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コアエリア突入 後

 



 魔境 オーク支配地域 コアエリア



 オークキングが鳴き声を上げて、オークジェネラルが突っ込んで来た。


「広坪!正面じゃ!」


「了解!」


 動いたオークジェネラルは4匹。正面から2、左右から1ずつ。


 俺は後ろで『ロックジャベリン』を放っていたが、大剣を持って前に出る。


「アイン!」


 俺が、正面の戦線を維持していたアインを呼ぶと、突っ込んで来たオークジェネラルを避ける様に遠征用の戦闘用ゴーレム達が動いた。


「おぉぉぉ!」


 俺は声を上げて、突っ込んで来るオークジェネラルの突撃の勢いを殺すべく、大剣を背中まで持っていき、上から叩きつける様に二本の大剣を振るった。

 オークジェネラルも俺の動きを見て、両腕で俺の大剣を受けためようとしてきた。


 ガァァン!


 搭乗型メタルゴーレムの全力でオークジェネラルに降り下ろした大剣は、オークジェネラルの腕ごと本体を切り裂き地面に激突した。


 結果として、オークジェネラルは三枚におろされた。


「え?」


 俺は思わず疑問の声を上げた。


 搭乗型メタルゴーレムの強さは知ってはいた。

 製作してから、可能な限り訓練に時間を充ててきたからた。

 オークジェネラルはそれなりに強く、コアエリアに居るので更に力が強くなっているのは分かっており、全力で大剣を叩きつけたのだが、オークジェネラルは呆気なく黒い霧になって消滅した。


「広坪!下がれ」


「ッ!」


 オシホ様の声に反応して俺は下がる。

 俺が下がると同時に遠征用の戦闘用ゴーレムが前に出て戦線の穴を塞ぐ。

 他を確認すると、他のオークジェネラル達は精霊トリオによって討ち取られていた。


 オークジェネラル達の突撃が素でに終わっている事を確認した俺は、一息ついて呟く。


「あまりに手応えが無くて驚きました」


「言ったじゃろう。もはやオークジェネラル程度では相手にならぬと」


「覚えてはいましたが、ハイオークの強化具合を見ていると、もしかしたら、という思いがありました」


「それはそうじゃな。どちらにしても、そのゴーレムならばハイオークジェネラルも相手に出来よう」


「……そうですね」


 俺は気を取り直し、無人の搭乗型強化ロックゴーレムの魔力を使って『ロックジャベリン』を放つ。




 それからも順調にハイオークを倒し、ハイオークがあと2,000ほどと言うところでオシホ様が気付いた。


「……広坪よ。あのオークキング、肌の色が濃くなっては居らぬか?」


 オシホ様に言われてオークキングを見てみると、確かに濃くなっていた。

 最初に入ってきた頃に、肌が緑でオークキングだと思わせた肌色だったが、今はかなり黒くなっており、オークキングかハイオークキングが判断に迷うような色になっている。


「濃いですね。……怒りでああなったんでしょうかね?」


「いや、キングの異変に気付いてから注意深く観察して気付いたが、ハイオークを倒した時に出る黒い霧をあれが吸収しておる様じゃ」


「パターン的に強くなっていってる。と見た方が良いでしょうかね?」


「じゃろうな。黒い霧は、オークよりもハイオークの方が多いとなると、あのロイヤルガードの方がよりオークキングを強化するかも知れぬの」


「……雑魚を倒さねばオークキングには届かず、倒してから行くと最大強化されたオークキングと戦闘ですか」


「最大強化は面白くないの。……強行突破しかないな」


「ですが、遠征用のゴーレムでは……」


 なんとか戦線を維持してはいるが、こちらにも被害が出ており、数が減ったことで少しずつ後退を余儀なくされている。

 他も無傷のものは無く、現状の戦力ではハイオークを突破するのは難しい。


「一時的にならば、通常タイプでどうにか出来るが……」


「オークキングには俺だけ対処する事になりそうですね」


 通常タイプの戦闘用ゴーレムを使ってハイオークを突破出来たとしても、オークジェネラルとハイオークジェネラルが居り、その足留めにオシホ様達がかかりきりになると、動けるのは俺だけになる。


