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ー16ー 殺戮王蔡 ②

 


 嫌だーーーーーーー!!!と、ミライは突然叫んだ。


 び、びくっりした。......まあ、気持ちはわかるよ。なんか気軽に、わーお祭りやるの?ラッキー!みたいな感じで入ったらこれでしょ?お祭りは私らの頭のなかだったって落ちか。

 もう私も急展開すぎて混乱中ですわ。


 ミライをよしよしと慰めるように姉なるものナツメがぎゅーってしてた。

 ノアもミライの頭をなでなでしていた。

 微笑ましいなあ。状況的には微笑んでる場合ではないんだけどね。


「まあ、そんな祭りになんて参加できるかって断ったわけ。多分もう営業なんてさせてくれないだろうけどね。それどころかおそらく、こんどの殺戮王蔡(さつりくおうさい)でどさくさに紛れてこの店も壊されるだろうね。」


 はあ、と頭に手をあてギーナは深く溜め息を吐いた。


「ま、まってくださいよ......カイはこのことしらなかったんですか......ひっく」


 涙にまみれた顔でギーナに問いかけるミライ。


「いんや。おそらくカイは知っていただろうね。その上で教えなかった。」


「どゆこと!?」


 私が突っ込むとギーナは笑顔になって言った。


「実戦に勝る練習はないってことさ。あんたらを更に強くするために参加させたんだよ。あいつはそう言うやつだ。」


 確かに、そうかもしれない。でも......。


「このお祭りには、私達は参加できない。」


 ミライを抱き締めていたナツメも言う。


「ああ、そうだな。こんな人の命をオモチャにして遊ぶ祭りになんて参加したくないな。」


「そうだね。私もやりたくない」


 ノアもしょんぼりしながら言った。


 ミライはナツメの胸に埋もれながら、「......あのやろう」と、可愛い声で小さく呟いた。怖っ。


 するとギーナは、そんなことはわかってるよ。と私達ににこにこしている。

 なんだろう。別の意味で嫌な予感がしてきた。


「カイもこういう命を粗末に扱うのを嫌っているからね。おそらくあんたらを参加者にして逃がさないよう、逃げられないようにしたんだろーね。」


 えええ!?いったい全体どーいうことだってばよ!

 ......これ以上聞きたくなくなってきた。


「簡単に言うと、カイはあんたらにこの祭りを潰させるつもりだね。」


 嫌だーーーーーーー!!!!と、またミライが叫んだ。


 気持ちはわかるよ。無理ゲーじゃね?

 だって、腕利きの戦士や冒険者達を狩れる力を持ってる、聖騎士が三人もいるんだよ?

 せめて方向性を決めてから、こういう仕事は落としてください。

 生前のブラック企業よりブラックなカイ師匠。


「けれど、あんたらカイに鍛えられたんだろ?なら相当強くなってるはずだよ。」


「だって、歴代最強と言われた勇者に体術教えたのカイだしね。」





(゜゜(゜゜(゜゜(゜゜)



 ーーーー



「あいつら、どんな顔してるかな......くくっ」


 デアーユの門を眺めカイは笑った。


「これくらい攻略できないんじゃ、魔王討伐なんて夢のまた夢だぞ。きばれよ。アリス、ノア、ナツメ、ミライ!」


 その時草むらから白いローブの男が現れた。身長はカイより小さく164センチくらいで、大きな杖と腰には紫の本を携帯している。


「でも、君の目的は達成できなかったね。どうする?」


 と、ローブの男はカイに問う。


「そうだな。森でアリス達の追手を処理したかったんだが、デアーユに入られたな。」


「私も感知結界を貼って、シルフィの使い魔にも警戒させていたが、それもすり抜けた。と、言うことは......」


「デアーユの王族、もしくはその付近に魔族に通じてるやつがいる、か。」


「姿を消せる魔人はアリスに戦闘不能にされてるハズだからね。彼ではないとすると......だれなんだろう。」


 聖騎士......加護持ち......魔族の追手。そして、それだけじゃない。

 デアーユには腕利きが大勢いる。そいつらがアリスに目をつけ殺そうとするかもしれない。そうなれば、流石に手に余るか?


「なあ、マーリンお前たしか、デアーユ内に使い魔おいてたよな?」


 ぎくっとする白いローブの男。マーリンは、あーえーまあ、うん。と答えた。


「あいつら助けてやってくんね?」


「えー面倒くさ......。」


「お前が飲みたがってたワイン。あれ、今度やるよ。」


「ほ、本当に!?グラフェールの120年モノ!?」


「......ああ、いいぞ。(え、それ?まじかよ......リガータ93年モノじゃねーのか。)」


「仕方ないなあ......。(あれ?それはダメって言わないな。ラッキー。)」


 マーリンは宙に光る文字で術式を書き、それを地面へと移す。

 大きな杖で、カン!とその術式を叩くと光輝きだした。


「じゃあ、行くね。約束、わすれないでねー。」


 と、ひらひら手を振る。


「ああ。......たのんだぜ。」



 ーーーー



 ――はあはあ、助けて。


 はっ


 私、まだ......死にたくな......。


 あっ!!


 (つまず)き小さな身体が宙を舞う。

 ごろごろと転がる。


 黄色の洋服、桃色のスカートの女の子。

 近づく大柄な男の手には斧を持っている。


「いきなり逃げるなよぉ。今度のお祭りの為に新しくかった武器の試し斬り......するんだからさぁ。」


「まあ、逃げたほうがそれっぽくて面白いかぁ。」


 通行人は見て見ぬふりをする者、殺されるのを今か今かと待ち興奮している者や、ああ、金持ち息子のまたいつものやつか、と気にもとめない者しかいなかった。


「さーて、いい声で鳴いてよぉ!」


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいなんでもいうことききますにげませんころさないでころさないでころさないで」


 必死で懇願(こんがん)する女の子へと男はふひひと笑いながら、振り下ろした。



 ドゴォオオオ!!!!




 しかし、振り下ろされた斧は、目の前に現れた猫耳白髪の少女に弾かれ、女の子の真横へと落ち地面を叩き割った。


 振り下ろされた瞬間に斧の腹の部分を彼女はナイフの柄で、叩き弾く事で起動を反らしていた。


「!?」


「な、なんだーおまえはぁー!?」


「私はアリス。少し遊ぼうか。」



 ナイフを構えた。












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