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宇宙(そら)の女神~転生先は異世界ではなく 異星でした~  作者: 三毛猫乃観魂


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第五十八章 再会・二度目

 富士山は見とれてしまいますね。

 青木ヶ原樹海の任務を終えた後、本当にケイシーは富士山登頂に向かった。余程、気に入った様子。

 エリスとダイアナは観光をすることにした。富士山は人を引き付ける魅力は宇宙人でも変わらず。


 富士山は日本の観光地の中でもとても人気の高い場所。国内国外問わず、沢山の観光客が来る。

 富士山を撮影する人、富士山をバックに写真を撮ってもらう人、自撮り棒で自分で撮影する人。

 エリスの横で歩ける幸福を噛み締めるダイアナ。こんな時間がずっと続けばいいなと思うが、エイリアンと戦う道を選んだからには無理だとも解っている。だからこそ、今、この時間を大切にしたい。

 いきなり、エリスが立ち止まった。何だろうと前を見てみると見知った老夫婦がいた。

 修学旅行で地球で出会ったあの老夫婦。すなわち、エリスの前世の両親。

 不意な遭遇とは言え、二度目。あれからも欠かすことなく、エリスは鍛錬したことで心身を鍛えたことで涙を流すことは堪えることが出来た。

「おや、君たちは」

「あなたたちは」

 老夫婦もエリスとダイアナに気が付いた。

「お久しぶりです」

 丁寧な挨拶をするダイアナ。

「こちらこそ」

 旦那さんの方が帽子を取って会釈。エリスも前世の両親に会釈を返す。

「あなた、女性だったのですね。以前、会った時は男性と間違えてごめんなさいね」

 奥さんが誤ってきた。あれから、女の子になったのですとは言えるわけもなく、言ってしまえば変な誤解を生んでしまうので詳しいことは言えなかった……。

 事情を知っているダイアナはくすっと笑いそうになるのを堪えた。ダイアナも心身ともに鍛えている。

「もう一人、男性の方がいましたわね。彼は今日はいないらしらいのかしら」

「あいつは富士山に登っているのよ」

 だから、今日はエリスと二人きりでいられる。ある意味、ケイシーに感謝。

「富士山登頂ですか。富士山は下からも見ても上からも見ても素晴らしいですからね」

 前世の父親の言葉にエリスは同意。本当に富士山は下から見ても上からも見ても素晴らしい。日本一の山と言われるだけはある。

「いい時間ですし、あの時のようにお昼、ご一緒にどうでしょう」

 奥さんの誘いにエリスとダイアナの返事は決まっている。

「「はい、喜んで」」


 入ったのは静岡おでんの店。

 店員に案内された席に座る、エリスとダイアナと老夫婦。

 旦那はこんにゃくとちくわぶと卵を注文、奥さんは黒はんぺんと大根と卵を注文。

「私は黒はんぺんと豚もつと卵と大根をください」

「僕は黒はんぺんとこんにゃくと卵と大根と牛すじを」

 エリスの注文を聞いた時、一瞬老夫婦の顔色が変わった。


 注文した品か運ばれてきて、それぞれの前に置かれた。

 静岡おでんは一般的なおでんとは違ってつゆが黒い。たねは程よく煮込まれており、串に刺さっているのが特徴。

 食べ始める前に、みんなで一緒にいただきます。

 静岡おでんはからしではなく、青のりとだし粉をかけて食べる。

「美味しいよ、この黒はんぺん」

 ニコニコ顔のダイアナ。

「大根もだしが染みてて美味しい」

 熱々の大根をほくほくとして食べるエリスを見て、老夫婦は微笑む。

 口には出さなかったが、息子はおでんを食べる時はいつもはんぺんとこんにゃくと卵と大根と牛すじを選んでいた。ああやって美味しそうに大根を食べていたなと思い出していた。何故だか、エリスと息子と重ねてしまう。それでも、不思議とは思わなかった。

 そんな前世の両親の思いには気が付かず、エリスはお代わりを注文。

「私も」

 ダイアナもお代わり。


 老夫婦は奢ってくれようとしたが、丁重にお断りしてエリスとダイアナは自分たちで支払った。命をかけてエイリアンと戦う軍人になった分、報酬は高いので二人の懐は温かい。

 店を出た後、それぞれ会釈したから別れた。

 去っていくエリスの背中を見ている老夫婦。

「生まれ変わりは本当にあるかもしれませんね」

「ええ、そうですね、あなた」

 おおらかな顔で話す老夫婦。



 後日。

「本当に素晴らしかった!」

 富士山登頂から帰ってきたケイシーは興奮交じりに話す。

 常人なら大変な登山もタイタンと融合している身体で登り切る。酸素が薄くなっても宇宙空間で活動できるのだから、問題にはならない。

 タイタンの力を使えば最短時間でも登れたが、ちゃんと配慮して目立たないように登頂はしていた。







 おでんで一番好きなのは牛すじです。

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