 流石に俺だけでは、あのロイヤルガードを出来るだけ倒さずにオークキングを倒す事は、この搭乗型メタルゴーレムでも難しい気がする。


「そうじゃの。じゃが、モタモタしておると討てなくなるかも知れぬ。今なら勝機十分にある。やるしかあるまい」


 オークキングがのつよさは知らないが、ハイオークジェネラルよりは強いだろうし、コアエリアで強化され、さらに強化されたらどの程度の強さになるか分からない。

 このメタルゴーレムでも勝てないとなると、引くしかなくなる。

 引いてもあのキングの強化が解けなかった場合は、次回は更に強化される事になり、より悪い事態になりかねない。

 それをしないためには、今やるしかない。


「……そうですね。でしたらオシホ様、アレをお願いします」


「アレか……。承知した。じゃが、直前から倒すまでじゃ。可能な限り最短時間で済ませるぞ」


「了解です」


 話は決まった。




「アイン!ツヴァイ!ドライ!オークキングが雑魚をを倒すことで強化されておる!状況打破のために全戦力で強行突破する!備えよ!」


 オシホ様の言葉で、遠征用の作業用ゴーレムの『ロックジャベリン』が止み、動かせる全てのゴーレムが強行突破に備える。


「トリオはオークジェネラル相手じゃ。ツヴァイには無人の搭乗型強化ロックゴーレムを任せ、それでハイオークジェネラル二匹を抑えよ。ドライはツヴァイの他のゴーレムを引き受け出来るだけ戦線を維持じゃ。最後にアインにはワシを任せる。これでもう一体のオークジェネラルを抑えよ」


「「「……」」」


「広坪は全力でオークキングを討て!では、いくぞ!強行突破じゃ!」


 まず通常タイプのメタルゴーレムがオークキング方向に突っ込み、一部ハイオークを押し返したが、活動時間は一分。すぐに動けなくなったが、空かさず通常タイプの戦闘用ゴーレムが盾を使って更にハイオークを押し込み、奥への道をこじ開けた。


「行くぞ!」


 オシホ様の掛け声で、オシホ様と精霊トリオ、無人の搭乗型強化ロックゴーレムが奥への道をひた走る。


 ツヴァイ指揮下の無人の搭乗型ゴーレムがハイオークジェネラルに飛び付き、抑えにかかった。

 そして、オシホ様とアインが右2匹のオークジェネラルを、左のオークジェネラル2匹はツヴァイとドライが対応した。


 俺はオシホ様達の後から続いたが、オークジェネラルとハイオークジェネラルが抑え込まれたのを見て、オークキングに向かって全力で搭乗型メタルゴーレムを走らせる。



 目標は、オークキング周囲のロイヤルガードは倒さずにオークキングのみの討伐。

 ロイヤルガードは、俺達がハイオーク達を受け止めた様に、コアの前に陣取るオークキングを完全に囲っており、突破は難しそうだった。


 だが、方法はある!



「うおぉぉぉぉ!オシホ様!」



 俺がオシホ様の名を呼ぶと、オシホ様が自信の仮面メイド戦闘ゴーレムから抜け出し、俺の中に戻ってきたのが分かる。


「跳びます!はぁ!」


 ロイヤルガードの直前で搭乗型メタルゴーレムをジャンプさせる。

 ジャンプ自体は普段からさせることができるが、オークキングを囲ったロイヤルガード達を飛び越える事ができるほどは跳べない。

 だが、今はオシホ様が俺の中に戻って力を貸してくれているので可能だった。



 普段は、オシホ様は一部を切り離して仮面メイドゴーレムの中に入れて本体を休眠させているのだが、今は俺の中に戻って全力で力を貸してくれている。

 お陰で、搭乗型メタルゴーレムの性能を普段以上の発揮させる事ができる。



「あぁぁぁっ!」


 飛び上がった俺は、オークキングのみを狙って両手の大剣をオークジェネラルを三枚におろした時の様に叩きつけようとしたが、オークキングはその巨体に見会わぬ動きで回避してみせた。


(左じゃ!)


「!」


 着地した瞬間に、左に避けたオークキングが蹴りを放ってきた。

 蹴りは搭乗型メタルゴーレムの肩に当たり、ゴーレムが横にずれた。


 俺は驚きを隠せなかった。


 この搭乗型メタルゴーレムは、ロックゴーレムに比べて倍ほどの重たさがあり、それが蹴りだけで横にずれるほど動かされるとは思っていなかったからだ。


「はぁ!」


 だが、驚いている時間は無い。

 ロイヤルガード達はすぐそこに居るのだから、素早くオークキングを倒さねば為らず、俺はゴーレムを立ち上がらせながら、左腕で大剣を切り上げる。

 オークキングに蹴られてゴーレムが横にずれていたので、少々間合いが遠かったらしく、オークキングには少し下がられただけで避けられた。


「まだぁ!」


 俺はオークキングに大きく踏み込み、右腕の大剣をオークキングの胸の辺りを狙って水平に振るった。

 しかし、オークキングは俺の大剣をしゃがんでかわし、ゴーレムを蹴り上げてきた。

 ゴーレムはロイヤルガードの方に蹴り飛ばされ、あっという間に包囲される。


(広坪!突破するのじゃ!)


