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地域整備計画

 



 研究所



「只今戻りました」


「「「おかえりなさいませ!地域制圧おめでとうございます!」」」


 ルティ達総出の出迎えを受け、報告前に地域制圧のお祝いを受けた。


「皆ありがとう。アリスさんが感知出来たのですか?」


「はい」


「そうですか。お祝いは……」


「広坪様をお待ちしていたのでまだです」


「そうですか。なら盛大にいきたいですね」


「準備は整っています」


「手回しが良いですね」


「時間がありましたから」


「それもそうですね。あ、その前にヘイヴィアを見ておきたいです」


 ここにはヘイヴィアは連れてこられていなかったので、六日ぶりの顔が見たい。


「ではコウ様、一緒に行きましょう」


 ルティの案内でルティの部屋へと案内された。

 無論その前に『クリーン』は受けた。


 ルティの部屋には研究所に残していたアルファが待機しており、ヘイヴィアの様子を見ていてくれた様だ。


「アルファ、ヘイヴィアを見ていてくれたのか。ありがとう」


「いえ、ヘイヴィア様を見ているのは飽きませんから、見ているだけでいつまでも過ごせそうです」


「そうか。おお?大きくなってるんじゃないか?」


 アルファに答えた後、ヘイヴィアを見ると、出撃する前に比べて大きくなっている気がした。


「コウ様、六日ではそれほど変化はありませんよ」


「そうかな?少し重くなったと思うんだけどな」


 抱っこしたヘイヴィアのプニプニお肌をつつきながらルティに言う。


「今からその調子では、親バカ確定ですね」


「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ」


 ルティが笑い、俺も笑った。

 声に驚いたのか、ヘイヴィアが泣き出したので、慌ててあやした。



 これが幸せか。



 ヘイヴィアをベビーベッドに戻し、アルファに子守りを任せて食堂に向かった。


 様々な料理が用意されており、家族皆で楽しい夕食を楽しんだ。


 レイシア、アムリス、クリスティアがヘイヴィア、新しく出来た弟の様子を楽しそうに話してくれたり、カティもそのその様子を見ながらお腹を撫でながら微笑んだりと、笑顔に溢れる食卓は、とても楽しかった。



 これも大切な幸せだな。



 夕食後、詳細な報告は明日という事になり、夜は皆との会話を楽しみ、ルティと一緒に寝ようとしたが、まだ相手を出来ない事を理由にステラ達と一緒になった。

 そういった目的でルティと一緒に寝ようとしたわけでは無かったが、久しぶりというのもあり、今日はステラ達と過ごした。

 ステラ達三人は、ヘイヴィアの事で影響を受けてのか、いつも以上に頑張り、しぶりな俺ステラ達は見事相討ちとなった。




 翌日、皆に地域支配の詳細な報告をした。


「アインには各国への対応は伝えてありますか?」


 アリスさんがまず質問をしてきた。


「はい。その点は改めて注意しておきました」


 各国への対応。

 魔境が、人の支配した地域になったことは隣接する地域ならば分かるとの事なのだそうだ。

 雪が降り始めているとは言え、無理すればコアエリアまで来れない事も無いので、万が一に備えて各国への対応は、コアエリアを守護するアインに伝えてある。


 トールデン王国は、敵対状態にあるので、交渉はせずに追っ払う事になっている。

 多少手荒でも良いとも伝えてある。


 南の冒険者の国キノトリアと、東で接地しているタンデリウス共和国の人達には『春を待ってから再訪して欲しい』と伝えるように言ってある。


「それならば結構です。戦闘については、オークキングの特性について興味深いものがありますね。オークキングの魔石についてはこちらで研究に使いたいのですが、良いですか?」


「勿論です。回収して魔石は好きに使ってください」


「ありがとうございます」


「他に何かありますか?」


「……無い様じゃな。さて、広坪よ、これからについて何か考えがあるそうじゃが、それを聞かせてくれ」


 オシホ様には、戦闘後に考えがあることを話していたので、今後の展開について尋ねてきた。


「はい。まずは建国します」


 皆が少なからず驚いている。


「ふむ。まぁ、どこかの国に付くか独立しか無い以上、建国は悪くないの」


「ですが、建国となれば法律や外交、色々と面倒も増えますし、一攫千金や進出しを目指した人達の流入が考えられます。その辺りはどうするおつもりですか?」


 オシホ様は肯定的だったが、カティは色々と問題点を指摘してきた。


「その辺りも考えがあります。外交は、オシホ様が居てくれる以上は軍事的には大丈夫なので、ルティ達の事以外は最低限、法律は追い追い作ります。ですが、まず第一の法律として、この国に住む人間に財産の保有を一切認めない。事にするつもりです」


