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ー19ー 殺戮王蔡 ⑤

 

 ――お姉ちゃん......



 ......お姉ちゃん!......



 あ......う、



 ミ、ミライ......俺は......。


 ああ、そうか......。



 あの時、ギーナの家で......飯食いながら作戦について話をしていたら


 ユリウスの兵がやってきて、いきなりギーナを......そして俺は......



 はっ



「......まじかよ。」


 身体を見ると、左肩から先が無かった。

 どうやらあの黒い鎧の放つ大剣による一撃を受けた際、瞬時にガードした左腕を失ったみたいだ。


「お姉ちゃん、痛みますか?とりあえず応急処置はしたので......。」


 ミライは深刻そうに話し出す。


「お姉ちゃん、今の状況をお話ししますね。」


 俺は、ああ、と言って目を瞑り話しを聞く。


「お姉ちゃんがあの黒い鎧、つまり暗黒騎士に攻撃され、川へ落ち今はもうすでに三日たってます。」


「三日!?そんなに俺は寝てたのか!?」


「寝てたと言うか、生死をさまよってましたよ......。」


「そうか......しかし、やべーな。あれから三日過ぎたってことは、殺戮王蔡(さつりくおうさい)が始まるまであと二日......くそっ」


 時間がねえ!このままじゃ、始まっちまう。権力者達の命を命ともしない、残忍で冷徹な狩人達の祭りが。


 もうすでに日が傾きかけている。


「ミライ、アリスやノア達は?ギーナは無事か!?」


 ミライは首を横に振り、ナツメへ語り始めた。


「アリスとギーナ、一緒に居た女の子に関しては行方がわかりません。ノアはおそらく暗黒騎士に連れていかれたと思われます。」


 (ひたい)に手をあてるナツメ。


「最悪......。」


 と、呟く。

 

「ミライはなんとも無いのか?」


「うん、私は大丈夫。それより、これからどうしよう?」


 泣き出しそうなミライに私は言う。


「ノアを助けに行く。」


「お前はアリス達をみつけてくれ。」



「お姉ちゃん......そんな身体で、行くの......?」


「アリス達をみつけてから一緒に行けばいいじゃないですか......!」


 そう言うミライもわかっているのだろう。このままではノアの命がどうなるか、早く助けなければ反乱分子(はんらんぶんし)として処分されてしまう可能性がある事を。


 ミライとナツメの金色の瞳と思いが交錯する。



「......お姉ちゃん、楔を取る気ですね。」


「私も気がついてましたよ。私やお姉ちゃんに()()()()()()()(くさび)が壊れかけていること。」


「ああ。それしかもうない。」


「でも、この楔は......あの人が、私達に人として生きて欲しいから......。」


「はははっ」


 と、ナツメは突然笑った。


  「確かに、こいつを外せば人には戻れないな。けどな、ミライ」


 ナツメはミライの頭を優しくなでながら、涙を(ぬぐ)い優しく教えた。


「ノアは......私の、私達の家族だ。」


「だから助けにいく。大切な人に命をかける、人としてだ。」



「なら......私も!」


 ナツメは首を振った。そしてミライに笑いかける。


「ダメだ。アリスにはお前の回復魔法が必要だ。」


「ノアは何とかする。アリスを頼んだぞ、ミライ。」


 ミライはナツメに抱きつき泣いた。


 私達は魔族である事を捨て、人としての人生を歩む事を許してくれた人がいた。

 しかし、それまで魔族として生きてきた時間は長く、人との関係は良いものを築けず、その(ひず)みは次第に私達姉妹を孤立させていった。

 私達はずっと二人だけで生きてきた。


 そんな中で、アリスに出逢った。


 彼女も私達二人と同じで、この世界を上手に歩くことの出来ない人だった。だから......。

 そんな彼女をほっとけなくて仲間に誘い、ノアが来て、私達は家族と呼べる程の間柄(あいだがら)になった。


 そうだ、私達は家族なんだ。かけがえのない。


 ミライはナツメの想いが痛いほどわかる。そして、止められないことも。



 ーーーー







 ――お前に任せたのが間違いだったな。



 もういいから、大丈夫、期待してない。



 カタカタとパソコンを打つ音が聞こえる。



 自分で考えろよ。何年やってんだよ?







