ー13ー 暗闇と光
「魂が見えてる、か」
がしがしと頭をかくカイ。なんだろう、少し嬉しそう?に見える。
気のせいかな。
「......わかった。武器を下ろしてくれ。俺に戦闘の意思は無い。」
先程までと違い、もはや殺気も闘気もない。
カイは多分......30代かな。前世の私くらい?
短髪の黒髪に、無精髭をはやしている。
ノアとナツメが武器を下ろすと、ありがとよ。と言った。
「不死の。俺はお前が生きていると言う情報を聞いて会いに来た。」
え、え、やっぱり知り合いだったのか!
けれど、私にはこの人の記憶が無い。ってことは......ん、どういう事だ?
「私は君を知らないんだけど......。」
「ああ、そうみたいだな。この森に入る前からお前らを見ていたが、お前は俺の知っているあいつでは無かった。が、しかし」
柔らかな優しい目で私の顔を見る。
「姿かたちがそっくりなんだよ、あいつに......。能力も同じ不死鳥の加護。そして、そのたぐいまれなる戦闘センスも。」
「魂が見えるってーのも、不死がいってたな。」
私はさっきから疑問に思っていたことを聞いた。
そもそも、その不死のって誰なんだ?
私は社畜から転生してこの身体になったはずなんだけど。
「ねえ、その君が言う不死のってのはちなみに誰のことなの?」
「ああ、そうか。」
「俺がさっきから言っている不死のってのは、この世界を救わんとした歴代最強の勇者パーティーの一人で、お前の持つ不死鳥の加護を持っていた女だ。」
「「「「えっ」」」」
四人の驚きがシンクロした。
「名をホムラ・カザミ。」
「あいつは魔王との最後の戦いの時、勇者の魂を抱いて燃え上がり消えた。その後、捜しても見つからず生死不明となったが、不死の能力をもっていたからな。」
「どこかで生きているんじゃないかと思って早数年。不死鳥の加護持ちがいると風の噂で聞いて、あいつじゃないかと会いに来たってわけだ。」
なるほど......。私が、似ていたから。
「で、でも、なぜいきなり襲ってきたんですか?」
ミライが言う。
「話があるなら普通に話せば良かったじゃないですか。」
「ああ、怖がらせちまったよな。すまねえ。でも俺は知りたかったんだ。アリスお前の戦いを。」
ナツメは大剣の持ち手をなでながら口をひらく。
「なるほどな......だから、お前はアリスの本気を見るために、あの手この手で挑発していたわけか。俺たちを人質にしたり。」
「もしかして、精霊や妖精を食べるっていうのも?」
ノアが聞いた。ずっと気になっていたみたいだ。
「ああ、そうだ。不死のも精霊や妖精の友人が多かったからな。人じゃねえけど。」
カイの話しを聞いていく内に、私にはひとつの不安が生まれていた。
ラノベによくある異世界転生は、命の始まり、新たな生命として異世界に生まれる。しかし、私には赤ん坊や幼少期などの記憶が無い。
かといって、性別や見た目、更には猫耳まで生えていてまるで別人の身体になっている事から、異世界転移ではないことも間違いない。
もしかして、私は......魂だけ異世界転生したのか......?
だとしたら府に落ちるし、納得できる事もある。
でも、けど、私は......。
もしかしたらこの身体は......さっき言っていたホムラって人ので、私は一時的に肉体に宿っているだけの魂なのかもしれない。
だから、加護が不完全なの、か?身体の持ち主ではないから......?
不死鳥の加護をもつ身体なら、それもありうるのか......。
私は、もしかして
消える時が、来るのか?
視界が暗くなる。
私の存在......消える......?
いや......まさか。
でも......もしかしたら......
こ、怖い。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
底知れない恐怖と不安に襲われ、私の意識が闇に埋もれる。
そして突然、視界が暗く閉じた。むぐっ!?......苦しい!?
気がつくとノアが私の頭を胸に抱えていた。
「アリス。」
「大丈夫、大丈夫だよ。」
私の不安そうな表情を察したのか、ノアは優しく語りかけてくる。
柔らかく、温かな優しさに包まれ、私は落ち着きを取り戻す。
ノアは私の前世や、正体を知らない。
けれど、私にたくさんの溢れんばかりの愛情をくれる。
私の中で、どんどん大きな存在となっていく。
「ああ、すまん。別に不安をあおりたかったわけじゃない。」
カイは申し訳なさそうに、自分の顔に手を当てた。
「ようはあれだよ。お前ら、強くなりたくてこの先の街に行こうとしてたんだろ?これも何かの縁だ。」
「俺がお前らを鍛えてやるよ。」
ミライが、何をいってるんですかー!!と噛みつく。
「あなた今負けたばかりなんですよ!?なんで私達が教えを乞わなければならないんですかー!!」
あっはっは!ちげえねえな!とカイが笑う。するとナツメはミライに言った。
「いや、ミライ。おそらくこいつは本気をだしてなかったぞ。」
え?と、ミライの可愛い目がまるまるとなる。
そう、おそらくこの人は何かの武器の使い手だ。本来の戦いかたはまた違うのだろう。体術だけであれほどの強さ......。
この人に、カイに鍛えてもらえれば今よりも強くなれる。
「アリス、あの人も加護を持っているし、それについても色々わかるかもしれないよ。」
「ナツメ......ミライ。良いかな?」
二人は、アリスをみて頷いた。
「よろしくお願いします!」
カイはにいっと笑った。
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