ー11ー 迷いの森の幻狼 ②
着物の武士的な男は、アリス達に向かって口を開いた。
「やあ、不死の。」
......ん?
あ、私の事か......。え、私だよね?
いや、だって不死のとかって呼ばれたことないから。
いつも不死鳥の加護持ち~とか、加護持ちとかだから......。
急にそんな呼び方されても。
あ......や、やばい。返事するタイミングが無くなった。
とりあえずそれっぽい表情しとこう。
キリッ
ノア、ナツメ、ミライが私の顔を見る。
「(あれ?なんか口振り的にアリスの友達......?でも返事しない......どゆこと?)」
「(うん?あの口振りからして、アリスの知り合い......だよな......?なんで答えねえんだ?)」
「(むむ?アリスのお友達......では、ない?ちょ、アリス!なに、そのキメ顔w)」
ぶふっ
ミライが何故か吹き出し、笑っていた。
「え、ああ、そう、猫耳のお前だよ。紛らわしくて悪かったな。」
白い着物の武士的な男は、その黒の短髪をがしがしとかいた。
「つい懐かしくてよ。」
え、懐かしくて?って、事は私の知り合い?
私は全然しらないんだけど。
「君はだれ?君が幻狼の加護......」
と、その時。
アリスの問いが終わるより速く、男の周りにいた鎧達が皆を取り囲んだ。
そして、首もとに刀をあてた。おそらく、少しでも動けば切り裂かれるだろう。
「そうだ。俺が、幻狼の加護を持つ者。」
「カイ・ヒイラギだ。よろしくな。」
「......精霊は、いつから幻だったの?最初から?」
「いんや、途中からだよ。お前らが全員精霊から目をはなしたタイミングで幻といれかえた。」
「精霊を食べてるって、本当なの?」
「まあ、本当だな。」
そんなことはどうでもいい。と、カイが言うと、身体から白い霧のようなオーラが立ち上ぼりはじめた。
そして、その横にいた鎧の男達もこちらへ刀を構える。
私は、魂のストックを確認する。2、3......5。
1個は使えないやつ、他は......
ヒュッ
あぶなっ!!顔へと繰り出されたカイの拳を紙一重、ギリギリでかわす。
しかし息つく暇もなく、そのまま身体を捻り上から蹴りを浴びせてくる。
アリスはそれもすれすれでかわすと、右手に不死鳥の羽を出し握る。
燃え上がり、アリスの全身を朱いオーラが覆う。
そして、腰に差してある少し大きなナイフを引き抜き、構える。
これでこちらも戦闘態勢が整った。と、言っても瞬時修復が有効なリミットは5分。
早めに決着をつけないと......!
「おまえ、状況わかってるのか?」
仲間の状況の事を言っているのだろう。
「うん、わかってるよ。」
と、私はカイに言った。
ーーーー
「くそっ......なんで、俺がこんなっ」
赤髪の男は苦い顔をし、椅子を蹴る。彼の名はベリアラ・カーキ。
魔王軍、四鬼天の一人であるリンドウ・ハオウの直属の部下である。
四鬼天とは、魔王が認めた最上位の戦闘力を持つ、四人の魔族であり、そのリンドウの部下であるベリアラもまた、戦闘能力は群を抜いていた。
しかし......。
あの時、冒険者の宿を襲撃した夜。
不死鳥の加護により、腕を炎の鳥に撃ち抜かれ、もはや俺は鞭を振るうこともできなくなった。
額の汗を拭い、治療士が言う。
「これは、いったいどんな攻撃されれば、こうなるんですか?ベリアラ様。この傷は......もう腕は治せません。」
知っていた。あいつ、不死鳥の加護を持つアリスという女は、特殊なオーラを持っている。
魔力に近しいそれは、かつて勇者のみが持ち得るといわれていたもので、そのオーラで攻撃されれば、本来再生能力が高い魔族だが、こうして治すこともできなくなる。
「だが、問題はそこじゃねえ。俺はそのオーラの対策はしていた。が、負けた。」
「......なぜ、負けたのですか?」
「あいつが、ある部分で俺を越えたからだ。」
「......バトルのセンスだよ。」
ーーーー
魂幻のオーラを纏うと身体がとても軽くなる。
反応速度も明らかにあがっていて、相手の動き出しを見てから避ける事ができる。
カイは凄まじいスピードで、体術を繰り出してくる。
しかし、魂幻のオーラでの身体能力強化により、それを全てかわすことができた。
だが逆に、カイは相当な武術の使い手のようで、同じ体術で拳やナイフをあてる事は難しかった。
ノア達は大丈夫だ。私の考えが、正しければ......!
「走れっ!!!!」
突如、カイが叫んだ。すると、カイの身体、腹のあたりから狼が飛び出し私に噛みつく様に消えていった。
――幻影!!!
突然あらわれた幻狼に、私は反射的に両腕をクロスさせ、ガードしてしまった。
その隙をついて、脇腹に強烈な蹴りを貰った。
痛っ......たい、なあ!
吹っ飛ばされ転がりながら、態勢を立て直す。
しかし、前を向くと距離を詰めていた、鎧の男二人が私に刀を振り降ろす所だった。
それをギリギリでかわし、その後ろにいたカイへとナイフを一閃し、距離を取る。ちなみにナイフはかすりもしなかった。
視界にはいるノア達が、心配そうに見ている。
そして、カイが言った。
「次で終わらす。不死のお前の動きはもう見切った。」
また、二人の鎧の男がこちらへと刀を構える。そして、更に二匹の幻狼が現れた。
私は羽を手のひらへと、出現させる。
「うん。来なよ。」
そう言い、魂幻を発動させる。
つかえる魂は、あと二つ......!
二匹の幻狼が私に襲いかかる――
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