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仁侠?それって美味しいですか?  作者: 甲斐性なし
8/10

第8話


 繁華街近くの交番で、新人警官が無線対応する。切迫した声を受話器越しに聞きながら、鼻をほじる新人警官の姿は、出来の悪いドラマのワンシーンの様に、堂に入っていた。


 適当な相槌をしながら行けたら行くスと、信じられない暴言を吐いて無線を切った新人警官は、隣でガンプラを組んでいる先輩警官に声をかけた。


「先輩いいっすか?なんかいつものやつ(通報)、きてますけど」


 新人の呼びかけに顔を向けることなく、先輩警官はピンセットを動かしている。


「はぁ?馬鹿かおまえ、見りゃわかんだろ。本官は厳正な職務中だろうが」


 ガ(・)ン(・)プ(・)ラ(・)が(・)も(・)う(・)ち(・)ょ(・)い(・)で(・)完(・)成(・)な(・)ん(・)だ(・)よ(・)と、先輩警官は顔パーツにシールを貼ろうとしていた。かれこれ20分近く、シールを貼ろうと悪戦苦闘している。その手はアル中で震えていた。

 酒の臭いが、離れた席まで漂っている。新人警官が私物のスマホを弄りながら、ダルそうに苦言を呈した。


「そうやってこないだも通報無視したじゃないすか。また署長にバレたら、今度こそ首っすよクビ」


「うっせえな、じゃあテメェだけで行けや。俺に飲酒運転させる気か?」


 なんで勤務中に飲んでンすかと笑う後輩に、馬鹿野郎、なんで働かなきゃならねえンだと先輩は返した。


 繁華街の交番だけあって、日に数度は出動がかかる。大半は酔っ払い同士の喧嘩などだが、ここ最近は半グレ案件が激増している。百木・鬼島は抗争によって、ほぼ壊滅した。その空白地帯に半グレがシノギを始め、結果的に犯罪件数が急増したのだ。


 組織としてのヤクザのように、芋蔓式で検挙できない半グレでは、もはや数人程度を検挙したところで、焼け石に水だった。トップの入れ替わりや、集団の結成・消滅が激しい半グレ相手では、現行の当局では対応し切れないのが現状だ。

 それを抜きにして、この交番は終わっていた。


「あ?先輩これ、さっき通報あったビルすね」


「はあ?何言ってんだおめー…あぁん?!」


 TURU-TANまじ可愛い、まじでやりてぇと叫びながらダークウェブの生配信をみる後輩に、ガンプラの頭パーツを投げつけた先輩がスマホを奪い取った。


「オイゴラァパイセンラァ!!スッゾメー!!」


「ウッセ、ダ↑マ↓レ↑!ガキゴラメー!!」


 こいつ間違いねえ、鬼(・)島(・)ん(・)と(・)こ(・)の(・)賞(・)金(・)首(・)だ(・)と先輩が叫ぶと、先輩まじ臭え、ドブみてえな口臭だと後輩が笑った。

 先輩は交番を飛び出すと、パトカーの運転席に飛び乗った。遅れて助手席に座る後輩の手には、署(・)か(・)ら(・)横(・)領(・)し(・)た(・)自(・)動(・)小(・)銃(・)が(・)握(・)ら(・)れ(・)て(・)い(・)た(・)。


「えっ先輩?!これ、えっ??TURU-TANをやれる(強姦)スよね!?」


「当たり前だ、やりまくれ(殺しまくれ)!!」


 な(・)ん(・)な(・)ら(・)ご(・)祝(・)儀(・)つ(・)き(・)だ(・)ぞ(・)と先輩は叫びながら、サイレンを鳴らして急発進した。



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