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仁侠?それって美味しいですか?  作者: 甲斐性なし
7/10

第7話

____________________


 若い衆が半グレたちの死体を、大型ダンプに詰め込む。ダンプは企業舎弟の精製工場へと向かう。砂利とコールタールで作られるアスファルト合材に、死体が混ぜ合わされる。高熱処理された合材は、道路の舗装や施設の敷地で使用された。


 半(・)グ(・)レ(・)た(・)ち(・)が(・)初(・)め(・)て(・)、社(・)会(・)に(・)貢(・)献(・)し(・)た(・)瞬(・)間(・)だ(・)っ(・)た(・)。


「……って、なりたくないよなぁ?」



 ガールズバーの一室が、吹き抜けになっている。

 鶴太郎が、正座姿の半グレたちに話しかける。手にはアスファルトが精製されるまでの、分(・)か(・)り(・)や(・)す(・)い(・)紙(・)芝(・)居(・)が(・)あ(・)っ(・)た(・)。

 鶴太郎がハイヒールで半グレを踏みつけると、しゃがみ込んで耳元で囁く。


「誰の差し金か、言えば助かるかもよ…?」


 例に漏れず、カメラは回っていた。



____________________



「だからさ、タロじい。病院に向かうのは駄目だってば!」


「馬鹿野郎!鶴太郎おめぇ、兄弟分の一大事になに言ってやがる!」


 這ってでもいくぞコラと、気焔(きえん)をあげる百木に、鶴太郎は頭を抱えた。


 警察に追われている自覚が、百木にはまるでないと思ってはいたが、周りが迷惑を蒙ることまで考えられないとは、流石に鶴太郎も腹に据えかねた。


「ねえタロじい。そもそもさ、なんでここに匿ってもらうことになったか、ちゃんと理由はわかってる?」


「ああ?いまさらなンだ?」


 怪訝な表情を見せる百木に、鶴太郎は冷たい口調で返した。


「ま(・)さ(・)か(・)だ(・)け(・)ど(・)、鬼(・)島(・)と(・)中(・)堅(・)、そ(・)れ(・)と(・)若(・)頭(・)さ(・)ん(・)が(・)全(・)部(・)悪(・)い(・)と(・)か(・)思(・)っ(・)て(・)な(・)い(・)よ(・)ね(・)?」


「……」


 図星を当てられた百木は、急に押し黙った。鶴太郎は構わず続ける。


「親分としての器量がなかったから、こんな恥を晒してるんでしょ?だから鬼島なんかにつけ入られた。マサおじさんだって、分かってても言わないんだからね」


「……」


 百木が俯いた。攻め所はここだと、鶴太郎は畳み掛ける。


「みんな優しいから、なんにも言わないよ。でも迷惑をかけるのは違うよね?だからここは大人しく…」


 わなわなと震えていた百木が、ついに逆上した。


「うるせえぞコラ!能書き垂れやがって!反省なんぞする位なら、とっくに廃業してらぁっ!!」


「うわっ、開き直った!」


 怒髪天(どはつてん)の百木は、飲みかけの一升瓶を手土産にして、病院へ向かった。


 そして着くなり駆け出した百木は、勢いで半グレの襲撃を撃退した。


____________________


 半グレたちは、雑居ビルのガールズバーを溜まり場にしていた。半グレの中に、バーの所有者がいることは、調べがついている。


 熊野は若い衆を、出入口に詰めさせると、自ら店にはいった。


「死ねや、屑共」


 熊野が入ると同時に、半グレが一斉に銃口を向ける。激しい銃声が鳴り響く。辺りは硝煙(しょうえん)に包まれた。


 がしゃん、がしゃんと、金属音を響かせながら、熊野が出てくる。

 そのまま駆け出すと、小手のついた拳で、半グレを殴りつける。パキパキと小気味の良い音が、半グレの顔面から聞こえた。


 事務所に飾ってあったフルプレートの甲冑を、熊野は装着していた。古物商から安く買い叩いた、見栄えだけの代物だったが、弾が貫通してないようで、若い衆はホッとしていた。


 突如現代に蘇った騎士が、半グレをしばくような構図に、ま(・)る(・)で(・)こ(・)こ(・)だ(・)け(・)異(・)世(・)界(・)み(・)た(・)い(・)だ(・)と、襲ってくる半グレの手足が撃ち抜きながら、鶴太郎は思ってしまう。

 そんな鶴太郎が、後ろから羽交(はが)い締(じ)めにされそうなところを、百木の長ドスが閃くと、半グレの頭を真っ二つにした。


「お鶴てめえ、鉄火場で惚(ほう)けてンじゃねえぞ!」


「ごめんタロじい!でもこれ以上殺したらダメだよ!」


 撮れ高なくなっちゃうからと、鶴太郎の呼びかけを無視すると、百木は更に長ドスを振るった。血脂のついた長ドスが、変形や刃こぼれひとつすることなく、次々と半グレを膾切りにしていった。


「おう真坂の兄弟!まだまだ現役じゃねえか!」


 熊野が半グレをなぎ倒しながら、真坂に声をかける。真坂は両手でハチェットを閃かしていた。


「ふざけんな、もうごめんだ、よっと!」


 若い衆が取り押さえられているところに、片方のハチェットを投げつける。吸い込まれるように半グレの眉間に命中させると、噴水のように鮮血を撒き散らした。



 カチコミの数分後には、制圧が終わった。

 無傷の半グレはひとりもおらず、意気消沈としている。半数は死体として運び出され、用意していたダンプに詰め込まれた。


 そ(・)し(・)て(・)い(・)つ(・)も(・)の(・)、撮(・)影(・)会(・)が(・)始(・)ま(・)っ(・)た(・)。

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