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第6章 最後の接触
移動の朝、ガビはピッピに会った。ピッピは、ただそこで待っていた。
ガビはピッピの手に引かれて歩き始め、一度だけ後ろを振り返った。
母の乱暴な撫で方、爆ぜる火の脂の匂い、父が放ってくれた肉の重み、騒がしかったムレの熱――それらが急速に遠くなっていく。色あせていくというより、吸い込まれていく感覚だった。
立ち止まっているガビに、ピッピは何も促さない。ただ、静かに手を差し出す。
惹かれているのか。それとも、呑み込まれているのか。
分からないまま、ガビはその手を取り、一歩を踏み出した。




