ー18ー 殺戮王蔡 ④
「さて、どうだった?」
ギーナが私達を見渡していう。
私達は今、ギーナの作戦によって動いている。
その作戦内容とは、殺戮王蔡を行う際の、出資者つまりスポンサーであり、聖騎士を所有している王族、三大公爵を襲撃し、お祭りを根本的に潰してしまおうという物。
そして、作戦を成功させるにはやはり敵の情報を得る事が大事なので、偵察へいっといでとギーナに言われ、皆帰ってきたところだった。
夜も遅いので、夕飯を食べながらの会議である。
「俺が偵察に行ったアラギアナってやつんとこは、屋敷から一歩も外に出てこなかったな。使用人ぽいやつが何度か出入りしてるだけだった。」
例の聖騎士は見れなかったなーと、ナツメは片手をあげ、手をひらひらさせた。
「私の所も聖騎士らしい人はみてないよ。ただ、アカルダは物凄く強そうだった。武器とかは確認できなかったけどね。」
ノアはギーナに貰ったお茶を飲んで、ふぅと一息つく。
「アリスはどうだったんだ?」
と、ナツメに聞かれた。
「あ、う、うん。......聖騎士みたいなの見たよ。発してるオーラ的に多分。」
「どんなやつだった?そいつは」
と、ギーナに聞かれる。
「赤い鎧を着た人でした。多分、魔術師ですね。」
ミライが言うと、ギーナはああ、あいつか。と、言った。
「奴は、そう、聖騎士の一人だね。名をユリウス。灰塵のユリウスと呼ばれている。」
「ユリウスは鎧を着ているが、それは防具ではなく自分の力を制御する拘束具なんだよ。膨大な、そして触れれば塵にしてしまう魔力、オーラを制御するための。」
「あ、うん。拘束具の話しは本人に聞いた。」
「そうかい......え?」
「「「え?」」
ほ、本人?と、皆の視線がアリスに刺さる。
「アリスは、そこの女の子を助けるためにブリマールと戦ったんですよ。その時に、ブリマールを助けに出てきたユリウスと話をしたんです。ちなみにこの子の名前はリラと言います。」
なっ......と、絶句するギーナ。
「俺、なんで、あの時の女の子と一緒に帰ってきたんだ?と思ってたんだよな......。」
「私も全然なにも言わないで入ってきて、その子と普通にそこに座ってたから......。」
「あ、うん。ごめん......。」
「ごめんなさい、お姉ちゃん達......。」
「いや!そこはつっこめよ!いる時点で!」と、手をバタバタしながらミライがツッコミをいれた。可愛い。
ギーナは頭を抱えて険しい顔をしながら溜め息をついた。
「よく生きて帰ってこれたね......本当に......。」
「あいつは心の無い聖騎士として有名でもあって、女子供でも関係なしに殺すようなやつなんだよ。」
「あ、あのもう一つ......。」
ギーナがあからさまに嫌そうな顔で私をみて、先を促す。
「なんか、私、ブリマールの物になってるらしく迎えが来る......らしいです。」
「「「は?」」」
数秒の沈黙の中、ギーナがヤバいね。と言って慌てだした。
「ここから早く逃げないとまずい。迎えってのは、ユリウスの直属の兵の事。アリスを奪うためならなんでもするよ。」
「前にある家の娘が気に入ったとかで、ブリマールの命令で現れたのがそいつら。抵抗した父親と母親、弟もいたが皆斬殺。そう言うのが他にも多数ある。」
さあ、行くよ!と、ギーナが扉へ手をかけ外へ出ようとすると
ザシュ
数秒の沈黙そして
扉を鮮血が彩った。
扉越しにギーナは斬られた。
ギーナごと扉を蹴飛ばし、現れたのは銀色の甲冑を着込んだ兵士五人。
ヒュンとつきたての鮮血を払い飛ばし、こちらに剣先を突きつける。
「お前が、アリスだな。迎えに来た。」
「ギーナ!」と、駆け寄ろうとするノアとミライを剣で静止する。
「動くな。斬るぞ。」
こいつら......!ギーナの傷はおそらく深い!
早く私の《魂幻》か、ミライの回復魔法で治さないと......どうすればいい?この状況は......!
ぞわっ
え、と、後ろに異様な気配を感じた。
いつの間にか背後に黒い鎧を着た男が現れていた。出入口はユリウスの兵士がいる所しか無いのに!?
どうやって入ったんだ!?って、いうか......それよりも!!!
この黒鎧......多分、ユリウスより格上だ......!
「やれやれ、ユリウスの兵士よ。お前らはいつもそうだ。」
深い溜め息をつく黒鎧は、背中に背負った大剣を抜く。その大剣は紫色の禍々しいオーラを放っていた。
「命、とは。そう扱うモノでは無い。」
ナツメが黒鎧に斬られた。
ギーナの家の壁をぶち破り外へ吹き飛ばされた。そのまま近くの川へと落ちた。
「ふはははは!そう、これだ。この暗黒の力に焼かれ美しくその命を燃やせ。」
「くっ......アラギアナのとこの暗黒騎士、ガロ......こいつはまた面倒に......。」
と、ユリウスの兵士達が言う。暗黒騎士?聖騎士じゃなく......?
兵士達の仲間じゃないのか?
そ、そんな事よりナツメは......!?
「お姉ちゃん!!!!」と、ミライが破壊された扉から外へと駆ける。その時、ガロと呼ばれる暗黒騎士の身体から黒く禍々しいオーラが、鞭のようにしなりミライへと襲いかかった。
が、それをノアがギリギリ大槍で受ける。
「ミライ!ナツメを!」
と、ノアが叫んだ。その時、ノアの身体に黒い影が蛇のようにぐるぐると巻き付く。
ガロの放った鞭のようなオーラがノアを縛り上げた。
「ああああああっ......!!!」と、苦痛に悶え、叫ぶノア。
「一匹確保。」
ガロが言うと、今度は私の方へ顔を向ける。ガロもまたユリウスと同じく顔が見えず、その表情を伺い知ることはできなかった。
「うむ、さて、さてさて。どうする?ユリウスの兵士達よ。」
「帰ってユリウスに殺されるか、今私と戦い、死ぬか。」
「選べ。」
殺気にあてられるユリウスの兵士。構えている剣が震えカチャカチャと音を鳴らしている。
私は打開策を考えるが、なにも思い浮かばない。なにか......なにかないのか!?
このガロとかいう暗黒騎士は強すぎる!どうにかこの場を切り抜けないと......みんな死ぬ!ナツメは......ギーナは......。
と、ギーナが倒れている場所を見ると、ギーナが消えていた。そして、かわりに綺麗な小さな青い花が咲いていた。
は、花......?
はっ、とガロとユリウスの兵士をみると、兵士、三人の首が無くなっていた。
身体にはあの蛇のような影が巻き付いていた。
その時。
とんとんと、肩を叩かれ、振り向くと白いローブの人が立っていた。
「え?」
「やベー事になってんじゃん。アリスちゃん。」
だ、だれ?って、え......?
気がつくと私は一面の花畑に居た。
「どこ......ここ?」
と、精神的に許容限界を越えた私は気絶した。
ドサッ
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