第7話
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若い衆が半グレたちの死体を、大型ダンプに詰め込む。ダンプは企業舎弟の精製工場へと向かう。砂利とコールタールで作られるアスファルト合材に、死体が混ぜ合わされる。高熱処理された合材は、道路の舗装や施設の敷地で使用された。
半グレたちが初めて、社会に貢献した瞬間だった。
「……って、なりたくないよなぁ?」
ガールズバーの一室が、吹き抜けになっている。
鶴太郎が、正座姿の半グレたちに話しかける。手にはアスファルトが精製されるまでの、分かりやすい紙芝居があった。
鶴太郎がハイヒールで半グレを踏みつけると、しゃがみ込んで耳元で囁く。
「誰の差し金か、言えば助かるかもよ…?」
例に漏れず、カメラは回っていた。
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「だからさ、タロじい。病院に向かうのは駄目だってば!」
「馬鹿野郎!鶴太郎おめぇ、兄弟分の一大事になに言ってやがる!」
這ってでもいくぞコラと、気焔をあげる百木に、鶴太郎は頭を抱えた。
警察に追われている自覚が、百木にはまるでないと思ってはいたが、周りが迷惑を蒙ることまで考えられないとは、流石に鶴太郎も腹に据えかねた。
「ねえタロじい。そもそもさ、なんでここに匿ってもらうことになったか、ちゃんと理由はわかってる?」
「ああ?いまさらなンだ?」
怪訝な表情を見せる百木に、鶴太郎は冷たい口調で返した。
「まさかだけど、鬼島と中堅、それと若頭さんが全部悪いとか思ってないよね?」
「……」
図星を当てられた百木は、急に押し黙った。鶴太郎は構わず続ける。
「親分としての器量がなかったから、こんな恥を晒してるんでしょ?だから鬼島なんかにつけ入られた。マサおじさんだって、分かってても言わないんだからね」
「……」
百木が俯いた。攻め所はここだと、鶴太郎は畳み掛ける。
「みんな優しいから、なんにも言わないよ。でも迷惑をかけるのは違うよね?だからここは大人しく…」
わなわなと震えていた百木が、ついに逆上した。
「うるせえぞコラ!能書き垂れやがって!反省なんぞする位なら、とっくに廃業してらぁっ!!」
「うわっ、開き直った!」
怒髪天の百木は、飲みかけの一升瓶を手土産にして、病院へ向かった。
そして着くなり駆け出した百木は、勢いで半グレの襲撃を撃退した。
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半グレたちは、雑居ビルのガールズバーを溜まり場にしていた。半グレの中に、バーの所有者がいることは、調べがついている。
熊野は若い衆を、出入口に詰めさせると、自ら店にはいった。
「死ねや、屑共」
熊野が入ると同時に、半グレが一斉に銃口を向ける。激しい銃声が鳴り響く。辺りは硝煙に包まれた。
がしゃん、がしゃんと、金属音を響かせながら、熊野が出てくる。
そのまま駆け出すと、小手のついた拳で、半グレを殴りつける。パキパキと小気味の良い音が、半グレの顔面から聞こえた。
事務所に飾ってあったフルプレートの甲冑を、熊野は装着していた。古物商から安く買い叩いた、見栄えだけの代物だったが、弾が貫通してないようで、若い衆はホッとしていた。
突如現代に蘇った騎士が、半グレをしばくような構図に、まるでここだけ異世界みたいだと、襲ってくる半グレの手足が撃ち抜きながら、鶴太郎は思ってしまう。
そんな鶴太郎が、後ろから羽交い締めにされそうなところを、百木の長ドスが閃くと、半グレの頭を真っ二つにした。
「お鶴てめえ、鉄火場で惚けてンじゃねえぞ!」
「ごめんタロじい!でもこれ以上殺したらダメだよ!」
撮れ高なくなっちゃうからと、鶴太郎の呼びかけを無視すると、百木は更に長ドスを振るった。血脂のついた長ドスが、変形や刃こぼれひとつすることなく、次々と半グレを膾切りにしていった。
「おう真坂の兄弟!まだまだ現役じゃねえか!」
熊野が半グレをなぎ倒しながら、真坂に声をかける。真坂は両手でハチェットを閃かしていた。
「ふざけんな、もうごめんだ、よっと!」
若い衆が取り押さえられているところに、片方のハチェットを投げつける。吸い込まれるように半グレの眉間に命中させると、噴水のように鮮血を撒き散らした。
カチコミの数分後には、制圧が終わった。
無傷の半グレはひとりもおらず、意気消沈としている。半数は死体として運び出され、用意していたダンプに詰め込まれた。
そしていつもの、撮影会が始まった。




