ー20ー 殺戮王蔡 ⑥
「君は自分を見つめ直した方が良いんじゃないかい?」
マーリンは静かに、優しく諭すようにアリスへと言葉を紡ぐ。
「今回のこのギーナの店を襲撃された件、はっきり言ってあげよう。」
「これは、アリス。君のせいだ。」
私は息を飲んだ。
「君がブリマールの手から、このリラを助けたからギーナの店へ奴らが来た。君はこの子を助けるべきではなかった。」
私が、リラを助けたから。私は......
「私が、考えなしにブリマールと戦ったから......こうなった。」
「そうだよ。君のしたことは......仲間を危険にさらす愚かな行為だ。」
「君のせいで、彼女らは殺されるか奴隷にされオモチャにされるか。」
「でも!だから、私は......命を、この命をつかって助けに......!」
「難しいだろうね。君がいまから行ったとしてなにができる?ガロやユリウスと、あの化け物たちと戦える?私が助けたとき、彼らの強さに震えて動けなかったのに?」
「君は死なない身体ではあるけど、戦えばおそらく身体をバラバラにされて戦闘不能にされて終わり。いや、それは終わりじゃない。永遠の苦痛の始まりになる。」
「私は、それでも良いよ」
マーリンはアリスをじっと眺める。
「私の命で、この身体でなにか救えるのなら......。」
私は絶対に救う。ノア、ナツメ、ミライ。
皆を......。
マーリンは思う。
ああ、なんて美しいんだ!人の心が揺れている様は、これ程までに美しい!
風に吹かれ、揺れている花のように儚さと、強かさを魅せられるようだ。
私は人が好きだ!心があり、これ程美しく咲く花はそうない。ああ、綺麗だ......。
「お姉ちゃん......」
リラが心配そうにアリスを見つめ、言葉をかけた。
「お姉ちゃん、私、あの時......助けてくれたとき、ありがとう言えなかったけど、嬉しかったよ。」
「あの人が、私のお家に来たとき、お母さんもお父さんも、すぐに殺されて......私も、簡単に殺されてしまうんだと思ってた。」
でも、お姉ちゃんがきてくれた。
「お姉ちゃんが助けてくれなかったら、私、今いないよ。」
「でも」
「私、お姉ちゃんがいなくなったら、悲しいよ。」
リラの瞳には涙が溢れていた。
「お姉ちゃんのお友達も、そうだよ......?」
――大丈夫、大丈夫だよ。
アリス
ノア......
そうだ。
そうだ、違う。
私は、間違っていた。
ノア、ナツメ、ミライ......おなじだ。
失いたくない気持ちは、皆おなじなんだ......。
そうか......
命を捨てに行くんじゃない。
命をかけて、助けに行くんだ!!
さて、頃合いかな?と、マーリンはアリスに手を差し伸べる。
「理解できたかい?要はもう少し考えて、動きなさいと言うことだ。」
「リラを救ったことは素晴らしい事ではある。けれど、敵の力を知らずにそれをするのは自殺行為だよ。」
「アリス、君の命も大切なんだよ?」
「君が仲間の命を大切に思うくらい、仲間は君を大切に思っている。」
そうだ。ノアやナツメもミライも私の事いつも心配してくれていた。
「しかし、君は弱い。残念ながら、弱いものは搾取される。それが私達の生きる世界だ。」
そうだ私は、弱い......おそらくガロにもユリウスにも勝てない。
多分、残りの聖騎士、二人にも。
「しかし、ならば」
「強くなれば良い。君のなかにあるモノを一つ解いてあげよう。」
「きちんと反省できたご褒美だ。」
マーリンは私に杖を向け、「解」と一言。
「君の加護、不完全だと言われているだろ。実は君には四つの封印が施されているからさ。」
封印?なんで?だれが、どうしてそんなものを......?
「なんで......。」
「さあ、わからないね。」
アリスの身体から沸き上がる金色の魔力。ゆらゆらと立ち上っている。
私の中から沸き上がるこれは、このオーラは......。
「さあ、行きなさい。仲間が待っているよ。」
「マーリンはなんで、こんなにしてくれるの......?」
あ、と言う表情をしたあと
「ああ、言ってなかったか。カイって、知ってるだろ?幻狼の。ただの頼まれ事さ。」
と、マーリンはにこっと微笑んだ。
「......ありがとう、マーリン。」
あ、ちょい待ち!とマーリンは杖で宙に文字を書く。すると、布にくるまれた長物が出てきた。
これをあげよう。今の君には使えるはずだ。
私はマーリンを見て強く頷くと、用意してくれた扉から庭園を出た。
「さて、とても暇になってしまったな。暇潰しに、君に魔術を教えてあげよう。」
と、マーリンはリラの方を見た。するとリラは眉を寄せ
「なんで、あんなひどいこと言ったの?」
と、マーリンに怒りをあらわにする。
「......彼女が、自己犠牲の化け物だからさ。」
「取り返しのつかなくなる前に、誰かが説教をしてあげないと、ね。」
「......お姉ちゃんをもう泣かせないで!」
「......あ、はい。(こわっ)」
ーーーー
ヒュ
ガキィイイン!!
ナツメの大剣が弾かれ、吹き飛ばされる。
片腕だけでは、思い通りにはやはり戦えないか......!!
「ふむ。手負いの鼠、か。遊びにもならんな。」
ガロがそういい、地面へと大剣を突き立てた。
刺さった剣の先から蛇のように無数の影が、ナツメへと走って行く。
避けようとするナツメだが、影のスピードは恐ろしく早く片足を捕まれた。
「や、ば......!」
ベキィと鈍い音がした。
ッッッッッッッッ
――あっ、があああああ!!!!!!
ナツメの叫びが屋敷に響く。
そのまま足を影で持ち上げられ、壁へと叩きつけられる。
「これで、大人しくなったか。」
何度も壁に叩きつけられ最早虫の息のナツメにガロは言う。
「ふむ。貴様は何故この屋敷へ来たのだ?」
「ノア......わた......仲間......」
「ノア?ああ、もしやあの時のエルフの事か。もうこの屋敷にはおらんぞ。」
ナツメはもはや意識もはっきりしていなかった。
「あれは、今度の祭りの報酬として出すことにした。まあ、奴隷だな。身体に焼き印を押して出荷されるだろう。ん......?」
「死んだ、か?」
ふ ざ け ん な
ボッ
ガロの片腕が吹き飛んだ。
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