
ケイシーが怒鳴ると、現れたのはパッと見はどこでもいる容姿の地球人三人。
戦闘態勢を取るエリスとダイアナとケイシー。
エリスとダイアナとケイシーはエイリアンと戦う戦士である、一目で三人が地球人に擬態したエイリアンであることを見抜いていた。
「仲間の仇と販売ルートを潰された恨みを果たさせてもらう」
一人が蜘蛛の姿に変化。先日、樹海で戦った蜘蛛型エイリアンと同種。もう一人は蝙蝠の姿になり、残る一人は蠍の姿に変化した。
三体のエイリアンは樹海で密取引をしていた連中の仲間だと、自白したようなもの。なら、エリスたちのやることは決まっている。
「販路って、地球に危険な薬物をばら撒こうとしたんじゃないか」
それも日本に、とても許せない。前世でも生まれ育った故郷には変わらない。仕事的にも個人的にも容赦の必要なし。
「悪いエイリアンをやっつけるのが私たちの仕事なのよ」
対エイリアン武器は持っていないが、問題は無し。
「行くぜ」
毒針を打ち込もうとするよりも早く、ケイシーは蜘蛛型エイリアンの目の前まで移動。あまりの移動速度の速さに驚いている蜘蛛型エイリアンを力任せに蹴っ飛ばす。タイタンの力任せの蹴りを真面に食らい、変な音を立てながら蜘蛛型エイリアンは吹っ飛んでいく。
蝙蝠型エイリアンは宙を飛び、音波を口から放った。音波は刃物状となり、ダイアナに向かう。直撃すれば全身がズタズタになる、直撃すれば。
ダイアナは歌ってセイレーンの力を放つ。
ぶつかり合う音と音。セイレーンの力から生み出された音は難なく刃物状の音波を打ち消し、蝙蝠型エイリアンを叩きつけた。
セイレーンの力の攻撃をもろに受けた蝙蝠型エイリアンは、錐揉みしながら墜落。
蠍型エイリアンはエリスに襲い掛かろうとして、倒れた。
エリスは蠍型エイリアンの周囲だけに空気の無い星の環境を作り出し、窒息のさせてのである、
「取り合えず、報告しておくか」
このまま放置しておくわけには行かないので、ケイシーはカード型スマホを取り出し、MIBに連絡を入れる。
すぐに駆けつけてきたMIBのエージェントたちが三体のエイリアンを回収。
「対エイリアン武器を持っていなければ身体能力で勝てると思ったんでしょうね。エリスさんとダイアナさんとケイシーさんがスペリオルだとも知らずに」
それが三体のエイリアンの敗因。スペリオルの数は少ない。ましてや、宇宙から見れば辺境に該当する地球にスペリオルが三人もいるなんて想像さえも出来ないだろう。
「エリスさんとダイアナさんとケイシーさんが人気の無い場所に誘い込んでくれたお陰で事後処理が助かります」
目撃者が居ない分、記憶消去せずに済む。
「蜘蛛と蝙蝠と蠍か、倒しても爆発はしないんだな」
エージェントの一人が呟いた。
「こいつらは爆発するタイプのエイリアンじゃないだろ。ちゃんと、区別はつくぞ」
爆発するタイプのエイリアンは危険なのでしっかりと学んでいる。爆発するタイプのエイリアンなら、それに対応した戦い方をした。例えば意識を奪って行動不能にするとか。
ダイアナもそうよと頷く。
「そう意味でしなくて……、まぁ、気にしないでください」
意味が解らないケイシーとダイアナ。
『蜘蛛と蝙蝠と蠍は常連の怪人だからね』
エリスだけが意味を理解していた。
蜘蛛、蝙蝠、蠍は常連だからね。




