ー17ー 殺戮王蔡 ③
地面へと刺さる斧を抜くと、彼は私を睨み付けた。
「あ......あの時の......お姉ちゃん?」
「また会ったね!」
女の子は一瞬驚いた顔をし、すぐに表情が曇った。
「だ、ダメです......私なんか助けては......。」
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねーぞぉ!」
男の斧が横に振り抜かれる。私は脚を開き下へと身をかわす。
そして地面を蹴り距離を詰める。
まずは脇腹を蹴り抜く。
「がっ......ふ!?」
腹をおさえ頭が下がったところで、顔面へとハイキックを撃つ。
「ぶっはっ」
と、アリスの蹴りが命中し男は膝をつく。
すると野次馬の中から三、四人の冒険者が出てくる。
蹴りの入った場所を、いってーなぁとぼやきながら男がこちらを睨んだ。
「......お前、わしが誰か知らんのか......?」
「え、ああ、うん!」
「わしはこの国の王に認められし偉大なる権力者、名をブリマール!貴様、このような無礼......もはや無礼どころの話しではないが、ただで済むと思うなよ。」
「長いなー。良いから来なよ!」
と、両手を天にあげ、ぐぐぐーっと伸びをする。
「ふざけよって......殺す。」
と、苦虫を噛み潰したような表情になる。が、急にはっとした表情になった。
「――と、思ったが、これは......。」
「お前、なかなか良いな。顔も綺麗だし......獣人か。」
私の顔をまじまじと見て、頷いた。
......良いなって?なんだ?
「こいつは殺すな。わしのモノにする。やれ!」
という男の合図と共に野次馬から出てきた冒険者達が、アリスに襲いかかる!
――アリス、お前の動体視力は普通じゃない。
カイが言う。
「先の戦いで、お前は俺と渡り合っていたが、並みの冒険者や戦士なら、数秒で倒されている。」
「マジで!?」
「ああ。おそらく、お前が獣人だからと言うのもあるだろうな。お前の種族は、パワーはないがスピードに特化した身体になっているからな。」
「まあ、《魂幻》を使うことによって更に身体能力はあがってが。それでも、尋常ではないな。」
「ま、だから、体術を磨けば、お前は加護が無くても強くなれる、恐ろしいくらいの素質がある。」
「この訓練期間で、どれだけ強くなるか......楽しみだな。ははっ。」
ガッッ!!!!
「ぐ......あっ。は、早すぎ......る。」
深々とナイフの柄が鳩尾を貫き冒険者の一人は、崩れ落ちた。
「さて、あとは君だけだね。」
四人の冒険者を一分も経たずに倒され、斧を片手に持っている男は、驚き目をまんまるにしてこちらを見ていた。
「う、嘘だ......この冒険者達はコロシアムで上位の......。」
コロシアム......この街で月に一回あるイベントか。腕に自信のある者達が戦い、勝利数を競う。
それにより賞金や地位を貰えたり、罪人だと罪を軽くしてもらえる。
私達が最初、強くなる為にお金稼ぎと兼ねて参加しようとしていたのもこれだ。
今はもう、それどころではないけれど。
けど、コロシアム上位の冒険者ってことは、私も結構上の人達とも渡り合える力はあるのか......。
あ、いや、油断大敵だ。
女の子がぽかーんと口を開けている中、野次馬達は盛り上がっていた。
「すげー強ええな猫耳姉ちゃん!」「殺せ!殺せ!」「やっちまえー!」
「......君、嫌われてるの?」
と、周囲を見渡し、ブリマールの方を見るといつの間にか、大柄の男がいた。男はこの街の門番と同じくらいの背丈で二メートルという大きさに加え、赤々とした鎧を着ていた。
顔は兜で見えないが、とてつもなく異様で不気味なオーラを発していて、さっき戦った冒険者とは各が違う事がわかった。
こいつは、ヤバいのが出てきた!
と、本能的に感じ瞬時にナイフを構える。いつでも使えるように空いている手には魂を出せるように意識をする。
「ああ、すみません。そう構えないでください。」
と、赤い鎧の人が可愛らしい声で喋った。
「え、お、女......?!」
体格で男だと思っていたが、どうやら女だったようで、アリスは驚き耳をピーンとたてる。
「ああ、そうですね。このみてくれならそう思われるでしょう。」
「しかし、この拘束具を外してしまうと大変な事になるのです。失礼ながらこのままお話しさせていただきますね。」
こ、拘束具って言ったの......?
力を抑えてこのオーラ......やばすぎね?
ナイフを握る手には汗が滴っていた。
「まず、ブリマール様はこのまま返していただきます。そしてこの件に関しましての貴方への処罰を言い渡します。」
「処罰は無し、です。」
ほっ......とするアリス。
「ではこれで。後程、貴方に迎えの者を遣わせます。」
「え、ま、まって!迎えって、なに?」
ま、まさか?
「貴方はブリマール様の所有物となりましたので。では、また。」
戦いの決着を察し、野次馬の中からミライが出てくる。
「アリス、大丈夫ですか?なにやら、とんでもない事になりましたね。」
「ア、アリス?おーい。」
と、呆然と立ち尽くすわたしの顔の前で、ミライは手をひらひらさせていた。
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