「「「……」」」


 絶句、皆がそんな表情をする。


「コウ様、流石にそれは……」


「そうです。そんな事をしたら……」


「まぁ、そんな国に住みたいと思う者は居ないな」


「なるほど、それで人の流入を防ぐおつもりなのですか?」


 ルティとカティが否定的な反応を見せたが、アリスさんが俺の真意を見抜いた。


「そうです。俺達には、国を管理運営出来るような体制はありません。なので、この国はルティ達を外へ送るためだけの国にするつもりです」


「なるほど。ですが、地域を手に入れた以上、この地にルティ達の安住の地を作る、というわけにはいきませんか?」


 アリスさんが更に尋ねてきた。

 以前から思っていた事だろう。


「俺の死後を考えると、ルティ達の安住の地は他国の穏やかな所が望ましいと思っています。研究所の管理者の跡継ぎが居ればそれも考えても良いのですが、見つからない以上、この地域を守る術はありません。戦争に巻き込まれる可能性が高すぎます。それに、国の管理運営が困難ですから、安住の地にはなり得ません」


「そう、ですね。すみません。浅慮でした」


 アリスさんが謝ってきた。


「いえ、俺の見落としもあるかも知れないので、意見していただけるのは有り難いです」


「それよりもじゃ、住民に財産を持たせぬ事で人の流入を防ぐのは良いが、交通の要衝である以上、交易のために通せとは言ってくるじゃろう。その辺りはどうする?」


「俺としては、王国以外は好きに通そうと思っています」


「良いのですか?」


 俺がオシホ様の質問に、あっさりと答えたものだから、アリスさんが尋ねてくる。


「はい。ここは交通の要衝であり、関税だけでもそれなりの利益になるとは思います。ですが、関税は無しで、北と南に東西を繋ぐ道を作って差し上げようと思っています」


「……ふむ。好きに通してやるから、手を出すな。そして、北と南という事は、真ん中を通すつもりは無いのじゃな」


 今度はオシホ様が俺の真意を見抜いた。


「その通りです。そして、俺達が定めた場所、道等から外れた場合は、問答無用で殺すと勧告を出すつもりです」


「それは少し過激すぎませんか?魔獣が出れば対処のために道から外れて禁止区域に入ってしまう事も予想されます」


 カティの指摘だ。


「こちらで可能な限り魔獣の討伐はしますが、ある程度は諦めてもらうしかありませんね。まぁ、道の左右にはある程度の余裕を持たせてる事にはしますし、商人の雇った護衛に期待しましょう」


「はぁ、確かにその通りですね。個人や少数で旅をしたいものも居ると思うので、その辺りも考慮していただけると嬉しいです」


 カティから更に指摘されるが、騎士団に居たときの経験から来るものだろう。


「そうですね。多少の荷物を持った人限定の格安の定期便でも出しましょうか。ゴーレムの護衛付きで。馬車の速度に合わせればそれに続く商人も出るでしょうし、安全性の向上には繋がりますね」


「おお、それはとても良いと思います。是非実施して下さい。それから、地域を抜けるまでに何泊かすると思うので、宿とは言わないまでも、夜営できる場所などの整備をしていただけると、商人達も助かると思います」


「それは俺も考えていました。30km間隔ぐらいを目安に、防壁で囲んだ夜営地を作ろうと思っています。屋根付きの夜営地や簡単な調理場、井戸なんかを設置する予定です。他に何かあれば、後から夜営地については話し合いましょう」


「それだけあれば十分だと思います」


 カティも納得してくれた様だ。


「しかし、そうなってくるとじゃ。国としては国民を完全支配し、交易の邪魔をしない。そんな国になるな」


「俺としては、そんな国を目指すつもりですよ?まぁ、国民が出来れば、ですがね。それに、国民に財産は持たせませんが、もし来るような事があれば死なせるつもりはありませんよ?どこか適当な場所にでも住ませて、何かさせます。土地はありますし、牧畜とか良いかも知れません」


「まぁ、その辺りも追い追いで良いが、まだ重要な事が決まっておらんな」


「なんですか?」


 オシホ様の言う重大な事に心当たりが無い。

 軍事、内政、外交どれだ?