 ああ、僕......何のために



 生きてるんだ?




 ごめんなさい。



 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい









 大丈夫。




 大丈夫だよ、アリス。






 はっ



「やっほー。」


 目を開けると、白いローブを被った男人が私の顔を覗いていた。

 隣にはリラも居る。


 あ、あれ......?

 ......夢、か......?


「わ、私いったい......?」


「お、意識ははっきりしているか。うわごとばかり言っていたから少し心配だったのだけれど。」


「ここは、君は......だれ?」


 うんうん。と(うなず)く、白いローブの男。


「ここはね、私の庭園なんだ。花が好きでねー。」


 と、喋りながらフードを脱ぐと、男は女性と見間違うような美しい顔をしていた。

 肩の辺りまでとどきそうな長さの髪。色は銀、で不思議なことに光の加減で時々青っぽく見える。


「けれど、花と言うのはその寿命も短い。だから、時間の流れが遅いこの異空間を庭園にしたのさ!」


 綺麗だろう?と、私に笑いかける。

 異空間?な、なにがなんだかわからない......。


 すると、リラが私に言った。


「私とお姉ちゃん達は、この人に助けて貰ったんだよ。ギーナさんて人も治療してくれたの。」


 ギーナ!良かった......!

 本当に......。


「ありがとう、えっと......」


「ああ、私の名前だね。私は魔術師マーリン。マーリン、と呼び捨てで構わないよ。よろしくね。」




「よろしく......お願いします。」


 って、悠長(ゆうちょう)に話をしている場合じゃない!!

 ナツメはどうなったんだ!?ノアは!?ミライは!?


「助けてくれて、ありがとうございました!けど、私、仲間を助けに行かないと!!」


 するとマーリンは驚いた表情をした。


「今さっき死にかけていたのに?」


 私は言葉に詰まった。けど、行かないと......助けないと!


「あの時のように上手くいくかなあ?あの宿の夜の凶狼猿(ガリオル)との戦いように。」



 ――え?


 とあるツテで、君の事は知っているよ。不死鳥の加護を持つアリスちゃん。

 と、マーリンはにこにこ笑っていた。



 ーーーー



 どすどすと邸のなかを歩く男は怒り怒鳴り散らしていた。


「ふざけるなよ!!!なぜ貴様はいつもいつも邪魔ばかりしてくるのだぁー!!!」


 ドカッと扉を蹴り開けた。


「む。やあ、ブリマール。元気そうだね。」


「アラギアナぁ!!!貴様ああああああ!」


 と、怒り狂うブリマール。話しにならないと見るや、主の前にユリウスが出た。


「ブリマール様、お話しの途中失礼します。アラギアナ様、今回の件についてなにかございますか?」


 と、ユリウスが聞く。三日前の不死鳥の加護の娘、アリスを迎えに行かせた部下が全員首をもがれ死体となって帰ってきた事についての言及(げんきゅう)だった。

 アラギアナはうーん、と少しうなると、


「む。そうだな。あれは、ガロは抑制のきかないからな......。彼等にはとても可哀想な事をしたな。」


 と、言葉とは裏腹ににこにことしているアラギアナ。

 アラギアナは殺戮王蔡の出資金の額が飛び抜けて多い。

 なので、殺されることはないと確信しての挑発であった。


 ブリマールは睨み付けると、怒りを圧し殺し言った。


「アラギアナ......殺戮王蔡、楽しみにしておけよ。帰るぞ、ユリウス。」






「なあ、ガロ。君はどう思う?」


「うむ、どうでもいいな。あのような小物......。私は強いやつを殺せればそれでいいのだ。ユリウス、やつは強い。殺し合うのが楽しみだな。くくっ。」


「ははっ、うん。そう言うと思ったよ。君なら。」




 さて、とガロは大剣をブンと振る。


「鼠が入った。殺してくる。」
















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