「了解です!」


 両手の大剣をオークキングの方に突き出し、力任せに左右に開く。

 オシホ様が戻った状態だからできる力業だ。


(突っ込むのじゃ!)


「おぉぉぉ!」


 俺はオークキングに突撃しながら、右手に持つ大剣をオークキングに向かって投げた。

 簡単に避けるオークキング。


「『ロックジャベリン』!」


 俺は、オシホ様の力を借りて『ロックジャベリン』10発オークキングに放った。

 オークキングはこの10発も避けたが、僅かに体勢を崩した。


「そこだぁぁぁぁ!」


 俺は左腕に持った大剣をオークキングの腹に叩きつけた。


 ガキンッ!


 大剣は、オークキングの腹を半分ほどまで切り込んだが、力に耐えられなかったのか、根元から折れてしまった。


(まだじゃ!)


「おぉぉぉ!」


 俺はオークキングに体当たりするように押し倒し、オークキングの顔面を両腕で交互に殴り続けた。


(広坪!)


 夢中でオークキングを殴っていた俺は、オシホ様の声で我に返り、オークキングを見ると黒い霧になり始めていた。


 良かった。オークキングを倒せた。

 そう思った瞬間に俺は体当たりを受けて弾き飛ばされる。


 見れば、ロイヤルガード達が俺に向かってきていた。

 そうだ。まだロイヤルガードが残ってたんだった。


(広坪!コアの近くに大剣が落ちておる!拾って戦うのじゃ)


「了解!」


 俺はゴーレムを立ち上がらせて大剣を拾う。


(広坪、ワシはゴーレムに戻る。お主はコアを守りながらアレの相手をせよ。出来るだけ早く救援に向かう。魔法は使うでないぞ)


「了解!」


 オシホ様様が俺の体から抜けるのが分かる。


「はぁ!」


 俺は拾った大剣を使ってロイヤルガードを斬り倒す。

 オシホ様が抜けた事でパワーは落ちたが、現状で十分なパワーがあり、ロイヤルガードを斬り倒せた。


 ロイヤルガードは、ハイオークやオークジェネラルよりも強かったが、ハイオークジェネラルほどでは無く、搭乗型メタルゴーレムなら十分に相手を出来た。

 何よりも、ロイヤルガード達は統率を失っており、連携はしとかなかった。

 更に、少し牽制するだけで下がってくれたのが助かった。

 そのお陰で他を見る余裕が生まれ、オシホ様達の方を見ることができた。



 オシホ様達は、俺がオークキングを倒したのを確認してからオークジェネラルを素早く倒したらしく、今は無人の搭乗型強化ロックゴーレムが押さえ込んでいたハイオークジェネラルを滅多刺しにしていた。


 俺がボロボロにされたハイオークジェネラルをあんなに簡単に倒しているのを見ると、強化が上手くいったのか、精霊達の方がゴーレムを上手く扱えているのか、俺が弱すぎるのか、分からなくなり、少々複雑な気分になった。


 ジェネラル達を全て倒した事で、オーク側の統率は完全に無くなったらしく、近くに居る敵に向かうようになった。

 これはこれで面倒だったが、連携してこないだけ対処が楽だ。



 オシホ様は改めて指揮下にした無人の搭乗型強化ロックゴーレムを率いてこちらに来てくれている。

 精霊トリオは、自身と遠征用の戦闘用ゴーレムを使って残りのハイオークを蹴散らしていた。



 それから10分ほどして、コアエリア内の全ての敵を倒した。


「危なかった……。魔力がギリギリでしたよ」


「オークキングとは五分も戦ってはおらなかったが、流石に全力戦闘となれば消費も凄かったからの」


「全くです」


「それよりもコアじゃ。ゴーレムから降りて直接触れよ」


「……了解です」



 俺は搭乗型メタルゴーレムから降りて、直径1m程のコアの前に立ち、そっと触れる。


「!!」


 その瞬間、俺はこのコアと繋がったのを認識し、魔力供給範囲が地域全体に広がったのが分かった。


 俺は安堵し、膝から崩れ落ちた。


「なんとかなった……」




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