「建国するからには、国の名前が必要じゃろう」


「……忘れてました」


 全く考えてなかった……。

 確かに建国するからには必ず必要な物だ。


「ツチクラ王国で良いのでは?」


 アリスさんがぶっ込んできた。


「止めてください。自分の家名を名前にするのは恥ずかしすぎます」


「ゴーレム共和国?」


「オシホ様帝国とかで良いのでは?」


「アストラーデ騎士国!」


 皆が好き勝手に国の名前を提案してくる。


「広坪からは何か無いのか?」


「そうですね……。アリストラ魔方陣……では無く、アリストラ魔導国とかどうですかね?」


「アリストラ聖堂院を奪った我らが名乗るとなれば、聖堂教国に全力で喧嘩を売るようなものじゃな」


「家名どころか、自分の名前が国になるのは恥ずかしすぎます!」


「……そうですか」


 国名に関しては、後日改めて決めることになった。



 この後は、建国後に予想されるトラブルの書き出し、それらに対応する方法等が話し合われた。

 更に、対王国を主軸にした地域防衛計画も練られ、それらに伴い、地域の整備計画にも若干の変更があったり、必要になる魔具の開発や生産などの計画も立てられた。



 主な項目としては……。


 軍の通行は一切禁止。

 道路の整備は、冒険者の国と共和国間の南側と聖堂院とコアエリア間のみに変更。

 定期巡回に馬車などの整備機材搭載。

 戦力増強。


 などになる。



 援軍目的だろうと何だろうと、他国の軍を入れても良いことなんて何も無いので、一切を禁止。


 防衛に関しては、コアエリアと聖堂院のみに集約された。

 聖堂院は第三防壁の建設で対応。

 地域そのものは、コアエリアと研究所以外に重要な場所は無いので、野戦で撃退を主軸に、機動防御戦術がとられる事になった。




 ☆☆☆




 オークの魔境を支配してか一ヶ月ほどが経った。


 幸いにも、俺達以外にコアエリアを訪れる者は現れず、俺の支配した地域は雪に覆われた。



 雪によって地域全体が覆われた後は、オシホ様達による地域整備が始まった。


 道路は、かなり余裕を持たせて幅が10mほどはあるものを二本作った。

 幅が10mもあれば、人、馬車、騎馬が余裕を持たせて通行ができるハズだ。

 二本の道はそれぞれ一方通行として、間も10mほどの間隔を開けた。


 道路は土を堅く固めたものだが、石化してあるので、ゴーレムが全力で走っても大丈夫なぐらいの強度にはしてある。

 更に、道路は他より少し高く盛られてあり、排水用の穴も作ってあるので、水溜まりが出来たり、ぬかるむなんて事もないハズだ。



 更に、各国境から1km以上離れた場所と道路から100mほどの場所に30m間隔で石柱が作られた。

 この石柱は、ここから先は攻撃する。という目印として作った。

 ただ、道路を優先して作ったので、石柱はまだ王国側の国境にしか無い。

 この冬の間に全ての国境と道路沿いに作る予定だ。


 後は、夜営用の場所も石柱設置後に作る。

 石柱自体が距離の目安にもなるので、良い目印になると思う。





 そして、研究所でも一つの知らせがあった。

 ステラ、ニーナ、メリッサの懐妊報告だった。


 どうやら、ヘイヴィアを見て、子供が欲しくなった三人は話し合って避妊薬を飲まずに俺の相手をしていた様だ。


 これには、俺以外全員の共謀も確認された。

 俺が地域制圧に出ている間に、ルティ達はステラ達に相談され、避妊薬の使用を中止。

 アリスさんもその話に乗ったので、警告がなかったのだ。


 体の心配はあったが、この世界ではこれが普通だと押し切られて、三人を少し叱りはしたものの、抱き締めて妊娠を感謝した。


 そして、研究所で保護していた女性達、カティの部下、獣人、ドワーフ達の半数ほどが俺の相手を希望、と言うよりは、子種を望んできた。

 これもヘイヴィアの影響らしい。


 流石に躊躇したが、ルティ達の強い進めもあって全員を側室として迎える事になり、更に慌ただしい冬になった。




 なんにしても、こうして国作りの冬は始まった。




次でエピローグです。


この話は、後日大幅に改変する可能性があります。

申し訳ありません。


改変があった場合は、何らかの形でお知らせします。

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